大事なことほど小声でささやく (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344423800

作品紹介・あらすじ

身長2メートル超のマッチョなオカマ・ゴンママ。昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通うスナックを営む。名物は悩みに合わせた特別なカクテル。励ましの言葉を添えることも忘れない。いつもは明るいゴンママだが、突如独りで生きる不安に襲われる。その時、ゴンママを救ったのは、過去に人を励ました際の自分の言葉だった。笑って泣ける人情小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「スナックひばり」を営む身長2メートル超えのマッチョなオカマ・ゴンママが、スポーツジム仲間やスナックバーテンダーの人生観に寄り添い、大事な言葉を小声で捧げるコミカルでハートフルなオムニバス連作短編集。

    初森沢明夫作品。
    私は、とても、満たされた。
    久々に至福度の高い作品と出逢えたことに『ありがとう』と小声ではなく大声で叫びたい。

    本作はゴンママを中心に、サラリーマン、漫画家、高校生、歯科医師、社長のジム仲間を含めた6人の視点からそれぞれの人生が語られる。

    ある者はひとり娘へエールを送り、ある者は芸術家としての責任を過多に背負い、ある者は紙飛行機で愛を謳い、またある者は亡くした娘を想い、ある者は経営者として従業員を守り、そしてゴンママは突如襲ってくる不安や孤独感に涙し、気を紛らわすかのようにダンベルを上下させる。

    それぞれジム仲間であり飲み仲間が抱える苦悩を、ゴンママがユーモアを交えて心ある言葉を贈る。その言葉が登場人物を通して、読者の目を通して、ココロの奥の方までじわじわと侵入してくる。

    「一番苦しいときに笑うって、人生の極意なのよ」

    「人生に大切なのはね、自分に何が起こったかじゃなくて、起こったことにたいして自分が何をするか、なのよ。」

    「いま、この瞬間のことだけを考えて、自分なりに素敵に生きればいいの。いまを素敵に生きれば、未来はその延長上に作られるから、きっと素敵なものになるのよ」

    「夢を叶えた瞬間にね、ああ、わたしのこれまでの人生は、今日、この日のためにあったんだって。辛かった過去がキラキラした大切な思い出に変わるの。」

    最後はゴンママの苦悩を、過去に自分が放った言葉と愉快な仲間達が救う。


    そして読者である私もゴンママの言葉を受け取り、自問する。

    苦しいときこそ笑えているだろうか。
    起きた出来事と対峙し行動出来ているだろうか。
    いまを素敵に過ごせているだろうか。
    辛い過去を大切な思い出に変えられているだろうか。


    私にとって、ひととの繋がり一番大事。
    今までそれなりに経験を積み重ねてきて、時に寄り道をしながらも、至極自然とその答えへたどり着いたように思う。

    ひとから得られるものは、お金で得らるものより何百倍、何万倍もの価値があるし、今までも間違いなくそうだった。

    私にとっては、ひととの繋がりを大事にすることが、それぞれの自問を果たせるであろうと、読後に導き出された自答であった。



    別段、私ごとを小声でささやく。
    今秋に、とある資格試験を受検する。
    目的は特化した知識知見の習得と、肩書きとなるエビデンス取得のためだ。前回の合格率が20%を切る超難関である。不器用な私は学業一点集中型で挑まないと、到底合格は不可能であるとの判断に至った。

    ブクログをはじめて715日目、通読・視聴作も250作品目という節目で、大好きな小説読書と大好きなブクログを一旦お休みする。

    悔いなく受検を終えたらまた読書を、そしてブクログを再開したいと思う。ここは私にとって、大切なひとたちと繋がることが出来る大事な場なので、また皆さんと再会出来ることを愉しみに、とことん頑張ります。目標は圧倒的合格です。


