- Amazon.co.jp ・本 (690ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344423749
作品紹介・あらすじ
誠、正二、香の兄妹は、東京の古いアパートで身を寄せあって暮らしている。父は失踪し、母は寝たきりの状態だ。多額の借金を返し、家族を養うため、兄妹はある犯罪に手を染める。やがて世界の紛争地に生きる少年たちの日々が、兄妹たちの生と響き合う…。愛も夢も奪われた仔らが運命に立ち向かう、究極の希望の物語。第67回毎日出版文化賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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久し振りに手に取る天童作品。
長かった。そして重かった。
ダラダラと読んでしまうかなと思っていたけれど、
意外とスピーディーに読め、短時間で読了。
借金を背負い、父は失踪。母は寝たきり。
長男は働いて生活を支え次男はそれを手伝う。
一番下の妹は幼稚園児なのだが無邪気さは余り感じず。
三人の兄妹は生活のため、犯罪へも手を染めてしまう。
いやー、重かった。空気が。
周囲の大人からも見捨てられている子供たち。
まともな大人が余り登場せず。
どうにか負の連鎖を断ち切り、光へと進める子供たちとなって欲しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
借金の連帯保証人となり失踪した父、執拗な取り立てに精神を病み二階から飛び降りて頭部に怪我を負い植物状態になった母。17歳の誠と12歳の正二はヤクザの指示のもと、借金の返済のため生活のため覚醒剤とアンナカのパケづくりを請け負う。二人の妹で幼稚園児の香は見えないはずのものが見え、兄の正二は母が寝込んで以来色彩を失い、学校でも居場所がない。
不法入国し身を売って祖母の世話をしているルスランとの絆、同じく両親の借金のかたとしてデートクラブの女の子の管理や売人をさせられているヤンズへの想いなど、状況が悲惨すぎてこれは本当に日本が舞台なのか?と混乱する。誠が創り出した、瓦礫の国の少年リートの物語がさらに混乱に拍車をかける…。
父の失踪の真実がまた悲惨で…なんというか新年1冊目に読む本としては暗すぎた…。 -
子供達たくましい。最後まで読んで良かった。
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久しぶりの天童荒太の本。
この人の作品は、ひとつひとつにもの凄く力が入っていて、じっくり創作、制作されているので、バンバン創刊されるわけではない。
以前に読んだのが、「悼む人」
直木賞作品で、映画にもなったけど、私は全然共感できなかった。
つまり面白くなかった。
それに比べて、この「歓喜の仔」は面白かった。
面白いといっても、もの凄く暗く、重く、救いようのないストーリーなんだけどね。
高校生、小学生、幼稚園の3人の子供が主人公。
多大な借金を背負った父親は借金取り(ようはやくざ)に追い詰められ失踪。
母親も精神を患い自ら窓から転落し植物状態に。
家族を養うために長男は高校を中退し、早朝から深夜まで働きづめ。
その給料は借金の方にほとんど持っていかれ、生きていくため借金取りのやくざに言われるまま、覚せい剤の調合を小学生の弟とやらされる。
小学生の弟は、植物状態の母親をアパートで介護し、同時に妹の面倒を見る。
幼稚園の妹は、母親が倒れてからおかしな行動を取るようになってしまう。
兄弟3人と父親、母親の5人の物語が断片的に綴られていく。
その中で長男は、自分の中に同様な境遇を持った戦場で暮らす少年のストーリーを展開し、自分と重ね合わせていく。
やくざのような人間達と付き合い、騙し、騙されが当たり前の生活の中で、最後には兄弟達が信頼しあって、これからも生きようとしていく。
かなり好みが分かれると思うけど、「永遠の仔」とともに、この本もかなりお勧めです。 -
再読
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読解力が足りないせいか、悲惨さだけが心に残った。
救いは感じられなかった。 -
父は借金を残して失踪、母は心を失って寝たきり、残された三兄妹。そんな状態でも借金取りは容赦なく返済を迫り、長男と次男は覚醒剤の袋詰めという内職をやらされることになる。長男はその筋の人たちに利用されるが自分の頭で考えて行動し、次男は家族を守るために秘密を必死で守る。末の妹はまだ幼稚園ながらも自分が良いと判断したことを行動に移していく。
それぞれが大事なものを守るため、必死で行きていく話。
物理的には幸せにならないが精神的な幸せにすがって兄妹が生きていく話という印象。兄妹それぞれが大事と思える人と出会って彼らとの絆を守りつつ根底では家族がしっかり結びついているみたいな感じ。
読解力がいまいちなせいか、言いたいことにインパクトがなく、ただ長いだけのように感じた。