山女日記 (幻冬舎文庫)

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著者 : 湊かなえ
  • 幻冬舎 (2016年8月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425163

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山女日記 (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

  • 頂を“征服する”事が目的なのは男たちの登山。
    ここに登場する女たちは、目標として頂上は目指すが、むしろ“道程”が大切なのだ。

    そして「山」は、彼女たちにとって乗り越えなければならない人生の問題を象徴しているようでもある。
    普段見られない景色の中に自分を置いたら、何かを感じる。何かが変わる。

    「山女日記」は、作品内に登場する、山好きな女子たちのための情報交換サイトの名前でもある。
    “山ガール”が流行っているというけれど、いざ登ってみると若い女の子をそんなに見かけない、というのが登場人物たちの感想。
    流行はすぐに変わるし、“流行り”だけでノるには登山は覚悟が必要だからだろう。
    その前から、中高年の登山ブームが続いている。
    心乱れ、少し息も上がった彼女たちの横を、中高年のグループがしっかりした足取りで楽しげに追い越していく様も描かれている。
    年季が違うのかもしれない。
    人生も、多分そうだ。


    『妙高山』
    デパート勤務の律子は、催事の「アウトドアフェア」にヘルプで入って、一足の登山靴に心奪われる。
    苦手な同期の子と二人きりで、屈託を抱えたまま妙高に登ることになる。

    『火打山』
    若い後輩から「バブルを引きずっている」と前世紀の遺物のように言われている美津子。
    山に誘ってくれた神埼も、“美津子さんに合わせようと思って”と高級なもてなしをしようとする。

    『槍ヶ岳』
    事故や遭難に遭う中高年の見本が木村さんです。
    ひとりで山に登りたいしのぶは、迷惑するが…
    山が好きだった父と、いつも帰りを待つだけだった母を思い出す。

    『利尻山』
    雨女の希美は、医者の妻となって優雅に専業主婦をしている姉から「北海道に旅行しよう」と呼び出され、はめられて登山することに。
    案の定天気は下り坂。

    『白馬岳』
    希美は再び姉と登山する。
    なぜかピカピカの青空だ。
    同行した姉の娘、小学校5年生の七花のおかげだろうか。
    七花は、パパも一緒に来られなかったことを残念に思っている。
    近すぎて見失っているものもある。

    『金時山』
    律子、由美と同期3人組の舞子。
    なんてったって富士山がナンバーワンなのに、行き先にリクエストするたび却下されるとは何事!?
    自分の足元は見ることができない。
    少し離れてみることも大切。

    『トンガリロ』
    15年前を辿る旅。
    すれ違った、でも本当に好きだったのだ。
    柚月は思い出の色に帽子を染め、遠くに旅に出す。

    『カラフェスに行こう』
    単独行が好きという人も多い。
    一人で行けば…山は考え事をするのにちょうどいい。
    でも、ちょっと山友達もほしくなった希美。

  • こんなはずでなかった結婚。捨て去れない華やいだ過去。拭いきれない姉への劣等感。夫から切り出された別離。いつの間にか心が離れた恋人。…真面目に、正直に、懸命に生きてきた。なのに、なぜ?誰にも言えない思いを抱え、山を登る彼女たちは、やがて自分なりの小さな光を見いだしていく。新しい景色が背中を押してくれる、感動の連作長篇。

  • タイトルどおり、山ガールたちの登山にまつわるお話が全部で8編載っています。
    一話ごとに主人公が異なりますが、連作なので前に密かに登場していた人が後のお話でクローズアップされていたりするので、注意深く読むことが肝心です。
    (私もこの人誰だっけ?とページを戻して読むことがしばしば…)登山は一人で登るのも良し。仲間同士で行くのも良しですが、決して楽な行程ではないので(この本に登場する山も皆、標高のある山ですから)途中人間同士の色々なドラマがあります。下界の生活では分からない姿が見えてくることもあるので、意外性が吉と出るか、凶と出るかその後の人間関係を左右することもあるようです。
    人それぞれ色々な荷物を持ちながら登り、帰りは軽くなる人もそのまま抱えて帰る人も、荷物をどうしようかと思いあぐねる人もいて…山に登ると風景も季節ごとにお天気ごとに違ったり登山は当に人生そのものですね〜
    前に読んだ北村薫さんの登山小説は、ご自分は全然登らないで書いたそうですが、湊さんは実際に登ったのでしょうか…気になります。

  • ★3.5
    これまで主流だったミステリではなく、登山を通して新たなる一歩を踏み出す女性たちを描いた優しさ溢れる1冊。とは言うものの、やっぱり女同士の面倒臭さはしっかり健在。一緒に働いていても相容れぬ同期、立ち位置が難しい女子3人組、虚勢を張り続けてしまう姉妹等、彼女たちが抱く感情は私自身が抱く感情と同じ。が、例えそれが負の感情であっても、取り繕うことなく綴る湊かなえが好きなのである。人生の決断や思い出との決別等、山と向き合う彼女たちの胸中は人それぞれ。登山の趣味はないけれど、その景色を見てみたい、と思った。

  • 読み始め…16.10.31
    読み終わり…16.11.1

    こんなはずではなかった結婚。
    捨て去れない華やいだ過去。
    拭いきれない姉への劣等感。
    いつの間にか心が離れた恋人。

    真面目に、懸命に生きてきた。
    なのに、なぜ...?