    皆さんがこれからも感情を揺さぶってくれるであろう作品たちと、たくさんたくさん出会えますように。

    2022.07.18
    akodam

    • akodamさん
      megmilk999さん、おはようございます。
      コメント嬉しいです!学習進捗としては計画と実績にギャップが生じていて少々焦ってますσ^_^;...
      megmilk999さん、おはようございます。
      コメント嬉しいです!学習進捗としては計画と実績にギャップが生じていて少々焦ってますσ^_^;これから勉強はじめます。応援ありがとうございます!受験終えましたらブクログでの再会を楽しみにしています^ ^
      2022/08/07
    • アールグレイさん
      アコダムさん(^_^)/ごめんなさい
      最近お姿を見ないと思っていました。レビューを最後までキッチリ読んでいたらアコダムさんのお休みに気付けま...
      アコダムさん(^_^)/ごめんなさい
      最近お姿を見ないと思っていました。レビューを最後までキッチリ読んでいたらアコダムさんのお休みに気付けました。受験、大事です!返信はいりません。その分勉強に使って下さい。
      体を大事に、頑張って、応援させて頂きます。返信はなしデスよ
      (^・^)
      2022/08/29
    • ロニコさん
      akodamさん
      こんばんは。
      以前、中島京子さんの「やさしい猫」にコメントを下さったのに、気が付かず大変失礼を致しました。
      通知をオンにし...
      akodamさん
      こんばんは。
      以前、中島京子さんの「やさしい猫」にコメントを下さったのに、気が付かず大変失礼を致しました。
      通知をオンにしているのですが、メールが届かなかったようです(たまにあるようです)。
      資格のお勉強をされるとのこと、私のみならずたくさんの方が寂しくなりますが、どうぞ専念なさって下さい!
      そしてまた、ここでお会いできることを楽しみにしております。
      ブク友さんはおおらかな方ばかりで、数少ない癒される場所ですからね^_^
      2023/06/14
  • お世話になった人に温かい気持ちになれる本をプレゼントしたくて選定した本。
    自分用にも購入して、読んで良かったのでプレゼント確定しました!

    ゴンママの1つ1つの言葉が押し付けがましく無い、教訓になる素敵な言葉ばかりでずっと大切にしたい本。

    スナックひばり、飲みに行ってみたい!

  • こちらも会社の先輩にお借りした一冊。

    おっと、この装丁!
    知ってる!!
    皆様の本棚で何度も拝見したヤツだ!期待度マックス(*^▽^*)

    身長2メートルを超える大きなマッチョなオカマ(笑)通称ゴンママは、昼間はジムで体を鍛えて、夜はスナックを営んでいる。
    スナックは普段ジムで顔を合わせる楽しいメンツがそれぞれ悩みを抱えながら訪れる。
    ゴンママのお店では、そこで働くカオリちゃんが、それぞれの悩みに合ったカクテルを作ってくれる。
    ゴンママの素敵な話に励まされ、そこに通う人は笑顔にさせられる(*^▽^*)
    そんなゴンママにも不安があった。。。


    連作短編で、ジムのメンバーが順番に描かれる。
    うだつの上がらないサラリーマンの本田宗一。
    実は売れっ子の少年漫画家の井上美鈴。
    親が離婚し、父親と暮らす高校生の国見俊介。
    娘を亡くし悲しみのどん底に沈む歯科医の四海良一。
    広告代理店社長の末次庄三郎。
    そして最後に通称ゴンママ、権田鉄雄。

    それぞれが短編なので、短編嫌いの私にはもちろん物足りないのだが、登場人物は最初から最後まで繋がる為読みやすい。

    どれも森沢先生らしく、ふわっと心温まるようなお話ばかり(^_^)
    歯科医の先生のお話は、悲しみの度合いが強くて、なかなかにくるものがあった。
    どの作品も魅力的な作品で、隙間時間に読みやすい(*^▽^*)

    • bmakiさん

      shukawabestさん

      あけましておめでとうございます。
      こちらこそ、昨年はありがとうございました。今年もよろしくお願いしま...

      shukawabestさん

      あけましておめでとうございます。
      こちらこそ、昨年はありがとうございました。今年もよろしくお願いします。

      この作品が刺さったのであれば、
      マカン・マラン - 二十三時の夜食カフェ
      著者: 古内一絵
      ↑こちらも超おすすめですo(^▽^)o

