- Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344424630
作品紹介・あらすじ
「旅を続けていると、ぼんやり眼をやった風景のさらに向こうに、不意に私たちの内部の風景が見えてくることがある」。マラケシュのホテルで見た「待つ女」、ローマで旅愁を覚えた終着駅、カトマンズで胸をしめつけられた裸電球-。旅先で撮った八十一枚の写真から、人生の機微を描いた物語が立ち上がる。沢木耕太郎「もうひとつの旅の本」。
感想・レビュー・書評
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「旅」にふさわしい、一コマとそれに添えられたエッセイ。見開きでワンシーン。読みやすく、自分も旅をした気になる。旅行ではなく、旅。なにがない一コマが何故かとても印象に残ることはよくあることだ。観光ではなく、自分やそこに見える人々の一挙手一投足が。
新型コロナによってなかなか外出できなくなっているから余計に、こういう旅に憧れがつのっているのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たまには写真集もいいですね。この本は、それぞれの写真にそえてある文章が短すぎず長すぎず、私の好みでした。何となく手元に残しておきたくなるのも「写真集」かもしれません。お勧めはアメリカのニュージャージー州のある町の写真と文章。「名もない町」などというものはない。手にとって見て読んでいただきたい。
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紀行小説『深夜特急』も有名な作者による、見開きの左右に写真と文を配した81組のフォトエッセイ集です。
世界各地、約20カ国で撮影した写真に、それぞれ短い1ページ分の文章が添えられています。
登場する地域はアジアと欧州が多く、とくに全体の1/4ほどは中国とその自治領です。
その他ではアメリカ、キューバ、ブラジル、モロッコなど。
個人的に好みの写真は、大きくふたつに分けられます。
・広漠とした自然のなかにポツリと人や人工物が佇む風景
「生きる力」「一本道」「輝く光の中で」など
・子どもの無垢な表情を写したポートレート
「まぶしい笑顔」「姉と妹」「笑顔ひとつ」など
最後は「人生は(それ自体が)旅である」と言いたげな一篇で締めくくられています。
旅情をかきたてる、当今ではやや罪つくりな一冊かもしれません。 -
文章がとにかく美しい。
写真もポストカードのよう。
写真一枚からあそこまでのストーリーを紡ぎ出せるのが凄い。
人を観察する視線がちょっと気障で、その感じが大好きです。 -
写真付きの旅エッセーである。沢木作品はテロルの決算に始まり、深夜特急と王道を読んできたが、最近は軽いエッセーが多い。叙情あふれる文章にこころがホットする。
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世界を旅して、生死に関わる体験をしたり、眼球が震える位の景色を見た人が語るとき、言葉は追いつかないことが多い。
ただその遠い彼方を見つめるような表情だったり、「この人が語るならそれは素晴らしい経験だったに違いない」というような相手との関係性によって補われる部分が大きい気がする。
写真は本来、そういう補填する力を持っているから、言葉を加えると途端にその枠組みが小さく限定されて、構図さえも説明的に思えてしまうから、終始違和感を覚えた。
試しに写真だけパラパラめくって見ると全く紙から立ち上がってくる空気が違う様に思えた。そんな風に文章と別々で読む楽しみもあるのかな。 -
好きなページ
「ひとりで立つ」(ブラジル・ベレン)
「記念写真」(ドイツ・ケルン)
「美人と老人」(ベトナム)
「移動綿飴屋」(中国・麗江)
「素晴らしい人生」(中国・浙江)
「日付のある写真」(キューバ・ハバナ)
「うずく」(サイパン、池上)
「勝負師」(ネパール・カトマンズ)
「笑顔ひとつ」(ベトナム・メコンデルタ)
「カーテンの向こう側」(世田谷) -
心が折れるは流行語
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本当ならロンドンに連れて行った本でした。イタリア、ロンドン、パリ、沖縄と2月からキャンセルの連続。コロナのバカやろう!