    そうかぁ..そうだよね...
    誰にでもありますよね。
    わかるよ...確かにわかるけど....

    一緒に山に来てまで
    愚痴や喧嘩や不満不機嫌は
    聞きたくないし見たくなかったな...
    一緒に登ってて楽しくないよ。。

    もうさ、
    つべこべ言わずに山に行こうよ!(笑)

    山が好き。山はいい。
    山に行きたい。。

    火打山は
    行ってみたいと思っていた山でした。

    小野大輔くんナイス !

  •  自分の現状にどことなく鬱屈を感じる女性たちが、それぞれの思いを抱えながら、登山に挑む様子を描いた連作小説。

     湊さんの人間描写、心理描写がますます冴えてきていることが分かる小説です。

     結婚や離婚、姉妹関係、彼氏との関係……。悩みのある女性が山に登っていく中で、その思いを変えていく、という似た展開の話ながら、それぞれの心理描写や立場が見事に描き分けられています。

     そのため話に飽きがくるどころか、いずれの悩みや鬱屈も包み込む山の大きさや偉大さ、そして登場人物たちの変わっていく姿を、さわやかに受けとめられる作品となっています。

     この作品で印象的だったのは、湊さんらしい、嫌みな登場人物やリアルな負の感情も書かれるのですが、それが話の負の方向に作用するのではなく、正の方向に作用することです。

     調子のいい同僚、偉そうな登山者、説教ばかりする成功した姉夫婦……。そしてそれに対しての鬱憤や嫉妬……。

    『告白』や『贖罪』などの初期の湊さんは、それを暴走させて、作品を作り上げていた印象があるのですが、最近の湊さんはそうした感情を、より等身大に近づけて、そして、それを打ち破る人の正の部分見出す、そんな作品が増えてきたような気がします。

     それぞれの悩みや鬱憤を抱えた女性たちの心理が、ゆっくりと解きほぐされていく姿は、湊さんなりの人間賛歌のように感じました。

  • ちょっと前に山ガールという言葉があったが
    山ガールはにわかを楽しめという意味が込められているのだと思っている。

    こちらは
    山ガールではなく
    山女である。

    『妙高山』の主人公はデパートのアウトドアフェアでやっていた登山靴がカッコよくて履いて見たかったからという理由で山に登る。

    始める理由、登る理由は
    なんだっていいではないか。

    山というのは装備から知識、体力など登る前までにこなさなければいけないハードルが高い。

    ガールではなく女性の
    悩みはどれも生活感があり
    このうえなく重い。

    友達に相談なんて時期は過ぎ
    それ以外の解決方法を探っていたら
    それが山に登るという事だった。

    それぞれの問題はきれいに解決するわけではないが
    もっと世の中には見なければいけない景色が沢山あるのだと思わされる。

  • 湊かなえってこういうものも書くのかーって、ちょっと意外だった。湊かなえというより森絵都とかが書きそうなジャンル…?雰囲気は全然違うけど。登場人物たちに共感できる部分はめちゃくちゃ多かったけど、こういうジャンルならほかの作者の本でも良いかなって思った

  • 湊かなえは今スポットライトがあたっている作家のようだが初めて読んだ。
    読みやすいことは読みやすいが、個人的には登山を対象としたものがたりに求めるものが異なっており、好みではなかった。
    穿った見方だと思うが登山という流行りと女性の一定の層に迎合した本を書こうという点に端を発している感じがした。

  • それぞれの短編に出てくる登場人物たちの絡み具合が絶妙でおもしろい。山に登ってみたいなと思わせる本。

  • 山を登りたいと思ったことは一度もないが、登山の魅力が詰まった話が多かった。ニュージーランドのトンガリロには行きたくなった。湊かなえチックなミステリー要素はなかったが、登場人物のイメージがしやすくて読みやすかった。

  • 今回の湊かなえ作品は優しい気持ちにさせてくれる物語です。

    各章の題名には山の名前があてがわれており、八つの連作短編となっております。

    各章には其々、主人公がいて、主人公の視点で物語は語られます。
    そして、主人公達は多少に微妙にリンクします。

    主人公達は人生に何かしらの疲れを感じており、その時、偶々そこに山に登る機会があったような気がします。
    主人公達の悩みは深いものですが、きっと山はそれを解決してくれます。

