- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344424678
作品紹介・あらすじ
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか?それは本当に殺人だったのか?「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は-。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!
感想・レビュー・書評
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元カメラマンの死刑判決を受けた猟奇殺人事件の被告人。彼を取材して本とするよう依頼を受けたライターが、彼と話し、友人に会い、姉に会い、事件の真相をたどろうとする。そこには、たどり着けない明確な理由があった。
芥川龍之介の“地獄変”がモチーフとして、時折扱われる。読み始めには、この事件とは意味合いが違うのではないの?と疑問だった。“地獄変”では、最高の地獄の絵を描くため、目の前で娘が焼き殺されるのを見るのだが、それは、見せられるという状況だったと思う。でも、真相にたどりつけない理由を少しずつ理解してくると、その扱いさえ伏線の一つだったとわかる。
多くない関係者達も歪んでいる。中村さんの構成も歪んでいる。最後まで何が真相なのか、手が込みすぎていて、一読ではすっきりとは、わからないです。
少し時間を開けて、納得してみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近、やれサイコパスだのやれ性格破綻者だのと猟奇物を読みすぎたせいで己の求めている本来の狂気の美を忘れていた。
自分軸の天然物とはまた違う、誰かを想うが故「別れ」を境に狂う事を選んだ一人の男。これも紛れもない自分軸に変わりないのだが、この切なさと苦しみを纏った「狂気」が美しかった。
人を極限まで変えてしまう力、憎しみや愛という、人を簡単に狂わせるこの感情に非常に興味がある。
そして触れた事がないからなのか、そこに何故か憧れを持ってしまう。
この作品はまるで、ある男の【狂気の愛と憎悪の作品】を盗み見たかの様だ。読了感はすこぶる悪いものなのだが、一人の男が狂人の道を決心し、その結末を見届ける事になる。たとえ歪んでいたとしても、 愛を貫いたその姿に私は鳥肌が止まらなかった。
頭絡まる読みにくさは否めないが、新情報は落ち着いて既存の情報に上書きしていけば気持ち良く型に嵌ってくれる。イニシャルの謎も納得出来た。
そして何より中村文則独特の言い回し、表現の美しさが魅力的だ。 -
何度同じページを読み返し、また読み進め、途中誰が誰だか解らなくなり寝落ち。
改めて最初から読み、一体いつ読み終えるのだ!と自分の読解力の無さに嘆きながらようやくラストのページへ。
ん?このイニシャルは誰?こんな登場人物居たか?
あとがきを読む。え?更に理解不能に落ち入り。
また最初のページへ。
とまぁ、えらい時間がかかってしまった。
中村さん作品はまだ二冊目だが、凡人の発想には到底追い付かない伏線の張り方にただ感心してしまった。
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2022/05/20
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おぉ!同じでしたか!さすが気の合う同志です^^やはり映画、ドラマの趣味が似てると小説も似ているのですね。おぉ!同じでしたか!さすが気の合う同志です^^やはり映画、ドラマの趣味が似てると小説も似ているのですね。2022/05/20
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あとがきに中村氏による読みのヒントが書かれてあり、なになに、しかけだと?ん?難しいことあるかぁ?ってなって、 「ネタバレ」なるネット解説を見たけれど、私の読みがそのまんま正しくて、どこが混乱するポイントなの?って、首を傾げてしまいました。
トラウマを避けられない人々が、中村氏の小説によく出てくる。さらに本能との対峙。それらの特徴を維持した純文学と思いきや、これはミステリーなんですね!?登場人物を先入観でもって眺めてしまうとあれあれ?っとこんがらがってしまう。映画化されていますね。読む前にキャスト知らなくてよかった。 -
芥川賞作家・中村文則によるミステリ。トリックを純粋に楽しむための話だった‥‥苦手とするジャンルの割に楽しめた。
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「何もかも憂鬱な夜に」ですっかり魅了され、ここのところ中村作品を集中的に読んでいます。
中村さんは純文学の書き手(それもかなりの正統派)ですが、彼の書く濃密な物語の虜になってしまったのですね。
この2か月で、本作が6冊目になりますから、その傾倒ぶりが分かっていただけませう。
気分的には、「もう、フミノリだけでいい」って感じ。
中村さんは「銃」でデビュー後、これまで17冊の本を上梓してきました。
その中でも、本作は最もミステリー色の強い物語だそうです。
ただ、結論から云うと、これまで読んだ5冊と比べ、しっくりきませんでした。
ミステリーにありがちな作為の跡が見られ、それが気になって集中できませんでした。
私はミステリーも好きですが、「別にそんな理由で殺さなくても」「そんなに手の込んだ犯行に及ぶかな」と疑問に感じ、冷めてしまうことがあります。
本作にも、それを感じてしまいました。
中村さんは一流の文章で濃密に人間を描き出すことができ、それが多くの読者を獲得している最大の理由だと私は理解しています。
ですから、敢えて、自身が必ずしも得意でない、謎解き主体のミステリーに挑戦しなくてもいいように思うのです(中村さんはミステリーに必ずしも明るい方ではないらしく、ミステリーに詳しい編集者に「こういうトリックってある?」と訊いて確認してから本作を書き始めたのだとか)。
もちろん、中村さんの書くものですから面白い、面白いです。
最後のどんでん返しも鮮やかで、私はもう一度冒頭に戻って、いくつかの個所を確認しちゃいました。
ただ、たとえば、最後の謎解きの部分とかは、やっぱり長ったらしい説明調になっていて、正直に云って描写力に秀でた中村さんのこんな文章を読むのは辛い。
期待が強すぎるのでしょうか。
さて、次は、どの中村作品にしよう。 -
ややこしく、理解しづらい!
いろいろ凝りすぎで、とても読みにくい構成
っていうかこの構成そのものも本書の特徴(凝りすぎポイント)(笑)
全体のストーリをつなげるのは読者にお任せっていう感じで、ばらばらのピースを理解していかなきゃいけないのが辛い。
最後の最後で真相が明かされるので、二度読みすることを前提としているのかもしれません。
そういう小説、面倒くさくて嫌い(笑)
ストーリとしては、
ライターの「僕」は、本を書くために、猟奇殺人事件で死刑判決をうけた被告に会いに行きます。
なぜ、被告は二人の女性を殺害したのか?
その事件の真相を明らかにするために、関係者に会いに行きますが、その関係者も歪んでいる人たち。
被告も含めて、狂気な人たちの中で、何が真相なのか?
といった展開。
基本、「僕」とか「君」とか、っていう表現ばかりなので、叙述トリックを使ってミスリードさせるパターンですが、段々と、誰が誰なのかわからず、混乱していしまいます(笑)
ちゃんと真剣に読まないといけないですね。
んで、最後に犯人の独白..
そして真相が明らかに。
あのシーンは、こうだったのね。っていうのがわかります。
ページ数が多くないのに、読むのが疲れる物語でした。 -
引き込まれ一気に読みました。
最後まで読んでみて、...うん?ちゃんと理解できてない⁉︎
もう1度読み直してみます。面白かったです。