      オカマ大好きです(*^▽^*)
      なんだかポジティブで、優しいのに力強くて。
      親友にオカマちゃんが居たら最高だろうなぁなんて思っちゃいます(*^▽^*)
      2024/01/01
    • shukawabestさん
      ありがとうございます。
      オカマが特に好きと言うわけでもないのですが、バーだと、会話が楽しい、という話もよく聞きますし、オカマがいい味出してい...
      ありがとうございます。
      オカマが特に好きと言うわけでもないのですが、バーだと、会話が楽しい、という話もよく聞きますし、オカマがいい味出しているな、と感じる他作品もありました。(タイトル忘れました)。僕の周りにもカミングアウトしている友だちはいませんが、この先出てきたとしても変わらず付き合って行ければなと思っています。
      「マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ」図書館予約しました。80人以上先約の方がいるので、手元に来るのは六月以降になると思うのですが読み終えたらレビュー書きますね。
      今年もよろしくお願いします。
      2024/01/02
    • bmakiさん
      shukawabestさん

      と言う私も、オカマのいるバーに行ったのは一度きりでした^^;
      とっても楽しかったですよ。
      オカマは女の...
      shukawabestさん

      と言う私も、オカマのいるバーに行ったのは一度きりでした^^;
      とっても楽しかったですよ。
      オカマは女の子が嫌いなのよー!とか言いながらも、すごく楽しい話題を振ってくださいましたっけ。

      男性にも、女性にも無いものを持っているからなのでしょうかね?
      オカマちゃんが登場する本って良いものが多い気がします。
      昔読んだ少女漫画の君の名はデボラだったかな?それもかなり面白かったです(*^▽^*)

      マカンマラン予約されたのですね(^^)ありがとうございます。お好みの本だといいのですがo(^▽^)o

      本年も宜しくお願いします(*^^*)
      2024/01/02
  • よい!!

    森沢さんの作品はどれも映像がイメージ出来る。
    どれも映画化してほしいものばかり。

    この作品も良かった!!
    ジムで筋トレにはげむ愉快な6人の物語。
    カクテル言葉を絡めながら、それぞれの人生。

    特に第四章は涙なしでは読めない。

    メモ
    p122
    人生に大切なのはね自分に何が起こったじゃなくて、起こったことにたいして自分が何をするか、なのよ。

    p142
    誰かと分かち合った喜びは大きくて長持ちするけれど、ひとりぼっちで味わう喜びは、小さくてすぐに消えてしまうのである。

    p186
    誰かを愛して失った人は、何も失っていない人よりも美しい。

    p243
    はっぴぃのどきどき

    p248
    人はね、人に喜ばれるために生まれてくるんだよって。

    p307
    仕事って、他人に<仕える事>だって。誰かに喜ばれることが仕事なんだって。

    p348
    阿吽の阿は、五十音のはじまりの「あ」で、吽は終わりの「ん」のことで、つまり阿吽はこの世のすべてを表す禅の言葉だって。転じて、この世のすべては、阿吽のあいだの一瞬のいまにしか存在しなくて、あなたが生きられるのも、いまこの瞬間だけなのよって。

    p357
    夢はね、必ず叶えなくちゃ駄目なの。叶えるとね、アラ不思議、あなたの過去が変わるのよ。

    • Manideさん
      いるかさん、こんばんは。

      いいですよね。
      私も先日読んだばかりなので、いい感じに想いが伝わってきました(^^)

      良い言葉も多いですよね。
      いるかさん、こんばんは。

      いいですよね。
      私も先日読んだばかりなので、いい感じに想いが伝わってきました(^^)

      良い言葉も多いですよね。
      2023/07/12
    • いるかさん
      Manideさん

      コメント ありがとうございます。。。
      森沢さん 本当に良いですね~
      これからも読み続けたいと思います。

      あ...
      Manideさん

      コメント ありがとうございます。。。
      森沢さん 本当に良いですね~
      これからも読み続けたいと思います。

      ありがとうございます。
      これからもよろしくお願いいたします。
      2023/07/15
  • 連作短編集で、章ごとに同じスポーツジムに集まる会社員や、漫画家、高校生、歯科医師、会社社長、スナックのママなどに主人公が変わります。