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疲れた時にすっと心に隙間風のように入って来る言ノ葉たち、そしてさり気ない旅先の写真。他のこの方の書籍も手に取って読んでみたくなった、そんな一冊。
但し諸事情にて幻冬舎の書籍は以後読まないと決めたので、他の出版社からリリースされている書籍に限りますが、この本は常にバッグに入れて持ち歩きたい一冊になりました。 -
カメラを持って旅に出る。その先にある人や風景を思いのまま光で描きながら、目的地まで、あるいはあてどなく。
旅に出た気にさせてくれるだろうと考え手に取った本だが、読んだ後はただ旅に出たい気持ちにさせられただけでした。そういう意味では罪な本といえる。 -
「沢木耕太郎」のフォト&エッセイ集『旅の窓』を読みました。
「沢木耕太郎」の作品は、『ポーカー・フェース』以来なので3年半振りくらいですね。
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「旅を続けていると、ぼんやり眼をやった風景のさらに向こうに、不意に私たちの内部の風景が見えてくることがある」。
マラケシュのホテルで見た「待つ女」、ローマで旅愁を覚えた終着駅、カトマンズで胸をしめつけられた裸電球――。
旅先で撮った八十一枚の写真から、人生の機微を描いた物語が立ち上がる。
「沢木耕太郎」「もうひとつの旅の本」。
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VISAカード会員向け月刊誌『VISA』に連載された『feel感じる写真館』という見開き2ページのフォト&エッセイ(コラム?)81篇を収録して、2013年(平成25年)に単行本化され、その後、文庫化された作品です。
「沢木耕太郎」が『まえがき』で、
「私たちは、旅の途中で、さまざまな窓からさまざまな風景を眼にする。
それは飛行機の窓からであったり、汽車の窓からであったり、バスの窓からであったり、
ホテルの窓からであったりするが、間違いなくその向こうにはひとつの風景が広がっている。
しかし、旅を続けていると、ぼんやり眼をやった風景のさらに向こうに、
不意に私たちの内部の風景が見えてくることがある。
そのとき、私たちは「旅の窓」に出会うことになるのだ。
その風景の向こうに自分の心の奥を覗かせてくれる「旅の窓」に。」
と記していますが… なかなか同じような写真って撮れないですよねー
旅先で、何気なく視界には入っているけど、見過ごしている風景や人々を、きちんと見ているだなぁ… と感心しましたね、、、
そうじゃなきゃ、旅先での一瞬の出会いを、こんなに巧く写すことなんてできないですよね。
写真が巧い人って、人や物を観察する力… センスなのかな、それが凡人とは圧倒的に違うんだなと感じましたね。
写真の雰囲気がとても良かったのですが… 文庫本サイズじゃ物足りなかったなー 雑誌サイズで観たかったです。
そして、旅に出たくなる一冊でした… コロナ禍での窮屈な生活が続いていますからね、ホントに旅に出たくなったなー -
生きる力が最も印象的
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文庫本向けのあとがきが一番面白い。
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素人のものでも、たまに気になる写真が。どんな写真にも物語が。
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深夜特急を読んだことがあれば沢木耕太郎がほとんど写真を残さない旅をしていたことは知っている
そんな彼の、旅とはおよそこういうもの、と思わせてくれる写真とエッセイ
旅したくなる -
著者が旅の途中で出会った風景を写真に撮り、簡単なエッセイとともに紹介している図書。いろんな人生や価値観に出会えるのでとてもよかった。旅って心が落ち着くよなぁ…
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写真と文章で構成されており、とても読みやすい。
好みだったのは、
美人と老人
姉と妹
生き方は顔に出るのだろうか。
私はどんな顔なのか。 -
そんな見方ができるようになると、旅も一際楽しくなりますね。
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旅の一コマを切り取り、エッセイに写真を添えたもの。まあ、なんちゃない内容ではあるが、こうしたなんちゃない出会いなんかも今や得難いものになっている。あー旅に出たいなあ。そう思いながらページをめくった。
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ぐいぐい引き寄せる文章を読むと旅の絵が思い浮かんでくる。そして短めの章の終わりに筆者の撮った写真が現れる。そしてその写真はほぼ想像を越えない。文章ほどには届かない。やはり筆者は文章のプロということなのだろう。
中には想像を超えた心をうつ写真もあることは補足します。 -
沢木さん自身が旅先で撮った写真とそれにまつわる簡潔な文章が見開きで綴られている。こういう何気ない写真がとてもよい。そしてそれに対する背景とその時の自分の思い。細切れに長い時をかけて楽しませてもらった。こういう作品って意外とないような気がする。病院の待合室などにあるとピッタリだと思う。誰もが楽しめる。私もこのようなものを作ってみようと思ったりした。
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あとがきより「あの写真たちに私がなぜ撮ったのかの意味を与えてあげたらどうだろうか」
心が動く光景や、痛みや感動を、収めた一冊。
よし、私も旅に出よう。 -
期待して読んだが、すっかり肩透かしを食った。正直言って彼に短編は無理だろう。二流の書き手に堕している。
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旅の風景のその先に見えてくるかも知れない内面の風景。本書は一葉の写真と一遍のエッセイの対で構成されているが、現実の風景と著者の内面をあらわしたそれらは、一見脈絡が無さそうでも、やはりちゃんと繋がっている(オチがある)ところは、上手さを感じた。ただ感銘を受けたのは、(深夜特急を読み込んだせいか)その文章よりは、何気ないながら味わいのある写真の方だった。それが著者にとって本意なのかはよく分からない。
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旅の写真とエッセイ。
写真は撮る人と撮られる人と読み手の関係性だと聞いたことがある。
この人のエッセイが今の私の心を揺さぶり、琴線に触れるのも、この時の著者と今ここにいる私との関係性なんだろう。 -
写真は瞬間の魔術がある。
日々暮らす中で、また旅の中での瞬間を意識して見ていこうと思う。 -
沢木氏が旅先で自ら移した写真とそれにまつわる文章をあわせたもの。写真はそれぞれなかなかだけど、やっぱり文章がつくことでとらえどころがわかる感じだな。文章は10行ほどの短文なんだけど、そのなかで言わんとするところを伝えようとしたり、オチをつけようとしたり、長文の紀行文などでは冷静に感じられる沢木さんがちょっと苦心している感じがしてかわいらしい。
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図書館で読んだが、手元に置いて何度でも読み返したい本。