    どの物語もラスト2ページで何故か涙腺が緩んでしまいます。


    三十代の女性が読んだら良いんじゃないかと、勝手に思います。



    そして、登山の経験は無いのですが山に登りたいと思わせてくれる一冊です。

  • フェアで山羊座におすすめされていたので、気になって購入。山岳部で活動していた時のことを思い出して、また友人と山に登ってみたくなった。山に登りながら、自分と向き合って、人と向き合って、見出せたこと、登頂して見えた景色に感じたこと、自分の経験と重なって、とてもいい本に出会えたと思った。

  • 湊かなえさんの小説は、正直苦手だった
    いやミスの女王と言われるだけあって、読後感が最悪
    だけど、この小説は違ったな
    色々な人がいて、考えの人がいて当たり前で
    そのみんなに優しい視線が注がれているような感じで
    みんな、頑張って生きている姿に心を打たれちゃったよ

  • 女の悩みしがらみが山で浄化されていく。登山したくなる。

  • ドラマを先に見ていた影響か、山岳ガイドにはいつなるのかな?なんて思いながら読み進めました。
    姉妹の話しに特に引き込まれた。湊かなえさんとは同年代、女性の心理描写がとても身近に感じる。山は遠足程度な私でも情景が浮かぶ作品です。

  • 女性ならではのちょっと陰湿な心理描写が多く少しいやな気持にもなったが、どの編も最後は気持ちよく終わっていて最終的にすっきりいい気分になれてよかった。

  • 当然といえば当然なんだけど山に登る人たちのお話。でもなぜだかみんな魅力的に感じる。登らない人たちよりも。それはなんとなくだけどそう思える、ぼくの経験値だけの思いだけど。
    登場人物は平地では各々に個性を普段から発揮してるけど絡むことで個性がぶつかり合い…疲れて。まぁその発散として山を選ぶんだけど自問自答の場所としてなかなかの場所なのかもと。

    湊さんの今までにないタッチだなぁって思ってたけど読み進めるうちに、否だからこその表現かもって感じた。ヒネた心持ち部分を描いてる部分が細くて同調できやすかった。異性の感情のことだけど。

    すぐに再読してもいいかもと思えるネガティヴでポジティブなお話でした。

  • 短編集のようでいて、登場人物がゆるく繋がっていて、最後から2編目は、湊さんらしい仕掛けもあって楽しめました。登山をしない私も、行ってみたいなと思わされました。特にニュージーランド!

  • 短編になっているけど、全ての物語が一つに収まり双方の思いがわかるようになっている。
    内面を取り繕うような話じゃなく、本当に自分を探していい加減で終わることがない。山登りで自分を見つめ直せるなら1度登ってみたい。
    そんな気になる話
    2017.09.17

  • 私はとてもよかったと思いました。

    合計8つの物語に登場してくる彼女たちは、それぞれがそれぞれの気持ちを抱えています。その状態で登山するなかで、自分との対話をしているように感じました。
    そして、読んでいる私自身も、一緒になって悩みや考えに寄り添いながら感情を味わって、
    最後には心も晴れて、前向きになれるように思えます。

    山に登ったことがない人でも、読めると思いますし、ぜひ読んでほしいです。

    実際に私も登山したことはないですがすらすら読むことができました。
    実際の山や地名が出てくるので、楽しいし、身近に感じやすいと思いました。

    山女日記というタイトルも、読み終わると、いっそうぴったりだと私は感じられました。

    また、個人的に、登場人物や場所が、複数の物語同士でつながって出てくるのが大好きです。
    この本は、それがよいバランスでつながっているので、読んでいて楽しかったです。

    もう一度、少し時間を置いたあとで、読み返したいと思える本になりました。

  • 20170904
    妙高山
    火打山
    槍ヶ岳
    利尻山
    白馬岳
    金時山
    トンガリロ
    カラフェス
    山に登る工程は、景色を見たり天気を気にしたり花を観察したり、とても地味だが、人は登っている間に自分と向き合い考えを巡らしている。面白かった。

    火打山、槍ヶ岳、金時山が特によかった。
    火打山・・・自分が本当に好きなものを通して人と繋がれたらいいと思う。本当の自分をカミングアウトすることの勇気って大切。

    槍ヶ岳・・・ひとりが好きという主人公に自分を照らし合わせて読んだ。誰かと一緒に行動することは自由を奪われるが、そもそも自分ができるようになったのは、一緒に付き添ってくれた誰かのおかげなのだ。

    金時山・・・一番の山に登るのもいいが、一番の山を眺めるために登るのも大事なことだ。

  • うん。自分の好きな感じではなかった。

  • どきりとするような共感できるフレーズがたくさん出てきて驚いた。そしてまた山に登りたくなった。雨でもいいよね。ひとりでもいいよね。気の合う友達とだと楽しいよね。次はどこへ行こうかな。

  • 山ってバリバリに計画しないで上を目指して歩けるのかな?って、思ってしまったけど。
    それぞれの章、山、に出たひとが、またであっていくような話の進展も面白かった。
    湊さんは、初期の作品以来。こんな山の話に出会えるとは❗

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