    私は、第六章のスナックのママでゲイのゴンママの章が泣けました。
    いつも下ネタと、大きな体格で人を笑わせているゴンママですが、「ノンケの人たちとゲイとでは、恋人を作れる確率がまるで違う。マイノリティ同士は出会いの確率が極端に低く、相手の選択肢も極端に少ない。しかもゲイは仮に誰かと愛し合えたとしても、その結果として、愛する人の子どもをもうけることもできない。つまりノンケの人よりずっとずっと、独りぼっちで一生を終える確率が高いのだ。
    これから先もずっと冷たい孤独を胸に抱いたまま、この世から消えてなくなっていく自分ーそのことを思うと、権田は息苦しささえ覚えてしまう」
    表面上の顔と内面の違いに、権田の淋しさがより強く感じられました。
    権田の所で働いているカオリちゃんは、とてもかわいいのですがレズで、やっぱり独り身です。せつないなと思いました。
    権田に救われて、店に雇ってもらったカオリちゃんが、逆にゴンママを励ますようになるところがよかったです。


    森沢語録
    「言葉というのは、大事なことほど小声でささやく。その方が、相手の心の奥にまでしっかり届く」
    「人生に大切なのは、自分に何が起こったかじゃなくて、起こったことにたいして、自分が何をするか。考え方ひとつで、起こったことをチャンスに変えることはできる。ピンチはチャンス」
    「人は人に喜ばれるために生まれてくる」
    「他人は変えられない。変えられるのは自分自身」
    「あなたが生きられるのは、いまこの瞬間だけ。過去と未来を思い煩っても、それは無駄なだけ」
    「夢は必ず叶えられないと駄目。叶えると過去が変わる」

  • 笑って泣けて心にジーンとくる素敵な物語です。
    2mを越えるマッチョ、ゴンママ。
    まず、ゴンママと愉快な仲間のいるジムに行きたいなと思いました。筋肉は嘘をつかない、私は部活後の筋トレがすごくすきでしたし。
    それ以上に行きたいのがゴンママのユーモア溢れる「スナックひばり」です。
    私はお酒が飲めないですけど。
    ジムの面々のドラマはそれぞれで、渦中で放たれる言葉に目頭が熱くなります。

    将来に悩む娘と父親。
    仕事で成功したけど、故郷の家族が案じられる娘。
    友だちができない、再会した幼なじみへの恋慕に悩む高校生。
    幼くして失くした娘の喪失を引きずる歯科医。
    「ゆとり世代」と「時代遅れ」の狭間で悩む老社長。
    居場所のない高校生の少女。
    一生孤独なのか懊悩するゴンママ。
    それこそ、自分だって人生で直面するかもしれない悩みといってよいでしょう。
    それらを、時にユーモアで時に真に迫る言葉で語り合い、支え合って乗り越えていくゴンママや仲間たち。

    「自分の命より遥かに大事なものがこの世に誕生するなんて子どもを持つまでは想像できなかった。」
    「自分の命以上に大切なものを眺めているときにだけに感じる、あの満ち足りたぬくもり。」
    さすがに泣くなという方が無理な場面がたくさんありました。

    作中、ゴンママの言葉もかなり素敵です。
    もちろん、いつも明るいゴンママの葛藤や苦悩も語られ、ドラマに深みが増しているのです。
    「でもね、愛した人を失わないよう努力した人だけが、きっと美しいのよ。最初からあきらめていた人は、たとえ愛する人を失っても、そんなに美しくないはずだわ。」
    「いま、この瞬間のことだけ考えて、自分なりに素直に生きればいいの。今を素敵に生きれば未来はその延長線上につくられるから、きっと素敵なものになるのよ。」
    「夢はね、必ず叶えなくちゃ駄目なの。叶えるとね、アラ不思議、あなたの過去が変わるのよ。」
    「辛かった過去がキラキラした大切な思い出に変わるのよ。」
    笑って泣けて、素敵な時間を過ごせました。


