廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425101

作品紹介・あらすじ

警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が…。警察組織と家庭の間で揺れ動く刑事の奮闘をリアルに描く、傑作警察小説。

感想・レビュー・書評

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  • 警視庁捜査1課強行犯係・警部補・樋口顕。
    シリーズ4作目。

    周りの評価は高いが、自分に自信が持てない樋口。

    世田谷のマンションの一室で若い女性の絞殺死体が発見される。

    樋口は、現場を見て顔見知りの犯行との印象を抱くが、被害者が警察にストーカーの被害を訴えていたことが判明…

    ストーカー殺人事件として、捜査は進んでいくが…

    女性キャリア・刑事指導官・小泉蘭子の女性目線で捜査は…

    初動捜査から⁇
    そんな頑なに…
    氏家からの被害者が痴漢被害でも訴えていた、という情報にも…

    なぜか、頑なにストーカー殺人事件として、捜査を進めようとする樋口。

    最初から怪しいと思ってたんだよなぁ。

    小泉蘭子、女性キャリア。
    と、いうだけで、何か場違いなことをやらかすのかと思いきや、いたってまとも。
    控えめに、自らの権限の中でできることをやる。
    それでいて、的確な意見を。
    また登場しそうな予感。

  • 今野敏「警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ」第4作目(2014年4月単行本、2016年8月文庫本)。
    前作から14年経ってからの4作目ということになる。作品の中では3年後の設定みたいで、樋口顕は45歳、氏家譲は43歳、天童隆一は51歳、樋口照美は20歳になっていた。樋口顕は警視庁捜査一課の警部で変わらず、氏家は荻窪署の巡査部長から警視庁生活安全部少年事件課の警部補に栄転していた。天童も警視庁捜査一課の警部から警視で管理官になっていて、照美は高校生だったのが大学3年生だ。捜査一課長の田端守雄は変わらないが警視正になっている。
    今回も殺人事件の捜査と並行して樋口の家族の事件に関わる展開が描かれて、対応する樋口の人間性がよくわかるストーリーだ。
    そして今回新たに登場する樋口の捜査の相棒は世田谷署の刑事の小森進警部補45歳と警察庁刑事局刑事企画課の小泉蘭子刑事指導官、25歳前後のキャリアだ。勿論氏家も要所要所で樋口に情報協力する。

    事件は南田麻里という23歳のキャバクラ嬢が池尻の自宅マンションで絞殺されたことから始まる。遺体の第一発見者で通報したのは、麻里の飲み仲間で三軒茶屋の美容院で働く石田真奈美28歳だ。
    警察にとって厄介だったのが麻里は世田谷署にストーカー被害を相談していて、そのストーカーが容疑者として上がり消息を絶っていることだ。警察の失策としてマスコミからの追求を極端に恐れていた。容疑者の名前は樫田臨、33歳の会社員だったが退職していた。

    そんな時氏家から樋口に電話があり、被害者は痴漢被害で別の男を告訴していることを知らされる。このことが後で事件解決に結びつく糸口になるのだ。
    告訴されて地検で有罪判決後控訴手続中の男は楢崎公平、47歳の大学の准教授だったが懲戒免職になって、そして離婚している。現在弁護士のもとで控訴手続中で直接会えない状況下だ。
    他にも渋谷署にも別のストーカー被害で麻里から届けられていた男がいて、氏名は柳本行雄40歳。これは都公安委員会から禁止命令が出ている。
    いづれも容疑者になり得るが、調べていくうちに被害者南田麻里の隠れた姿がわかってくる。そして事件解明が予想もしない方向に進んで行く。いや見逃していた方向だ。犯行の動機も判り、犯人が特定された時、意外な幕引きで事件は終わる。
    今回は事件解明に小泉蘭子刑事指導官が大きく寄与する。ストーカー犯罪の専門家ではあるが、刑事ではない。刑事とは違った観点で樋口に助言して事件解決に導く。長身でスタイルのいい美人だ。

