玉磨き (幻冬舎文庫)

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著者 : 三崎亜記
  • 幻冬舎 (2016年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344424814

玉磨き (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「なんだそれ?」って思わず言ってしまうような不思議が当たり前に存在する不思議短編集。
    見えないもの、消えてゆくもの、失われたもの…どれも切なさを感じた。
    特に通勤観覧車が面白かった。
    発想力に度肝を抜かれます。

  • 一人のルポライターが、消えようとする、あるいは失われようとしている6つのものについて取材したルポルタージュの体裁を持った短編集です。

    伝統産業、奇妙な公共交通機関、とある世代、見えないものを狩り立てる儀式、ある部品を作り出すための業務形態、海に沈んだ町、がそれらにあたります。と言ったところで、何のことかわかりませんよね。

    三崎さんの作品は、それぞれ突拍子もない設定なのですが、それ以外の点(個々の登場人物の営みや行政の描かれ方など)が、とてもリアルで「自分が知らないだけで、世間にはこんなことがあるのかも」と信じさせられそうになります。

    読んでいる間、不思議で独特な雰囲気(静かで淡々としていながら、時々思わず心がざわつかされる)に取り込まれ、読んだ後もしばらくそれに心が絡めとられてしまいます。
    ハマるとクセになること間違いなしです。

  • 三崎さんの作品はフィクションとわかっていながら、何処か現実とリンクしているような不思議さがあります。
    表題の玉磨きという作品も、一名しか残っていない伝統産業の技を続けている人の取材という内容ですが、何とも奇妙でありながら愛着を覚えます。通勤観覧車を運行している会社を取り上げた作品も然り。日常的にありがちな光景に見出す発想力にいつもながら感心します。

  • ルポライターの取材の体裁で、架空の職業や会社、事件などを1冊にまとめた連作集。ご丁寧に参考文献なども巻末に捏造してあって凝っている(笑)なぜかロバート秋山のクリエイターズファイル(http://honto.jp/article/hontoplus/robert-akiyama.html)を思い出しました。どう考えても現実にはありえないのだけど、さも実在しそうな感じで書かれているのが面白い。もしかしてありうるかも、と思わせるのが、いつも三崎亜記の巧妙なところ。

    あるといいなと思ったのは「只見通観株式会社」、ありえそうだなと思ったのは「古川世代」、「分業」はすでにある意味起こっているかも。「ガミ追い」は今のタイミングで読むと、なぜかポケモンGOと重なった。目に見えないモンスターをスマホ片手に追い掛け回している人たち。「新坂町商店街組合」は、この設定で長編としても成立しそう。

    ※収録作品
    玉磨き/只見通観株式会社/古川世代/ガミ追い/分業/新坂町商店街組合

  • 三崎亜記の玉磨きを読みました。
    不条理な設定の短編集でした。

    ルポ記者がいろいろな伝統技能や不思議な仕事を取材するという形式で書かれています。
    三崎亜記の小説ではいろいろな不条理が描かれますが、その不条理と対峙する人間たちがいきいきと描かれているため、なぜか昔体験したり見聞きしたりしたことがあったような不思議な既視感を感じてしまいます。

    現在は仕事上では効率が最優先されて、その仕事に関わる人間が充足しているかどうかは問題にされません。
    マニュアル化などという人間の充足を否定する方向で仕事が規定されてしまうこともあります。
    効率最優先とは対極的な物語を読むと、自分は仕事に満足しているんだろうか、と考えてしまいます。

  • 三崎さんには「廃墟建築士」に代表されるような建築物や町に対する強い執着心と、「動物園」のような職人に対して強い思い入れを持つ2つの系列があるようです。
    この作品はは職人の世界ですね。もっとも三崎さんのことですからとてつもない職業ですけど。
    なんとも非現実的で幻想的世界。主客が逆転した論理。考えてみれば安部公房に似た世界です。そう思って調べてみると「エンタテインメント界の安部公房」と称した書評に当たりました。うん、確かに。
    結論のわかりにくい物語ですが、三崎さんの描く不思議な世界で遊ぶのが(いや、遊ばれているのか)なかなか楽しいのです。

  • 2013年刊行の単行本を文庫化。
    『架空の職業についてのルポルタージュ』という体裁で、6つの短編が収録されている。参考文献も架空のものが並んでいて、凝った構成。
    表題作は『玉磨き』だが、『只見通観株式会社』や『ガミ追い』の方が印象に残った気がする。1冊のタイトルとしては『玉磨き』の方がいいのかなぁ……。『新坂町商店街組合』は『失われた町』や『バスジャック』などの初期作を思わせる内容だった。

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玉磨き (幻冬舎文庫)の作品紹介

ルポライターの私は、取材のために全国を訪ね歩いていた。どこへも辿り着かない通勤用の観覧車、ただひたすらに玉を磨く伝統産業、すでに海底に沈んだ町の商店街組合…。そこで私が出会ったのは、忘れ去られる運命にあるものを、次に受け継ぐために生きる人人だった。今、この瞬間にも、日常から消えつつある風景を描いた、6つの記憶の物語。

玉磨き (幻冬舎文庫)はこんな本です

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