  • 好き系の本でした。
    ありきたりな日常の中で、あるきっかけから変化していく登場人物の姿が描かれています。
    共感も納得も理解もできるけれど、間違っていると指摘したくもなる。
    とてもリアリティのある内容です。
    中でも、"夢を叶えたら過去が変わる"というところにはとても共感しました。
    過去の出来事が今を作っていると考えると、今が良ければ過去が良かったと思えるのです。
    今までの自分を許してあげるためにも、今を精一杯生きていきたいと思います。

  • お見事としか言いようがないです。
    これだけ幅広い、バラエティに富んだひとたちをよく集めました。
    実在しないにしても、登場していた漫画家さんのように、モデルとなるようなひとを常日頃観察していないと描けないのではないでしょうか。
    森沢さんの人生経験、幅広くそして深い人間関係を窺わせるものともいえそうです。

    みなさん、一癖も二癖もあって、さらに過去もあって。
    でも、とっても仲がいいんですよ。
    年齢を超えて。

    私は歯医者さんが泣けました。
    みんな辛いんだと思います。
    その心理描写。ああ、そうなるよね。
    でもそれを乗り越えるには。。。
    ああ、よかったです。娘もほんとに優しい。無償の愛、です。

    こんな仲間がいるなら、人生豊かになるだろうな、内に閉じこもっていてはいけないな、と改めて思いました。

    • りまのさん
      辛4さん
      3月13日 早朝
      いいね ありがとうございます
      カミナリ 怖かったです。
      …この本、読んでみたい、です。
      りまの
      辛4さん
      3月13日 早朝
      いいね ありがとうございます
      カミナリ 怖かったです。
      …この本、読んでみたい、です。
      りまの
      2021/03/13
    • 辛4さん
      りまのさん、おはようございます。
      ビョーク、持ってたな〜
      また聞いてみよう、と、いいねしたとこでした。
      雷、聞こえないですよー
      りまのさん、おはようございます。
      ビョーク、持ってたな〜
      また聞いてみよう、と、いいねしたとこでした。
      雷、聞こえないですよー
      2021/03/13
  • タイトルが秀逸。
    個人的には最後の章(ゴンママ&カオリちゃん)がいちばん刺さった。

    お酒は飲めないけれど、スナックひばりに行って、ゴンママと話ができればいいのにな〜、と想像してしまうほどに、心を掴まれた。

    きっと日本のどこか、私の知らない場所に、スナックひばりのような小さなお店が存在していて、そこにはゴンママによく似た心優しい店主がいて、人知れず悩みを抱えたお客さんがやってきては、その場にぽつぽつと想いを落とし、ゴンママ似の店主が癒しを与えてくれる…そういうことがあるんだろうな。素敵だな。などと、勝手に思いを馳せて、いつかこの物語が深夜枠でドラマ化されたりしないかなと淡い期待まで抱いてしまった。

    少し下ネタ要素を含むが、素敵な一冊。
    まだこの本を知らない友達に教えてあげたい一冊。

  • 身近な人の紹介で、この本を手に取った。最近作家さんでまとめ読みすることが多く、おそらく進められなかったら出会わなかっただろう。そんな自分が恥ずかしい。それほどまでに好きな小説になった。

    登場人物は、体躯2mムッキムキスキンヘッドのオカマ、ゴンママ。そしてその筋トレ仲間愉快な面々。短編集で、オムニバス的に繋がっていく。

    不思議と登場人物達に感情移入してしまう、でもそれが全く苦しくない、温かさを持っている。胸を締め付けられるような強烈さで移入するのではなく、なんというか、そっと毛布で包まれるような、そんな感じがした。

    私は特に、2話目の美玲さんの話が年齢が近いこともあり、胸に染みた。

    「阿吽」素敵な教えをこの本からもらった。
    大切に胸に刻んでおきたい。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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