    そして家族の事件というのは、娘の照美のパソコンから高校や中学に脅迫メールが送信された事実を警視庁生活安全部のサイバー犯罪対策課の捜査で突きとめたことだった。氏家は少年事件課ではあったがこの情報を得て樋口に内密に連絡してきた。おそらく遠隔操作ウイルスによるなりすましメールだと思われるが、捜査員が事情を聞きに行くことになるだろうという。ここから樋口の思案悩みが始まる。この情報は誰にも勿論照美にも話せない、照美が素直にパソコンの調査に応じてくれればそれだけで解決する問題だと自分に言い聞かせる。ところがそうはいかずに予想外に照美が抵抗して捜査員にパソコンの提出を拒否してしまうのである。
    ここでまた新しい捜査員の名前が出てくる。サイバー犯罪対策課の捜査員の名前は伊勢原克明、年齢は30代半ば、5年前に板橋署にいた時に樋口と一緒に仕事をしたことがあり、樋口のことを恩人だと思っているらしい。これからこのシリーズにまた登場してくる予感がする。
    樋口の懸念していた強制調査について、照美のパソコンの調査はあくまでも協力依頼であって強制捜査なんてありえないと言う。最終的には照美も打って変わって自主的にパソコンを提出する。そして樋口に新しいパソコンをおねだりするのである。樋口はまんざらでもない様子で最近ずっと距離があった親子のコミュニケーション復活でホッとする家族の話でもあった。

  • 警視庁強行犯係 樋口顕シリーズ。シリーズ4作目ということを読み始めてから知りましたが、問題はなかったです。
    樋口は、家族の事や刑事としての悩みや葛藤もあり、親近感のある人間味のある刑事だと感じました。
    アドバイザーとして捜査本部に参加する、女性キャリアの小泉さんもいい感じ!!
    さらさらと読みやすく、先も気になり夜中に読み始めて、気がついたら朝方4時でした…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)楽しめました。

  • 2014年4月幻冬舎刊。2016年8月幻冬舎文庫化。シリーズ4作目。警察庁から派遣された女性キャリアの小泉刑事指導官と組んで、事件解決に当る樋口さんが興味深い。今回も事件解決に至る経過が面白い。

  • シリーズ第四弾。樋口シリーズも安定したおもしろさを誇るものの、本作は若干樋口らしくないシーンがありましたね。捜査の初動段階で氏家からもたらされた被害者が痴漢被害を届け出ていたことに対する反応、また第一の被疑者である樫田への態度など、いつもの樋口なら持前の洞察力で正しい答えにたどり着くところが、ちょっと遠回りしていたように思います。その分を小泉刑事指導官がフォローするという構図で、最終的には事なきを得ますが、なんだか、樋口が”並み”の刑事になってしまったかのような印象でちょっと戸惑いますね。

    事件のほうはといえば女性殺害事件とその周囲に浮かぶ複数の容疑者がいずれも被害者から痴漢やストーカーで訴えられていた人物であったものの、いずれも”シロ”、真犯人は意外なところに、というもので小泉刑事指導官の助言を得ながら解決へとたどり着きます。

    この事件と並行して樋口の娘が別の事件の参考人として警察の捜査の対象となる事案が発生。家族のこと、事件のこと、樋口の心も揺れ動きますが、前作のビートや朱夏で描かれていたような登場人物の焦燥感や葛藤にはおよばず、その分、没入感は控えめでした。

  • たまたま入った書店であら?樋口シリーズまだあったんだ~とたまたま見つけて即購入。
    控えめな樋口さんに久々に好感を持ちながら、地道な捜査をワクワクしながら読み進めた。
    ほんの合間に出てくる親子のやり取りも微笑ましい。
    気づいてたのになぁ~と思わせるあたりも、なんとなく現実もそんなものかもと思わされた。
    このシリーズは作品数も少ないので、いつもさほど期待せずに読み始めるのだけど、読み終わるとやっぱり面白かったなぁ~と思えるのがすごいところだと思う。

  • 樋口シリーズ14年経過し、めちゃ面白くなってる!!

