晴れときどき涙雨 髙田 郁のできるまで (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344422827

作品紹介・あらすじ

『銀二貫』、「みをつくし料理帖」シリーズなどで大人気の時代小説作家・高田郁。その優しさと温もりに満ち溢れた作品の源流は、ここにあった!!法曹界を志し、挫折を味わったこと。交通事故に遭い、後遺症に苦しんだ日々のこと。阪神・淡路大震災の経験-。艱難辛苦を乗り越え手にした希望とは?文庫版あとがきを加えた、貴重な初エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな髙田郁さんのエッセイ。
    このエッセイは女性漫画誌「オフィスユー」に連載されていたもの。
    髙田郁さんの本と出会ったのは【みをつくし料理帖シリーズ】で、彼女の原作漫画は読んだことがありません。
    【みをつくし料理帖】はもちろん【銀二貫】・【出世花】も大好き。
    こんな素敵な本を書かれる人なのだからと、髙田郁さんに対する勝手なイメージをふくらませていたのですが…
    このエッセイを読んで、とても強いひとなのだということがひしひしと伝わってきました。
    辛い経験、苦しい思いもたくさんされているのに、こんなに優しい文章が書ける人。
    特に、交通事故にあわれてからの髙田さんを思うと、ほんとうに素晴らしい人だと思いました。
    何度も読み返したい本です。
    ますますファンになりました。

  • とても温かく優しい本。
    山本一力さんの『明日は味方』と言う言葉。
    言葉って力強い。

  • 傑作「みをつくし料理帖」の作者の生い立ちを知りたくて手に取った1冊です。学校ではいじめを経験し、司法試験に4度失敗し、交通事故被害者となり一時は右手の握力が4㎏となり今も後遺症に悩み、そして両目の網膜に孔があき失明の恐れのある満身創痍の作家だということを知りました。でも、そうした弱さや挫折が、弱者へのいたわりや思いやりとなって見事に登場人物のキャラに投影されています。
    本書は、女性漫画誌に長期連載されたエッセイをまとめたものですが「機関車と本と先生と」「ありがとう」「夕焼け小焼け」「縁と絆」など短編小説につかえそうなクオリティです。
    作者のあとがきも2編あるお得な1冊です。

    髙田 郁(たかだ かおる)
    1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
    中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
    代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

  • 小説はずっと読んでたけど、エッセイは初めてで、今まで知らなかった高田郁さんの事がいろいろわかった。
    学生時代の教師の心無い言葉からいじめられ、自己肯定感が低かった事、司法試験に落ち続け、法曹界を諦めた事、交通事故により右手に後遺症が残ってしまった事、網膜に穴が開く病気になり、悔いを残さないために時代小説を描いた事などなど。
    高田郁さんの物語には、すごく他人をいたわる人が沢山出てくるけど、その理由がよくわかった。
    司法試験に落ちて諦めざるを得なかったのはさぞお辛かっただろうけど、それがあっての今、高田さんが小説家になってくれて本当に喜んでる読者がいっぱいいるので、なるべくしての今、これからもすてきな小説をいくつ描いてくださるか、期待してます!

  • 積ん読からようやく読了。
    短いながらも、じんわり泣けてくる。
    やっぱり人柄なんだろうね。

    早く新作にあいたいよー!

  • みをつくし料理帖の作者、高田郁さんのエッセイ。
    まだ本名の高田郁として世に出ておらず、漫画原作者の川富士立夏という名前で連載をしていたエッセイを一冊にまとめたもの。
    単行本で発刊されたときから知っていたけれど(なにぶんビンボウなもので)ようやく文庫本にて入手できました。

    高田郁さんのお人柄がにじみ出るようなやさしい文章と内省の日々。
    精進を重ねる澪は、高田さんの内にも根付くものなのだと感じた。だからこそ、澪のひたむきさは絵空事としてでなくどこか現実味を帯びてわたしたちの胸に届くのかもしれない。

