誰でもよかった (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344422575

作品紹介・あらすじ

"今、渋谷。これから人を殺します"男はインターネットの掲示板に書き込み、スクランブル交差点に軽トラックで突っ込んだ。十一人を無差別に殺し、センター街の喫茶店に篭城した男と交渉人との息詰まる攻防が始まる。凄惨な事件を引き起こしたのは「心の闇」なのか?警察に勝ち目はあるのか?世間を震撼させた事件の衝撃のラストとは-。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとものたりなかったですが、最後まで読むことでこのタイトルが秀逸!

    渋谷で発生した無差別殺人事件。11人を殺害。
    さらに犯人はセンター街の喫茶店に人質を取って籠城。
    交渉人との攻防が始まります。

    犯人はなぜこのような事件を起こしたのか?
    ある意味、承認欲求を満たしたいということかとも感じました。
    犯人にすれば「誰でもよかった」

    良くありがちの、誰かを殺すためのカモフラージュではありませんでした(笑)

    交渉人による辛抱強い会話。一方で、解決を急ぐ、理不尽な警察上部からの要求。度重なる課長からの不可解な判断と指示。
    現場って大変ですよね。

    犯人はどうなるのか?
    といったところから、
    最後明らかになる真相という展開です。

    「誰でもよかった」
    秀逸なタイトルでした。

  • 図書館で事務所に保管されていた本。凶悪殺人の話だからかな?
    たくさんの登場人物が出てきたが、一気に読破してしまった。
    警察の動きや犯人の動きがわかりやすくて、特に最初の高橋が犯行を行うシーンはドキドキしながら読んだ。何の罪もない被害者たちがいたたまれないし、自分がこの立場だったらと思ってしまった…

    最後はミステリー好きとしては、どんでん返しや横川さんの裏切り?なども勝手に期待してしまったけど、呆気なく終わってしまって拍子抜け。でも、渡瀬さんの真っ直ぐさ、横川さんのズルさ、対照的な刑事の描写が面白かった。

    実際の事件をモチーフにしているということで、こういうことは現実では絶対に起きてほしくないと強く願う今日この頃。
    事件が起きた時に、写真を撮ってる野次馬の描写があったが、これも現代を表しているなぁと。今の世の中何か事件があったら、写真や動画を撮る人ばかりな気がする。自分はどうだろう。そうはなりたくないなって改めて考えさせられた。

  • 秋葉原の無差別殺傷事件を思い出す。
    読みやすく、終盤までは面白く読んだけれど、最後あっけなく終わってちょっと拍子抜け。
    もっと最後に盛り上がったらよかったかなあ。

  • うーん。
    詰めが甘いかな。
    最後の横川と渡瀬の話にどんなオチがあるのか期待したけれど、中途半端。

    一気に読めただけに残念。

    結局「誰でもよかった」のタイトルありき?
    それはいいけど、ラストでどんでん返し的な物を期待したから、中途半端だと感じてしまったのかも。

  • 犯人は30歳前後のフリーター男性。
    渋谷スクランブル交差点に軽トラで突っ込み無差別殺人を引き起こす。
    センター街にある喫茶店にたてこもるが、
    特殊事件捜査係の刑事が交渉にあたる。

    作中描写で、犯人の社会から隔離されたような心情が出てくるが身近にもそう感じてる人は多いのかもしれない。
    一種の社会問題。

    タイトルの"誰でもよかった"は犯人の無差別殺人を指すものだが警察側も見せしめとして殺すのは誰でもよかったのである。

  • ネットで予告し連続殺人。理由は社会からの孤独、自分の存在証明、メディアに出て目立ちたい。
    現場にいない人は運が良かっただけ、現場にいた被害者は運が悪かっただけ。
    実際に同じような事件がある世の中だから、こんな考えの人がいて、それに共感する人もいて悲しくなる。被害者のことも考えてほしい。
    「誰でもよかった」ってほど理不尽な言葉はないと感じた。どちらの立場でも。

  • 無差別殺傷事件をテーマにした作品でした。
    物語はとても分かりやすく、サクサクと読み進めることが出来ました。登場人物の複雑な心境などが表現されていると予想していたので、少し期待外れでした。

  • 白昼の渋谷の交差点で無差別殺人が発生。その後、犯人はセンター街の喫茶店に籠城…。警察側の交渉人との息詰まる攻防の行く末は?
    タイトルの意味する結末だが、人によって意見が大きく分かれそう。個人的には国家側の考え方を認めたいが、それはあくまでも感情論になってしまう。法治国家故に、決して"誰でもよかった"という理屈はとおらない。

  • 秋葉原の事件をモチーフにした緊迫した怒濤の一日を追う。彼と交渉役の警察官とのやりとりが主。少しずつ会話が成り立っていく過程。なぜ彼はあんなことを行ったのか。動機や生い立ちは関係ない。やったことが事実だ。最後の警察官同士の会話はいらない。もったいない。