  • 今野敏らしく、余計な人物の登場や描写がほとんどないため、後半あたりから容疑者を消去していきはじめると、必然的に読者にも犯人の目星がついてしまう。それほど込み入ったストーリーではないし、キャラクターは皆しっかり描かれているので、退屈せず最後まで読み終えることができるけど。
    星3つが妥当。

  • 樋口さんと娘さんの関係がうらやましいなぁと思いました。(*^^*)
    ストーカー事件かと調べ始めたら、チカンの被害届も出ていて 三人の男性が参考人に…

    今回の話しは何だか誰も救われない。
    現実 男の人たちは、この冤罪を怖がっていますよね。嫌な事件だなぁと読みました。

  • 2016/10/10樋口顕シリーズ第4弾は久しぶりの登場。女性キャリアの小泉刑事指導官が面白いキャラ。★4の下

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が…。警察組織と家庭の間で揺れ動く刑事の奮闘をリアルに描く、傑作警察小説。

    手練れの今野敏の人気シリーズで僕が2番目に好きな樋口シリーズです。ずっと続編出なかったのでもう出ないんだろうなと残念に思っていたのでとっても嬉しい。リアルタイムで出版情報確認していないので平気で数年経っているんですけどね。この樋口シリーズは隠蔽捜査の竜崎とは違って、小心者で慎重なのですがポーカーフェイスなので周りから冷静沈着と言われて買い被られている。と、自分で思い込んでいる優秀な警察官です。回りを上手く生かすタイプなので竜崎のスーパーマン的な上司っぷりより現実感があります。それにしても今野敏は家族の事と警察の仕事の事を同時進行で書くの本当に上手いです。そこが感情移入させるポイントなんだと思います。
    事件解決のルートも無理なくスムーズで、エピソードに没頭することが出来ました。次作も既にあるので楽しみにしています。

  • 警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が…。警察組織と家庭の間で揺れ動く刑事の奮闘をリアルに描く、傑作警察小説。

    シリーズ第四作。前作「ビート」を読んだのは8年前。主人公、樋口の性格はまったく変わっていません。事件そのものはやや小粒。

  • 今野敏の刑事物は面白いと改めて思った。家族、同僚、上司、部下、被害者、犯人・・・それぞれの思いや気持ちの交錯の表現に納得。主人公の樋口ちゃんのように真摯に真面目に控え目に生きていきたいものだ。

  • このシリーズ、解説によると前作との間14年が経ったとのこと。どうりで懐かしいはずです。主人公の謙虚さが清々しく、事件そのものや主人公をめぐる人物たちが、スッキリしすぎている感がありましたが、久々に再会できたので続編に期待します。これを機にまた前作を読み直してみようかとも...

  • このシリーズを初読でした。
    隠蔽捜査シリーズのような切れ味と人間味を期待したのですがそこまででは無かったな。少し薄味で物足りない感じ。

  • ストーカー犯罪についてとても勉強になりました。

  • ストーカー殺人事件の捜査。容疑者があがるが、女性キャリア、美人、樋口の娘と同世代の指摘でストーカー殺人ではないことが判明。
    殺された女性は痴漢でも裁判していた。疑われた男、准教授は大学は懲戒、妻とは離婚、全てを失った。不倫していたことが判明。不倫相手が第一発見者。
    指名手配を指示。女が出頭して罪を認めた。容疑者になっていたので自首ではなく出頭。不倫相手を冤罪痴漢で訴えた女に近づいた。女はストーカーされたことを自慢
    痴漢についても、「痴漢されたかも」この一言で、殺意が。
    捜査中に娘のアドレスでテロ予告がきたと、刑事仲間から知らされる。
    昔、樋口に恩返しをしたい刑事から、遠隔操作されていたので娘は容疑者ではないと教えられた。
    PCを証拠として調査する為に刑事が家にきたが娘は断った。自分のデーターを見られたくない。娘に捜査をする理由を諭した。娘が証拠のPC調査を承諾。代りに最新PCをせがまれ購入。

