七十歳死亡法案、可決 (幻冬舎文庫)

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著者 : 垣谷美雨
  • 幻冬舎 (2015年2月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344423053

七十歳死亡法案、可決 (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 高齢化社会、引きこもりの若者、ブラック企業…。
    今の社会の問題そのもの。
    一人の主婦がなぜこんなに苦労を背負わなきゃいけないんだろう。
    逃げ出してようやく周りがその重荷について考え始め動き出しても、それは東洋子の為では無く降りかかってきた自分を守る為。
    家庭での介護には限界がある。
    みんな誰かの助けが必要だし、助けを求める声をあげる事も必要だと思う。

  • 最初読んだときは、「百年法」と、「火の粉」の嫁姑部分を足したような話だな、と思ってました。
    ちょっと違ったけど。

    「百年法」はすでに施行されてからの話だったけど こちらは施行されるまであと2年の時。

    70歳死亡法案だとしたら、私の父はいま71なのでもうダメだ。
    だとしたらこんな法案受け入れたくない……と思うけど、義父母もその案でいくと……?と考えると、なかなかいい案じゃないの、なーんて思ってしまう。

    でも確かに、ここまで思いきった法案を出したら、みんなよく考えて世の中ちょっとはよくなるかもな。

  • 『七十歳死亡法案、可決』 垣谷 美雨 幻冬社文庫

    第一章のタイトルが、いきなり「早く死んでほしい」!
    ページをめくると時は2010年、「七十歳死亡法案」の可決と解説の雑誌記事の抜粋が。

    「日本国籍を有する者は誰しも七十歳の誕生日から30日以内に死ななければならない。」例外は皇族だけ、政府は国民に安楽死の方法を数種類用意する方針だと言う。
    予想を上回る少子高齢化で、年金制度は崩壊し、医療費はパンク寸前、介護保険制度に至っては財源が追いつかなくなっている。それがこの法案を施行することで、一挙解決する予定。

    例えチラリと心で思っても、表立って口には出せない事が、5年後のこの国では法案施行初年度、次年度の死亡者数まで政府が試算して、大真面目に語られている。勿論この法案が世界中から非難を浴び、人権侵害の最たる物と糾弾されている事も書かれてはいるが…。不穏だ。

    しかし、「本来ならば喜ばしいはずの長寿が、国の財政を圧迫する原因となっただけでなく、介護する家族の人生を台無しにするような側面があることは今や誰も否めない」と詰め寄られれば、今の日本の状況が、あと5年経たなくても既にそうだとしか言えない。

    そんな穏やかでは無いタイトルと始まり方の本書であるが、実は内容は介護家庭あるあるの、人間ドラマ。面白くて一気に読めてしまった。寝たきりの84歳の菊乃を抱える「宝田家」の人々を通して法案可決後の市井の人々や一家庭の姿を重すぎず、軽快に書いていく作者の力は凄い。

    介護負担が嫁にだけ被せられる現実、遺産の話には飛んでくるが後は知らん顔の親戚、引きこもりの息子、家に寄り付かない娘、仕事人間で信じられないぐらい鈍くて自己中心的な夫、それぞれの立場からの本音が語られる。勿論あと二年で死ななくてはならない菊乃の本音も。
    特に全てを背負い込んで介護に縛られる嫁の東洋子が、法案施行で奴隷の様な日々が終わるのをひたすら待つ姿は不憫を通り越してイライラするほどだ。

    若者の雇用実態や、病院では元気に回復していたのに、老人施設に入れられ、胃瘻と気管切開で、ただ生きているだけの老人の姿も書かれ、自分の経験から身につまされる部分もあった。
    そして、余りの家族の非協力と夫の脳天気な自己中、義母の我儘に遂に東洋子がキレて家出を決行する辺りから話はどんどん動き始め…。

    この中に出てくる人物で、最も現実的で生き生きしているのが離婚して一人暮らしをしているある女性と、独身を通して仕事をしている東洋子の同級生だと言うのもちょっと考えさせられた。

    さて…法案は施行されるのか、「宝田家」に明日は来るのか?それは読んでのお楽しみ。

     