  • 大好きなシリーズ「みをつくし料理帳」「あきない世傳 金と銀」の著者、高田郁さん。サブタイトルどおり、まさしく“高田郁のできるまで”のエッセイ。著者がどんな人だかまるで知らなかったが、あたたかいエッセイのなかに、お人柄がうかがえ、私もほっこり、嬉しくなった。もう10年以上前(今程有名でなかった頃)に書かれたものだけど、この本を読んで、更にこれからの作品が楽しみになってきた(^o^)

  • エッセイだから、そうそう泣く事ないだろう。なんて軽く開いたのに、髙田さんの真摯な姿勢に双眸が潤む〜 やはり電車で読むのは危険。

  • 初めて本屋さんで「八朔の雪」を見た時、全然知らない作家の本でしたが、呼ばれた気がしました。
    本屋で見かけるたびに気になっていましたが、忙しい時期だったので気がつかないふりをして、通り過ぎていました。
    でも手に取ったら、大当たりで。

    登場人物たちは皆、苦労人です。
    辛いことを抱えて生きています。
    その苦労が、他人への優しさ・思いやりとなり、卑屈にいじけたりしないところが、読んでいてとても気持ちがいいのです。

    このエッセイを読んで、ああ、この人は「みをつくし」シリーズの作者なんだなと、文章のすみずみから感じることができました。
    自身も大きな挫折をいくつかしているようですが、困っている人に手をさしのべることに躊躇しません。
    自分も周りの人に助けられた。だから今度は自分が別の困っている人を助ける。
    それを当たり前と思い、行動する。
    こういう人だから「みをつくし」の世界を書けたのだなあ。

    読んでいて何度も思う。
    「私、この人のこと好きだなあ」
    この人の、柔らかな前向きさは、生来持っていたものもあるかもしれないけれど、挫折を乗り越えて得たものでもあると思う。

    例えば。
    交通事故の後遺症で、「中心性脊髄損傷」になり、右手の握力はたったの4キログラム。
    お箸より重いものが持てなくなってしまう。
    そこで自分のことを「姫君」のようだと書く。
    舞踏会の代わりにリハビリに通い、「お箸しか持てない姫君」から「小皿も持てる姫君」「パン皿も大丈夫な姫君」へと進化を続け、ゆくゆくは「ビールジョッキ(大)も持てる姫君」になりたい」と書く。
    絶対リハビリはつらいはず。
    だけど、姫君の生活を今は楽しむんだと、そう書ける彼女の芯の強さ。

    失明の恐怖と戦いながら書いた作品が時代小説の小さな賞を取ったとき、授賞式で選考委員の山本一力にサインをもらう。
    そこに書かれていたのは署名と『明日は味方』という言葉。
    今日は試練の一日だったとしても、明日は味方。

    人との出会いをとても大切にする彼女は、挫折をするたびに人として大きくなっているのではないかと思う。
    大きく、温かく。
    いつも手元に置いておいて、心に屈託のある時にこの本を開けば、少し勇気が持てる。
    そんな本です。

    話は変わりますが、「ごちそうさま」に対する言葉は、「お粗末さま」だと思っていましたが、関西では「よろしおあがり」というのだそうです。
    上京して今の言葉を言うと、食べ終わったあとに「おあがり」は変じゃないかと友だちに言われ、確かにどうしてこの言葉なんだろうと思ったと書いてありました。

    この「おあがり」は、「召し上がれ」の「あがり」ではなくて、双六の「あがり(ゴール)」のことなんじゃないかと思います。
    「ごちそう」に対して「お粗末」とことばの意味上で返す関東とは違って、「ごちそうを食べました」に対する「よいおあがり(よい食事でしたね)」なのではないかと。
    初めて聞いた言葉なので、間違っているかもしれませんが、もしそうだとすると、優しいやり取りですよね。
    「おいしかった~」「それはよかったね」って感じ?

  • やっぱり良いです。
    エッセイもしみじみです。
    いい時に巡りあえて良かった。

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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