ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)

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著者 : 山内マリコ
  • 幻冬舎 (2014年4月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344421882

ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 大傑作。地方の若者のやるせなさが見事に描かれている。ここまで身に迫る共感と痛感は、なかなか体験できません。

    地方には現実がある。「ファスト風土」だ。幹線道路沿いに、同じようなショッピングセンターやチェーン店が林立する、あの風景です。いつでもどこでも(!)同じ現実が、郊外には広がっている。この平べったさに違和感を感じる人びと、適応しきれない人びと、それが本作にはたくさん登場する。
    彼らからすると、現実の風景はあまりにもつまらない。つまらないけど、世界を変えられるわけでもない。地方に順応するか、逃避するか、反抗するか、あるいは昇華するか...?どのような手段をとるかは、もちろん人によって違う。でも、どれも共感できる。
    それと男性への視点も絶妙だ。本作はどの話も女性が主人公ということになっている。男性は、ダメ男かオヤジ(=地方に順応した労働者)しか出てこない。悲しいことに、私はダメ男の心理・行動がすごく分かる。俺かよ!ってくらい。だからこそ、女性側の視線がひどく痛い。もう、読んでて何度心を痛めたことか。

  • あらすじ紹介には「(略)ありふれた地方都市で、どこまでも続く日常を生きる8人の女の子。居場所を求める繊細な心模様を、クールな筆致で鮮やかに描いた心潤う連作小説」とあり、興味を持ちました。
    不穏な雰囲気を感じる表紙の写真、何といっても「ここは退屈迎えに来て」というタイトルの秀逸さに惹かれます。

    文章は軽く、横文字が多く読みやすいです。
    特徴としては固有名詞がとにかく多いので、「鮮やかに描いた」というのがつまりリアリティがあるってことかな?と思いました。
    その分、話も軽く、文体も求めていた感じと違ったので、勝手に期待して外れた‥という思いが強く出てしまいました。
    どういう目線で捉えたら良いかというのもだいぶ悩んだので、いつも以上に不細工な感想です。

    私も地方都市に生きる女の子(って歳でもないけど)ですが、わかるわかる~というよりはあるある!というぐらいの感じ方でした。
    なぜかというと、私の育った町は確かに地方の田舎ですが、電車に乗れば1時間程度で都会という土地柄もあり、そこまで切り離された土地という閉塞感がないからだと思います。
    また、私も昔はこんなところより都会で暮らしてみたい、と思っていたのですが、最近は住み心地のいい場所だと思うようになりました。
    それは私の価値観が変わったというよりは、就職してある程度経済的に余裕ができたため、行きたい場所へ好きに行けるようになったからだと思います。
    そんな女の子(笑)の感想です。

    「私たちがすごかった栄光の話」
    固有名詞のオンパレード。
    こういうのって権利とか法的な問題ってどうなっているんだろう・・?と読んでいて疑問に感じるくらいでした。
    最後のポエム、なんだかよくわからなくて…。
    どういう感想を持つのが普通というか一般的なんでしょうか。
    ポエムが世の中に溢れているとか、マイルドヤンキー論
    とか最近の世相がばっちり反映されている‥のか?

    「やがて哀しき女の子」
    山下南が椎名の奥さんか、なるほど、すべての話がゆる~くリンクしていくのだな、と悟りました。

    「地方都市のタラ・リピンスキー」
    タラ・リピンスキーを知らなかったので、ロシア人の画家か作曲家だと思っていました。
    わたしもオリジナル名言集を携帯にいれているので、ゆうこの気持ちはわかります。
    あと、『新学期が来るたび、自分以外の人間には結局なれないことに、毎回絶望している者がいることなんて、椎名には想像もできないんだろう。』というところは良かった。
    思春期に毎晩同じようなことを考えていました。今では何に思い悩んでいたのかよく思い出せないけど、自分の深淵を久々に覗いた気持ちになりました。

    「君がどこにも行けないのは車持ってないから」
    8人の女の子って書いてあったのに椎名の話しかしてないし、ゆうこは女じゃなかったし、あらすじに偽りありじゃない?と思えてきました。
    それに『ルービックキューブの達人が目にもとまらぬ速さで色を揃えるように、あたしの頭の中がみるみる整理されていく』みたいな比喩が苦手だなあと思い始めました。

    「アメリカ人とリセエンヌ」
    これは気に入りました。路肩に車を止めて泣くところ。

    「東京、二十歳」
    これもよかった。
    やっぱり思うだけではいけない、行動しなければ。

    「ローファー娘は体なんか売らない」
    心は売っているということ‥?