  • 超高齢社会に突入した日本だからこそ、現実味ある話だった。

  • そう遠くない近未来の日本。高齢化により、福利厚生費、医療費で国家財政はパンク寸前。政府はこの問題を一気に解決するために「七十歳死亡法案」を可決する。日本国民は誰もが70歳にして安楽死させられることになった。

    そんな過激な法案施行まであと2年。日本社会は若者と老人が対立し、険悪なムードに・・・ということにはならず、意外に冷静。財政は健全化、若者は老人介護や税負担減少に喜び、老人は寿命が決まったことで先を考えずに日々を楽しく過ごせる。

    そんなうまくいくはずないだろう、とは思う。しかし、今の日本の高齢化問題を解決するには、これくらい強引で非現実的な手段が必要なのかもしれない。

    作品に登場するのは、わがままな高齢者、家庭のことには一切興味のない夫、介護疲れの妻、派遣社員でワークプアの長女にひきこもりニートの長男が住まう宝田家。未来の見えない彼らだったが、この法案をきっかけに家族の団結を果たす。

  • 2020年、65歳以上の高齢者が国民の3割を超えた日本。社会保障費は過去最高を更新し続け、国家財政は破綻寸前まで追い詰められていた。そこでついに政府は大きな決断を下す。
    「日本国籍を有する七十歳以上の国民は誕生日から30日以内に死ななければならない」という七十歳死亡法案を可決したのだ。
    2年後に法律の施行を控えたある日、ごくありふれた家庭の宝田家にも小さな変化が起こり始めていた。
    義母の介護から解放されようとしている妻、家のことはすべて妻に任せきりの能天気な夫、超一流大学を卒業しながら就職に失敗し引きこもっている息子、ひび割れかけた家族から逃げ出した娘、寝たきりでわがまま放題の祖母。

    一番身近で誰よりも分かってほしい家族なのに、どうして誰もこの痛みを分かってくれないんだろう。究極の法律が、宝田家に変革をもたらしていく。

    以上、そんな作品です。
    まずは高齢者割合大に伴う介護・医療・年金負担という現実的に重要な問題を真正面から描き、1つの悲惨な例を宝田家として扱い、
    最初は悲惨な現実に痛みを感じつつも、きちんと家族や周囲が良い方向に変わり行き、見事なエンディングに昇華した点が素晴らしく、
    実際の政治家たちに是非読んでもらって、こういう国家改革を実現して欲しいと思える名作でした!
    誰にも避けては通れない問題なので、全ての方にオススメです(^-^*)/

  • 藤子・F・不二雄先生の「定年退食」などを彷彿とさせる、超長寿社会の末路を描く作品。テーマはとても重いが救いのある話だった。文句も言わず介護を一手に引き受けていた主婦が家出し、そのおかげで残された家族がしっかりするというのは良い話でもあるが、こんなにうまくいくだろうか、とも。そのこの人は救いのある話を書く人なんだなぁ。それにしても文章が読みやすい。

  • 評価は5。

    内容(BOOKデーターベース)
    高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!

    文章も内容もとても簡単で分かりやすい。にも関わらず財産目当ての実の娘の言動やら、駄目亭主の言動に一々怒りがこみ上げてくるほど入り込めちゃう。身近な問題だからだとおもう。
    今現実声は届かないけど国民がイライラしている参○院不要とか議員報酬カットとかを次々廃止しちゃう思想的な総理大臣・・・出ないかなぁこんな人。と思いながら読みとあっという間に読了!

  • 現実には難しい法案だと思うけど、こんな世の中になったら、ずいぶん生きるのが楽になるなぁと思った。今はお気楽に毎日過ごしてはいるけど、老後のことを考えると不安しかない。
    早死にするのか長生きするのかもわからない老後のために、我慢して節約して…
    こんな法案できたら、限られた人生を後悔なく生きられるんじゃないかと思った。

  • テーマは重いけど着地が明るいため、爽やかな読後感です。
    せっかくだから、法案が施行されたらという切り口のものも読んでみたいな。

    個人的には、もういいや、と思った時に合法的に死なせてくれる法律があったらいいなと思っています。色々問題が有りすぎて難しいだろうけども。

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七十歳死亡法案、可決 (幻冬舎文庫)の作品紹介

高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!

七十歳死亡法案、可決 (幻冬舎文庫)はこんな本です

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