去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

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著者 : 中村文則
  • 幻冬舎 (2016年4月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344424678

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去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「何もかも憂鬱な夜に」ですっかり魅了され、ここのところ中村作品を集中的に読んでいます。
    中村さんは純文学の書き手(それもかなりの正統派)ですが、彼の書く濃密な物語の虜になってしまったのですね。
    この2か月で、本作が6冊目になりますから、その傾倒ぶりが分かっていただけませう。
    気分的には、「もう、フミノリだけでいい」って感じ。
    中村さんは「銃」でデビュー後、これまで17冊の本を上梓してきました。
    その中でも、本作は最もミステリー色の強い物語だそうです。
    ただ、結論から云うと、これまで読んだ5冊と比べ、しっくりきませんでした。
    ミステリーにありがちな作為の跡が見られ、それが気になって集中できませんでした。
    私はミステリーも好きですが、「別にそんな理由で殺さなくても」「そんなに手の込んだ犯行に及ぶかな」と疑問に感じ、冷めてしまうことがあります。
    本作にも、それを感じてしまいました。
    中村さんは一流の文章で濃密に人間を描き出すことができ、それが多くの読者を獲得している最大の理由だと私は理解しています。
    ですから、敢えて、自身が必ずしも得意でない、謎解き主体のミステリーに挑戦しなくてもいいように思うのです(中村さんはミステリーに必ずしも明るい方ではないらしく、ミステリーに詳しい編集者に「こういうトリックってある?」と訊いて確認してから本作を書き始めたのだとか)。
    もちろん、中村さんの書くものですから面白い、面白いです。
    最後のどんでん返しも鮮やかで、私はもう一度冒頭に戻って、いくつかの個所を確認しちゃいました。
    ただ、たとえば、最後の謎解きの部分とかは、やっぱり長ったらしい説明調になっていて、正直に云って描写力に秀でた中村さんのこんな文章を読むのは辛い。
    期待が強すぎるのでしょうか。
    さて、次は、どの中村作品にしよう。

  • 前半まではサイコパス小説かと思いきや、後半はかなりトラディショナルなミステリー。
    最後に謎のイニシャルで引っかき回され、何が何だかわからなくなる、という感じで終わった。
    こういった展開は初めてなので、まあまあ楽しめました。
    イニシャルってただただ読者を混乱させるだけで、書く意味あったのかな?

  • 二人の女性を焼き殺した罪で死刑判決を受け、拘置所にいる木原坂雄大に関わる物語です。彼についての本を書くという男が本人や関係者に話を聞きます。

    最初は、彼はなぜ女性を殺したのか、被告の心理を探る文学作品だと思いました。しかし、読み進めるにつれて、本当に彼が犯人だったのか、真相を探るミステリー要素も含む作品だと気付きました。

    中村文則さんの作品が持つ引き込まれる雰囲気はもちろん、想像を裏切られ、驚かされる展開もありました。真相を知った後で、もう一度始めから読み返したくなりました。

  • ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか?それは本当に殺人だったのか?「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は…。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!

  • 映画化と聞いて家に持ってたので読破。
    中村文則の作品の魅力は鬱々とした心理描写だと思うのですが、この作品は妙に軽い印象。
    最後のどんでん返しを狙いにいってる感がある。両者とも狂ってるわな。後、伏線回収が説明ぽくなっちゃって、そこもあんまり好きじゃないかな。

  • 米国ウォール・ストリート・ジャーナル紙によって毎年発表される「いま読むべき本」ベスト10。2012年は小説部門で、2013年はミステリー部門で選出された、栄えある日本人作家が中村文則。どの作品も相当暗く、決して好きだとは言えないのに、ついつい手に取ってしまう作家です。本作も例に漏れず暗い。だけどすこぶる面白い。

    ライターの「僕」が面会したのは、女性2人を殺害した罪で死刑判決を受けている被告。その殺害方法は信じがたいほど残忍。「あなたについて書くことに決めた」と告げる僕に、被告は「覚悟はあるか」と問う。被告と直接会うことにおののきを感じ、手紙のやりとりを始める僕。と同時に被告の姉や知人への取材を開始する。しかし、殺人の動機はわからず、関係者はどこか歪んだ人間ばかりで……。

    200頁足らずとずいぶん薄い本なのに、読み応え十分。この暗さは嫌いだと思っていても引きずられるように読むはめになり、ちりばめられた叙述トリックにも途中まで気づかず。仕掛けが非常に面白く、あとがきを読む頃には「おみそれしました」と言いたくなります。1冊の本ができあがる過程を見せられているかのようでもありました。2度読みたくなる本です。

  • 僕が本当にきみと別れてしまったのは、去年の冬だ。木原坂朱里を初めて抱いたあの夜。人間をやめ、化物になろうと決意した夜。…きみの彼氏が、化物であってはならない。そうだろう?去年の冬、きみと別れ、僕は化物になることに決めた。

  • 予想を超えた展開で、面白いと思う。心理描写も素晴らしい。狂気で狂っているから納得できるのだろう。

  • 思ったほど暗くなく、でも淡々と狂っている感じは底辺にずっと流れ続けているよう。
    単行本では書かなかったというあとがきがあることで混乱した。
    たぶん素直に読んだままで合っているとは思うけど...。

    ミステリーのトリックには重点を置いていなくて、ひたすら狂ってしまった人間の話が展開されるというところが中村さんらしいと言えるのかな。
    面白かった。

  • 中村文則氏の作品は初読み。前評判もあったけど結構読みやすいです。でも心理戦に持ち込まれたら危険な相手かなと。ある種の凶器とか毒を感じさせるかっこよさがあります。

  • やっぱり凄いと思わせる発想力を中村さんに感じるのは「土の中の子供」以来・あれは芥川賞を獲ったんだね~ライターの僕はある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を焼き殺した罪で死刑判決を受けていた。だが,動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。人形師?姉?被害者?この異様さは何なのか。僕が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら,この事件,最初は盲目の女性は事故で死に,二度目は元夫が復讐しようとし,写真家の弟と男を食い摘んでは死に至らしめていた姉に,姉の被害者の一人である弁護士が共謀したモノだった。二度目の被害者は借金を抱えた風俗嬢ではなく,それとすり替えられた姉だったのだ~大したモンだ・1977年生まれだって。単行本は2013年に出ていて,あとがきを付けなかったらしく,文庫化されて書いているんだけど,M・MもJ・Iも何のこっちゃか?