  • 無差別殺人事件の実況を見ているような感じ。淡々と進んでいって衝撃も何も無いけど刑事たちの現場を垣間見れた感じでそれなりに面白かった。

  • 結局最後まで、彼は顔を持たせて貰えなかった。
    有名になっても、誰も彼を知らない。よくわからない人のままだった。
    ただ一人、彼の顔を見ることができたのは、交渉人だけ。ただ一人。

  • 秋葉原の無差別殺人事件をモチーフとしたミステリー。
    車で交差点に突っ込み、その後ナイフで手当たり次第に殺していく冒頭の描写は迫力があった。でも、その後は喫茶店に立てこもっての交渉人とのやりとりばかり。犯人の動機等へ踏み込むことはなくラストを迎えてしまった。
    あぁ、そういう描き方のミステリーかと納得はしたが、スッキリしない。タイトルと概要説明で期待した内容とのズレが原因。もっと面白くなりそうなのにもったいない。

  • つまらない、というほどではないけれど、それほど面白くもない1冊。

    五十嵐貴久の小説は『交渉人』以来なのだけれど、『交渉人』ほど「息もつかせぬ」というような展開があるわけではなく、全体的に描写も浅い。
    『交渉人』は面白かったんだけどなぁ。。。

    今回唯一面白かったのは、最後まで読むとタイトルの意味合いの深みが増す点(※叙述トリックとかではないよ!)。

    ただし、それを書きたかったなら短編でよかった。
    最後にメインを盛り込むことで、逆に、全体が冗長だったように感じられ、「それだけを言いたいがためだけにここまで読ませたのかよ」と思ってしまう。
    あるいは、どうせ長編にするんだったら、もっと警察側や犯人側、人質側などの心理描写を深めていたら、こんなにも「最後以外がぜんぶ蛇足だった」感を味あわなかったじゃないかと思う。

    いずれにしろ、全体的に何もかもが中途半端な感じが拭えない1冊。

  • ネゴシエーターが主人公の話としては「交渉人」の方が奥深くて面白かったというのが、読後の率直な感想かなぁ。

    このタイトルが犯人のセリフではなく、警察側が下した処置の理由ってところが驚きポイントなのかもですが、ちょっとインパクトが弱かったかも。

    それは、作中で横川がわざと高橋を刺激するために理不尽な指示を出すあたりに感じた、違和感に近い非現実感——いくらなんでもリアリティがなさ過ぎないか?という疑問——に由来する気がします。

    横川が普段無能と思われている人物だったらその言動は自然に映ったかもしれませんが、けしてそうではない人物があからさまに不自然な行動をとっていたので、そこに不信感やうさんくささを感じざるを得なかった訳です。

    そう思うと、横川が普段無能と周りに思われている人物だったと描写されている方が、本作は面白かったかもしれません。

    無能と思われる横川の行動が計算づくであること。警察の価値観が個々人の生死や幸福感より、社会全体のそれを優先すること。そのためには個々人の命など歯牙にもかけないという現実。

    横川=無能、とすると、そんな印象操作ができたんじゃないかなー。素人考えですが……

  • 秋葉原で起きた無差別殺傷事件に着想を得たのだろうとは思いますが、犯人像や、ラスト部分など、ちょっとあっさりしすぎているように感じました。
    もう少し書き込むと、厚みが出てリアリティも感じられたのではと思います。

  • 「誰でもよかった」の2つ目の意味が明かされたところでゾクッとした
    横川の行動が意味不明でこの人はなんか怪しいと思いながら読んでいたけど最初から結末を考えていたとは…
    これはこれで横川の正義だったのかもしれないけど、責任を取って辞職するつもりとか言いながら報告書を自分の都合がいいものにしようとしていて、さらに上との何かがあるのでは?と疑ってしまった

    渡瀬が高橋と交渉しているところはドキドキしながら読んだ
    めちゃくちゃ応援した
    それだけにこの結末は悔しかった
    でも面白かった!!


  • 結末もなんとなーく分かる。
    あんまりどきどきハラハラしない。

    初心者向け

  • こんな時代だからこそ、刺さった。

    警察の2人の判断。
    どちらが正しかったのだろう?

    解説にも少しあったが、高橋を「人間」として扱うか、「大量殺人犯」として扱うかで変わってくる。
    人間として対話し、理性的に解決しようとする渡瀬。
    分かり合えない存在だとして、最初から殺すつもりだった横川。

    分かり合えない存在を都合よく切り捨ててしまっていいのだろうか、、、?

