ハイエナ 警視庁捜査二課 本城仁一 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344424845

感想・レビュー・書評

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  • アゲハシリーズの作者のシリーズ以外の作品を初めて読んでみた。主人公はナンバーと呼ばれる知能班のチーフだったが、渡航先でSを死なせてしまい、閑職へ追いやられる。辞職を迫られながら、有給休暇を消化している中、警察官僚の息子の相談に乗り、オレオレ詐欺の潜入捜査に・・・登場人物が多い上に、すべて繋がっていると言う、お腹いっぱいな内容。アゲハシリーズを読みなれていると、ハードボイルド感が力み過ぎな感じもするが、詐欺の番頭と本城の駆け引きは面白かった。本当にぎりぎりのところで、二課に踏みとどまった本城の次作があるのか・・・かなり気になる。

  • 著者は不思議な名前だな、と思った。
    警察小説の著者は オトコだと思いこんでいた。
    途中まで読んで、なんか 雰囲気が違うので、おかしいなぁと思った。
    それで、ネットで調べたら 女子だった。

    女子の警察小説は、独特の陰が存在している。
    と言っても、初めて読むのだから すべてをくくるわけにはいかないが。
    全部読み終わった後に、ちっとも 気分が良くならない。
    問題は、すこしも 解決していないのだ。
    読後、爽快感がなく、思いっきり 残尿感がある。
    ハイエナが だれなのかも 見えない。
    『悪』は、薄ら笑いをして 終っている。

    ここでの主題は パンセ。
    『権力なき正義は無効なり。正義なき権力は横暴なり。』

    定年を間近にして、キャリアで 知能犯のベテラン刑事 本城仁一。
    警視庁2課で、復興庁審議官大平雄也の汚職事件を追いかけていた。
    それで、タイに飛び、追っかけ対象は タイからカンボジアに逃げる。
    追いつめたが 地雷の埋めてある野原で 自殺をする。
    そのことで、本城は、非難を受ける。
    一方で 息子は ノンキャリのエリート。
    管理官として、おれおれ詐欺を 追いかけている。

    この息子、出世欲が強く、清濁合わせ飲むこともでき、
    キャリアの父親の捜査能力は買っているが バカにしている。
    本城仁一の妻は、夫の無能を非難していることが、
    息子にも反映しているのか。

    その息子が 睡眠強盗に会い 『警察手帳』を盗まれたと
    父親 本城仁一に打ち明けるが、父親は 正直に上司に報告しろと
    いっていたが、その警察手帳を取り戻すことで物語は展開していく。
    本城仁一は なぜそうしたのか?

    おれおれ詐欺の仕組みが
    金主ー番頭ー架け子ー受取など、非常に機能が分担化している。
    警察は 架け子をつかまえるので、精一杯。
    おれおれ詐欺の被害が 2014年で560億円にも上ると言う。
    それだけの 大きな市場を形成している。

    架け子の教育が 素晴らしい。格差に対して怒りを誘導して
    税金の不公平、そして一躍 金持ちになると言う物語で洗脳する。

    警察手帳がぬすませたボスが 味田と言われる。
    これが、意外と不気味な存在感を持っている。
    そして、引き際が 実にしっかりしている。
    味田という名前は、家族5人殺された、食堂の名前だった。

    夫婦の関係、老人介護、親子の関係、が 様々な形で出てくるが
    どうも、希薄で、うまくいっていない。
    その軋みが 噴出する。それぞれの思惑がある。
    『めぐみ』という存在も、不気味だった。
    本城仁一は、何のために 刑事をするのか?
    そして その息子は 警察官僚の中で 出世できるのだろうか?
    気持ち的には、出世してほしくないなぁ。

  • 4月-10。3.0点。
    警視庁捜査二課の主人公。息子はキャリア警察官。
    汚職捜査で情報屋が海外逃亡。追跡するも失敗。同時期に息子が不祥事。息子に頼まれ、捜査する父。

    オレオレ詐欺の最前線がわかるが、うーん、終わり方がどうもなーー。
    主人公の名を冠にしているが、シリーズ化するのかな。。。

  • 最後まで着地点が見えません。
    予想を反した展開です。
    ワクワクして読み進めます!

    【本文より】
     「さっき、息子さんに泣きつかれて潜入捜査に踏み切ったけど、違うよね」。
     「あなたを最終的に突き動かしたのは息子さんじゃない。あなたの自尊心では」。
     「あたたはすることがなかったのよ。あしたからも。」

  • 本書に書いてある通り、オレオレ詐欺は技術的にも組織的にもどんどん高度化しているであろうことは、事件報道からも想像に難くない。
    そしてその巨額の利益はロクな経路を流れていないだろうことも然り。
    ただ、若きエリート官僚があまりにも卑小に描かれていることが、犯人側の緊張感ある描写と対比され、面白さよりも興醒めに繋がってしまったかも。

  • 家庭を顧みずに仕事に没頭してきた叩き上げの刑事・本城が、警察官僚として出世争いの渦中にいる息子から懇願される。出向中に詐欺組織に盗まれた警察手帳を内密に奪還してほしいというのだ。親の務めを果たしてこなかった慙愧の念から、息子の隠匿に手を貸すことを決める本城。手帳に迫る過程で掴んだのは、殺人も厭わない詐欺組織の実態だった。

  • 「十三階の女」に感銘を受け、著者作品を読む。
    オレオレ詐欺をよく調べられており迫力ある。味田の背景描写が今ひとつだし、本城と息子の関係性描写も弱いと思ったが、養成所での針谷の講義の場面をはじめとするオレオレ詐欺の犯罪に向かう圧倒的な熱量と、複雑すぎずかつ嘘臭くない丁度良い程度のプロットが全体を引き締め、最後まで楽しめた。エンディングはもう少し違った形がよかったかな。

  • これまでの作品とは作風の違う男臭い警察小説なのだが、家族の香りが少し強過ぎたようにも思う。

    重要なテーマである振り込めるについて、よく調べたようで、リアリティがあり、非常に面白い。が、しかし、判然としないストーリー展開とスッキリしない結末が残念。

  • 結末の方向性は見えちゃうんだけど、ドキドキハラハラの連続で、めちゃめちゃ楽しめました!!

  • 設定と展開にどうもスッキリしない思いを抱いて読了。息子の姿勢に腹がたった

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著者プロフィール

『私の結婚に関する予言38』(宝島社文庫)にて第3回日本ラブストーリー大賞のエンタテインメント特別賞を受賞し、2008年デビュー。近著に『ブラッド・ロンダリング』(河出文庫)。そのほか、「原麻希」シリーズ(宝島社)、「新東京水上警察」シリーズ、「海蝶」シリーズ(ともに講談社)、「十三階」シリーズ(双葉社)、「警視庁53教場」シリーズ(KADOKAWA)、「感染捜査」シリーズ(光文社)など著書多数。

「2023年 『警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希 グリーン・ファントム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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