  • 警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が…。


  • 今野敏さん、学生時代にはまって読みまくってたんだけど、どれを読んだのかその時記録してなかったので、分からなくなってしまって…。
    どうやら、この本も読んだことがあったみたい(^v^;)
    更に2時間ドラマ版も見たかも…今思えば。
    『リオ』、『朱夏』、『ビート』あたりは題名の記憶があったんだけどな。
    *
    主人公の樋口が仕事のことと娘のことで揺れ動いてる。
    そして、真面目。とにかく真面目。
    *
    *
    今野敏さんはハンチョウこと、安積班シリーズとスクープシリーズが好き。
    安積班シリーズもどこまで読んだのか分からなくなっちゃってて、また久々に読みたくなった。
    スクープシリーズは最新刊の文庫化待ち中だから、早く読みたいな。
    他のシリーズも読んだのと読んでないのがあつて、また今回みたいに気付かずに再読になっちゃいそうだなぁ(✽˘▿˘✽)
    やっぱり、記録残すって大事だわ。

  • 主人公の心情がメインにストーリー展開されていくので感情移入はしやすいですね。

  • このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
    とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。

  • 樋口顕シリーズ。警察小説だけど家族の物語でもある。樋口さんは、いつも自分が警察官に向かないと思っているけど周りはそう思わない。この次は管理官になっているかな?

  • 冤罪をさせる女、それによる被害者4人、犯人は?刑事視点

  • 201608/お得意の警察ものでシリーズもので、面白いに決まってる一冊。警察ものたくさん書いてるけど、それぞれ登場人物達が脇役含めて(時には極端なほど)キャラ立ってるので、読んでて愛着もわく。ただ、いつもタイトルだけだと「どれだったっけ?」ってわかんなくなる…。

  • 違うけど、どうしてもあのシリーズのあの人と似てるよな、と思ってしまう。まぁ、面白いからいいけど

  • 面白かった!
    事件は割と地味だったけど、樋口さんの生真面目さが相変わらず素敵!
    今回、警察庁から参加のストーカー事件の専門家、女性キャリアの小泉さんの物言いやたたずまいは何かとためになる感じ。この人は偉くなるんだろうな。なってほしい。
    照美ちゃんには途中「樋口さんの娘さんのくせに、おバカさんかっ」と多少イライラさせられたが、父親・樋口さんの微笑ましい一面も見れたからお得(?)だった。

  • 照美のことでは樋口の生真面目さにハラハラ。でも家庭でも職場でも、そんな樋口が信頼されている。そこがいい。

  • 南田麻里が殺害された。彼女はストーカー被害にあっており、ストーカーによる殺害で動いていた。ストーカーという事で、今回警視庁から小泉蘭子刑事指導官が来て捜査する事になった。初めは嫌がっていたが彼女の意見などを聞いていくうちに犯人に近づいていった。また、娘の照美のパソコンから脅迫メールが送られた形跡があるとして、心配する中の捜査だった。殺害された南田にも悪い所があったが、そんな人の為に人生を棒に振ってはいけないとも思う。人の憎しみは本当に怖いです。しかし最後樋口家族でパソコンを買いに行く団欒はよかったです。

  • 痴漢などの冤罪の話はどの方向に話が向いても難しいところがあるよね。

  •  樋口顕シリーズ第4作。前作はちょっと破調だったが、これは樋口が中心に話が進む。ストーカー殺人とおぼしき犯行が実は違っていたという筋立てで、現場の状況の不自然さが見過ごされたのが間違いの原因だったのだが、これはちょっとあまりにお粗末では。ふつう気づくだろう。とはいえ、痴漢の冤罪問題とか、女性捜査官の登場とか、細かい工夫をからめておもしろく読ませるストーリーに仕上げたところはさすがではある。まったくの別件ながら父と娘というステレオタイプながら樋口の家庭問題も織り交ぜ、はては関連して氏家も顔を出すなどサービスが行き届いている。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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