    だが、横川の判断も間違っているわけではない。
    潜在的な大量殺人犯に対しては、どうしても後手後手に回ざるを得ない。
    事件を未然に防ぐのは難しい。

    「大量殺人犯は殺される」という見せしめは結果的には未来の大勢の人間を救っただろう。
    膨らみ続ける風船は、いずれ割れてしまう。
    割れる前に誰かが処理しなければいけないのである。

    物語では横川の行動を渡瀬は「殺人である」として非難しているが、必要悪なのではないだろうか。
    もみ消そうとする態度には引っかかったが、、、

    「誰でもよかった」に罪のない人間が殺され、「誰でもよかった」に未来の人間が救われた。

    これは現代版のトロッコ問題だと思った。
    高橋を「人間」として扱い、未来の人間を見殺すか、「大量殺人犯」として、みせしめて殺すか。
    どちらが正しい判断なのだろう?

    残念なのは、物語と現実では状況が変わってしまったことだ。
    今の時代、「大量殺人犯は殺される」というのは抑止力には弱い。
    いわゆる"無敵の人"にはそんなのは関係ない。

    私たちはいやおうなしに薄氷の上を歩かされている。

  • 最後の最後でタイトルの意味が分かってゾッとする

  • 渋谷通り魔殺傷事件を起こした犯人が喫茶店に立てこもり、逃亡を図るために警察と電話で取引きしようとする話。

    犯人が事件を起こすシーンは、被害者一人一人の人物像だったり背景が描かれていたし、臨場感があって引き込まれるものがあった。

    ただ、立てこもった後からが長すぎる。ここまで長くするなら、身勝手ながらも犯行を実行するに至った心情、渡瀬の焦りと葛藤をもう少し描いて欲しかったし、なぜ横川が不可解な言動を繰り返すのか匂わせて欲しかった。

  • 【でもよかった】

    コレほど残酷な言葉はないと思う。

  •  

  • 厳しめ評価で2かな、と。
    無差別殺人と、その後の立て篭もり。という設定による緊迫感はあるのだけど、それのみで、もう少し登場人物(この場合、渡瀬かな)の心理描写なんかがあると、深みがあったんじゃなかろうか。

  • 作品の題材になっているのは2008年6月8日に秋葉原で実際に起きた通り魔事件である。
    けれど、作品の重きは犯人・高橋の心情ではなく、交渉人である渡瀬の交渉過程におかれている。
    最後まで読み終えてもなお、作者である五十嵐さんの伝えたかったことがわからない。
    いったいこの作品で何が言いたかったのか。
    繰り返される高橋と渡瀬の交渉。同じことの繰り返しでページが埋まっていく。
    もっと違った視点から書けなかったものだろうか。
    唯一、「なるほど」と思ったのはタイトルのみ。
    「誰でもよかった」。
    犯人にも警察側にも、その誰かを大切に思う人たちがいる・・・とは考えていない。
    あくまで「命のある人間」がターゲットならばそれだけで条件に当てはまった。
    性別も年齢も、職業も、すべては関係ない。
    「誰でもよかった」のだから。
    読んだ!!という充実感もなく、後味の悪い作品だった。
    五十嵐さんの作品はよく読むので、本当に残念な気がした。

  • 〜と言った。ーと呟いた。が多かった。
    あっさり結末を迎えたが実際に起こったらこんなもんだろう。
    タイトルもうまく回収したと思う

  • スクランブル交差点に軽トラックで突っ込み、11人を無差別に殺傷した男は、人質をとり喫茶店に籠城する。
    その男と警察官の緊張感漂う交渉。
    人質は無事に救出出来るのかと、手に汗握る。
    犯人の心の闇、現代社会の在り方。
    様々なものが頭をよぎる。
    そして、結末…あんなことが待ち構えているとは…

    2016.6.17

  • うーん、なんだかあっけなく読み終わってしまった、
    誰にも、感情移入できずに終わってしまいました。
    とても読みやすいんだけどね。

  • 「交渉人」とは銘打ってないが、交渉人が出てくる話。
    取って付けたラストもなかなかに恐ろしい。

  • 読まなくても良かった。

  • インターネットの掲示板に殺人予告を書き込んだ犯人が渋谷のスクランブル交差点で引き起こした無差別殺人。犯人はセンター街の喫茶店に人質とともに籠城する…

    恐らく、秋葉原の無差別殺傷事件をモデルにした事件であろうが、今の日本なら、どこで起きてもおかしくない事件を迫真の描写で描いている。特に冒頭で犯人に次々と殺害される人びとの視点を通した描写には鬼気迫るものを感じた。また、警察と犯人の息詰まる攻防、駆け引きに思わず、物語に引き込まれた。

    しかし、何という結末だろうか…期待していたのは、どんでん返しだったのだが…残念。

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著者プロフィール

1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。『リカ』で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞し、翌02年デビュー。以来、警察小説・青春小説・サスペンス・時代小説等、ジャンルにとらわれずに活躍中。

「2023年 『交渉人・遠野麻衣子 爆弾魔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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