    「十六歳はセックスの歳」
    どうして最後にこの話を持ってきたのか…。
    突然眠りに落ちて長い間目覚めない珍しい病気があるというのはテレビで見たことがありますが、誰にでも起きることではなく、現実的ではない。
    リアリティにこだわってきたはずでは‥?

    都市部に住む人はどんな感想を持つのか気になります。
    可哀想と憐れむのか、こんなこと考えるんだって新鮮に思うのか、まったく感情移入できないのか…。
    作家自身、富山県の出身で大阪の大学を出ていますが、それこそどういう気持ちで書いたのでしょうか。
    自身の体験に手を加えたのでしょうか。
    また、これがありふれた地方都市(とあらすじに書いてる)の姿と言い切るのは間違いだし、地方都市に住んでいるすべての女の子のバイブルにはなりえないと思います。

  • この本の登場人物は、まさに自分と同類。イオンとEXILEを忌み嫌って、悦に浸ってる。自意識こじらせた面倒くさいだけの凡人。三十になっても四十になってもこんな燻り方をしてるのかもと思うとゾッとする。

  • 最近ではマイルドヤンキーが生息していそうな、地方都市が舞台の短編連作。
    小説というより、ルポ新書を読んでいるような気分になりました。
    地方の退屈感や、それをそこまで退屈と捉えていないけれど何か物足りなさを感じている若者たちの様子が、あるある過ぎてもう…。
    都会でうまくいかなくて帰って来たり、周りをひがんだり、サブカルに被れて「あなたとは違うんです」オーラを出してみたりとか、とにかく痛々しい。
    地方住みの人は、読むのが辛いのでは?

    ただの地方都市小説で終わるかと思ったら、後半は意外な切り口に。
    全編に何かしらの形で登場する「椎名くん」がいい味出ていました。こういう人、学校に1人は居るよなぁ。

  • 「椎名くんは、タモリにとっての吉永小百合みたいな存在なの!」という秀逸な比喩。

  • 集中して4時間で読み終わる本。
    これは、ハマる人にはハマる。世代と出身地、日々の生活スタイルや価値観がハマらないと、肩すかしをくらった感覚になるかもしれない。
    わたしは全てドンピシャ。なんともいえない、あえて感想を言うならエグい。

  • 読み終わってすぐは、けっこうあっさり終わるなー、っと思ったけど、自分の中で反芻してみたら、どんどん泣けてきて、涙が止まらなくてビックリした。

    自分は東京育ち東京在住だけど、身動きができない感じ、何者にもなれない感じ、私こんなはずじゃなかったのにという気持ちがふつふつと湧いてきて、、、

    ふがいない僕は〜を読んだ後の感情に近いかな。

    しいていえば、椎名の時間軸が逆ならもっと良かった。最初にしょぼくれた椎名を見せるんじゃなくて、ストーリーが進むに連れてだんだんと椎名の輝きが薄れて行く方が、ガツンとくる気がする。

  • 「ここは退屈迎えにきて」なんてインパクトのあるタイトルなのだろう。
    地方都市に住む女の子の話。一連の話の中で椎名くんが出てくるのだけど、彼のその時の時代がわかって面白い。過去は誰もが憧れるカッコいい男の子だったのに、だんだんその欠片がなくなってきて普通になっていく様がとてもよい。
    女の子の明け透けない感じがふむふむと共感できる部分もあって面白かった。

  • リアルとフィクションがまじってて
    境界線があやふやな感じが面白かった。
    椎名くんも絶妙な存在感だなあ。

  • 作者は同年代なのではないか?と思うような描写多数
    実際は少し年上だが、大筋はともかく細部は同じような時代を地方で過ごしてきた人にしか書けない内容だと思った。

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ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)の作品紹介

そばにいても離れていても、私の心はいつも君を呼んでいる-。都会からUターンした30歳、結婚相談所に駆け込む親友同士、売れ残りの男子としぶしぶ寝る23歳、処女喪失に奔走する女子高生…ありふれた地方都市で、どこまでも続く日常を生きる8人の女の子。居場所を求める繊細な心模様を、クールな筆致で鮮やかに描いた心潤う連作小説。

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