- Amazon.co.jp ・本 (598ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344421011
作品紹介・あらすじ
先輩の葬儀のため高校卒業以来初めて帰省した33歳の作家・沢木有介。コンビニ店長だった先輩はマシンガンで暴力団事務所を襲撃した末、絶命していた。同窓会のような葬儀の後、仲間の一人が謎の失踪を遂げる。さらに先輩の「彼女」を名乗る12歳の美少女が現れ-。15年の時を経て、隠された真実が明らかになる。大人の青春ミステリ。
感想・レビュー・書評
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これだけの長編だし、ラストはそれなりに驚かせてくれると思って読んだんだけど…。本の厚さのわりに登場人物の人生がどうにも薄っぺらい(それなりに字数を費やして説明しているんだけども)。つまりは著者の筆力不足。出てくる人間がやたら名言ぽいことを言うのもうっとうしい。
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ラグビーは後ろにしかパスをまわせないスポーツなんだ。
自分も走って、仲間と一緒にゴールを目指す。
ふと横を向いたときに、肩を並べて走ってくれる仲間がいることの心強さ。この人たちといつまでも肩を並べていたいと思えること。それが自分を強くし、育ててくれる源になる。
主人公の沢木は、高校を卒業してから意図的に仲間たちとの関わり合いを絶っていた。それは、そのコミュニティーの居心地の良さが自分の成長の妨げになると考えたからだった。そうした沢木の態度は15年という月日の中で周囲からの孤立を招き、沢木自身が予想した以上の溝を生み出していた。
その彼がある事件をきっかけに、再びかつての仲間と接点を持つようになる。
沢木にとって高校時代の仲間というのは「日常」であり「現実」の象徴なのだろう。しかし、そこから目を背けて社会的に認められたいといくら願っても、現実感を伴わない努力は空虚で中途半端なのだ。
一番身近な人間に胸をはれるような生き方、怒られて喜び合って実現できるような生き方、そういうものを目指すようになれたらいいと思った。
「自分の生き方に照らし合わせて人の生き方を批判するって、あんまり格好よくありませんよ」
みゆきちゃんはするどい。 -
高校の先輩が暴力団の事務所をマシンガンで襲撃して死亡。過去の街、過去の彼女に何があったのか。かつての恋人が風俗d働いていて、それが原因で男ともめていた。
美しく、切なくとっておきたい青春を現実でさらけ出して行く。悲しく切ない物語。
元の彼女が風俗で働いてその過去だけを隠していたのではなく、若さ故の間違いの責任を取らされているのが面白かった。