  •  ミステリ小説だけれどもミステリとしてより、狂気や歪曲した世界を楽しむ小説。写真に隠された闇や、狂人と狂人が共存する破滅しようとする世界で行なわれていく悲しく燃える所業。
     「僕の真の欲望は、破滅的な人生を送ることでもない。荒々しいことを求めることでも、見事な芸術をつくることでもない。安定を求め、時々破滅に憧れ、職業は何でもいいからみんなから羨ましがられることだと。 」この文は非常に現実的な僕たちの憧れを表している。
     また、出番は少ないが女性が魅力的。堕落したい。

  • 表紙を見たときはミステリーだと思っていなくて、売れてるから読んでみようかなという軽い気持ちで手に取った。
    そんな出会いだったのに読み終わったときの衝撃が強かったので星5つです。


    物語はライターの僕がある猟奇殺人事件の被告に面会に行くところから始まる。僕は彼についての本が書きたい。なぜ、あんな事件を起こしたのか。彼は何を考えていたのか。
    “覚悟は、……ある?”
    得体の知れない殺人犯。その姉。関係者。取材に訪れた人物はみんなどこか歪んでいて狂気を孕んでいて、まともな頭では理解できない。彼らの思考や感覚に触れるたびに自分の感覚がおかしくなってしまうのではないか、侵食され呑み込まれてしまうのではないかという錯覚。その描写にぞくぞくした。

    ラストに真相を知って「あーーーー!」と思って最初に戻って2週目突入。
    騙されたとかではなく、表現が自然すぎて自分がすっかり世界に入っていたことに気づいた。素晴らしい物語だった。

  • 猟奇殺人事件の被告に、インタビューをしにいく男の話。事件の真相はただただ衝撃的。文体も素晴らしい。かなり面白かった!

  • 何だろうね?いまいち本著者の作品は合わないが、本屋で良くアピールされているので、つい手に取ってしまう。

    狂気的とも言える殺人事件が起こり、刑務所にいる犯人を記者が取材すると言う形で、事件の本質があらわになっていく構成。犯人もその周りの人(姉、友人)もどこか狂気的部分を秘めており、暗いイメージを作り出している。このドロドロした部分の事は共感できるなと変に思いはした。(自分の変な部分を誰かに打ち明けたい、聞いて欲しい)
    が、しかしラストはしっくり来ず。話的にはきれいにまとめたかもしれないけれども・・・感。

  • 初の中村さん作品。うーん…むずかしい!!読みながら、途中の手紙の太字部分「君は誰だ?」から世界が一転。はやくも気づかないうちに騙されていて、そこから所々描かれているビデオ映像の描写。混乱しながらどんどん読み進めて、、、圧巻でした。でも、またイニシャルのくだりで混乱。ふりまわされっぱなし。でも、あのイニシャルは死刑囚と盲目の彼女の本名ということで良いのかな。登場人物みんなが歪んでいて。タイトルの去年の冬〜も、編集者が化物になったタイミングなんだと文中に出てきて、なるほどな…と。読んだ後しばらく考えさせられた本でした。確かにミステリーとしては少し荒っぽいけど、とにかく凝っている本という印象。

  • これまでの中村文則の作品とは一味違ったストーリーだったように思う。復讐劇なのだが、ミステリー要素が含まれいる新たなストーリー。中村文則作品としては中の上くらいの作品。

  • 登場人物みんな歪んでいる。芥川の地獄変はよく他の作品でもモチーフになっていますが、その状況でも平凡な作品で終わってしまうという悲劇。

  • 『ただそれが想像か人形かというだけの話で、この世界にいる個体は、誰もが様々に復元されている可能性がある。そうじゃないか?

    だって、この世界には、手に入れたくても手に入らないものが多過ぎるのだから。』

    本作も面白い!

  • 一気読みでした。去年の冬、きみと別れ・・・この後に続く文章にゾッとする。全部理解できたとは思えません。また何度も読みたいと思う作品。

  • ■愛を貫くには、こうするしかなかったのか?

    ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は――。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!

  • なかなか凝った「本」だった。
    あまりにも自分勝手な登場人物で読了後 変な気持ちになる。
    だが一気に読める。

  • 途中からうつらうつらしながら読んでいたら、最後に衝撃の展開を迎えているような気がして読後に色々調べてみたら、特に把握している事実と異なることにはなってなかった
    先が気になる展開ではあるので一気に楽しく読めた

  • 初めて読んだ中村さんの本。

    みんな狂ってる。
    そんな世界観が楽しめた。

    別の本も読んでみよ。

  • この本に於いて、起承転結の結は、どこが始まりだったのだろう…?
    自分が今いるところは、伏線の回収部分なのか、それともまだ、転部が続いているのか…。
    不可解で曖昧な狂気に満ちた世界は、物語の骨組みという流れすらも、不安定にさせていく。
    今にして思えば、それがこの作品世界に取り込まれるということだったのだと思う。

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去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)の作品紹介

ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか?それは本当に殺人だったのか?「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は-。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!

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