シューメーカーの足音 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 67
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344420991

作品紹介・あらすじ

斎藤良一は、ロンドンで注文靴のサロン兼工房を経営する靴職人。清濁併せ呑む彼が作る靴はえも言われぬ色気を醸し出すことで人気を博していた。さらなる成功と名声を欲し、計略を巡らせる斎藤。だが、その野望を阻む若者が日本にいた。礼節を重んじる靴修理職人・榎本智哉。二人は、ある人物の死を巡る因縁で結ばれていた-。傑作ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 「贅沢のススメ」が先か、こっちが先か。モノづくりの好きな著者らしい本。きっと靴を磨きたくなります。足元を見てから顔を見る人って、いるのでしょうね。きっと。

  • 靴職人の世界を舞台に、ある人物の死を巡る因縁を描くミステリー。
    職人の気質と靴に関する蘊蓄が丁寧。何かが起こりそうな気配がするが、丁寧さが邪魔になり、展開のスピード感に欠けた。

  • 本城雅人が靴職人を描く、ハードボイルドな長編。
    著者作品を読むのは珍しいが、当作はハード発行時点から読みたかった。イメージ通り重厚であった。
    皮靴文化や世界、ビスポークの製法といった舞台描写は丁寧で、読み応えも面白さもある。
    その分、ビジネスゲーム的な展開が無難で、変に物足りなさが残った。テーマが勝る小説は、激しい起伏は不要だと感じる。
    3+

  • ロンドンに店を構える「世界一美しい靴を作る男」と呼ばれる靴職人と,東京のオフィス街で靴修理の店を構える若い靴職人。2人はある人物の死をめぐる因縁で結ばれていた。
    最初はミステリではないなと思っていたが,終わってみればこんなミステリも大いにアリだなと思える展開。
    靴好きとしては,高級靴の薀蓄が興味深い。

  • 靴の知識満載の本である。

    ビスポークの靴は、まず、木型を基に作られることは、知られているが、ビーチ(ブナ)が、使われて、ラスプで、削られ、何ミリの差を要求される木型職人がいる。
    その他にボトムメーカー(靴底職人)も、大変な仕事であり、プライドの高さを物語っている。
    形も、パンチドキャップ、Uチップ、などは知っていても、奥が深い。
    素材の材質の皮も、スエード、バッファロー、鹿、コードヴァン、インパラ、クロコダイル、リザード、クードゥ、等の説明もある。

    私自体、今まで、余り靴に、こだわりが、無かったのだが、外反母趾に、なってからは、既製品の靴でも、ワンランク上の靴を、娘に、勧められて、試着して、プレゼントしてもらった。
    やはり、少し、値段が、張っても、靴で、1日過ごすような、外国では、靴にお金をかけてまで、自分にフィットした靴をはきたくなるだろうと、おもった。

    本は、野心家のシューズメーカー斎藤が、ロイヤルワラントを取得するため、色々工作をする。
    その仕事で、靴の産業スパイが居たり、アル中の職人が居たり、そして、暗い影を持つ姿が、本を一気に読もうとする気にさせる。
    また、線の細い感じの靴職人、榎本智也と、ショーンが、斎藤良一の野望を、叩きつぶしに行く。

    後ろが無いぐらいに、追い詰められた斎藤は、やっと、英国王室御用達を勝ち取ろうと、逆転するかと、思われたが、最後のどんでん返しは、凄いものである。

    まだ、若いものが、これまで、職人技の腕をあげられると言うところ、スパイをして、指を折られたテリーとのつながり、また、侯爵の靴型を、取るのに、関与したクリス、そして、グッドマンの工場を購入する資金も、ポーンと出せるのも、小説ならではの話である。
    最後に、斎藤らしき人物が、薄汚れた格好をして、ハンガリーで、靴型を削っていた。と言うのは、少し、残酷でもある終わり方のようにも思えた。

    知らない靴のことが、難しい「靴」の本での説明でなく、小説で、知識が得られたことと、最後の最後までのどんでん返しの小説になっており、面白かった。

  • 靴職人というあまりなじみのない世界を描いており、綿密な取材も基づくものと思われる描写は新鮮で面白かった。
    但し、推理物としては平凡であり、ラストはどんでん返しがあるものの、多くの人はそれを見抜いてしまうのでなないかというレベルで残念だった。

  • オーダーメイドの靴はビスポーク(Be spoke)って言うんだって。
    そんなビスポークの知識がたくさん詰まっていて

    あれ?なんか事件が始まってるような、いないような・・・
    過去になんかやった?
    うっすらそんな感じがあるような・・・・

    という感覚にとらわれながら、ビスポーク職人の世界にどっぷり入っていく。


    過去にあった出来事はきっかけにすぎない。
    結局、こだわりが強く実力があるものより、要領が良いものが勝つというお話。

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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