ギフテッド (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425187

感想・レビュー・書評

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  • 腎臓に付随した未知の臓器( "機能性腫瘍" とも呼ばれる)を持って生まれた、新しいタイプの人類、ギフテッド。ギフテッドは、何らかのきっかけがあると、思念によってものを変化させる力、瞬間的に空間を移動する力、の2つの特殊能力を覚醒させる。人類の進化系とも言える人達なのだが、無知蒙昧な普通の人々(非ギフテッド)からは、異物として毛嫌いされてしまう。マスコミに煽られ、恐怖と嫌悪からギフテッド排斥に走る一部過激な非ギフテッドとそれを容認・歓迎するかの社会的雰囲気。追い詰められたギフテッド達は、自らの能力を暴走させて…。

    人間誰もが持つ、異質なものを本能的に恐怖・嫌悪し、排除しようとする。そして、大衆を煽るマスコミの商業主義とヒステリックな集団心理。これって(いじめから人種差別、戦争やテロまで包含した)普遍的なテーマだな。

    ラストに、もうちょっといい解決策(非ギフテッド側の歩み寄りや融和に向けた道筋)が欲しかった。何れにしても、読み応えある作品だった。

  • とても面白かったが、何となく物足りなさを感じた作品。
    飽き、疲れを感じる間もなく読み進めることができるほど面白かった。元々パンデミック系が好きなのでそれもあると思う。内容は何となくガンダム味を感じた。全く同じということでは全然ないが、人間の対立軸的に似ていたかなぁと。とにかく面白かった。
    だがそれだけに最後が強引、雑過ぎたのが気になった。非常に面白かったからこそ、より一層激しく感じているのかもしれないが。終盤は一気に内容が進んだし、登場人物もそれぞれ雑に出てきて終了してしまっている。強キャラをかもしだした、けどほぼ出てこないアレックス。怪しげな雰囲気を出した、けどフェードアウトの木内順。よく分からん幼馴染佐藤あずさ。思わせぶりなふりをして何も描かれない上原夏希。目立つのはそんな感じだった。最初が丁寧にゆっくり進んだので余計に感じたのかも。
    あえて明文化しないことで頭の中で想像が広がることや、結末をハッキリさせすぎず物語の余韻に浸れることはあるが、これは何かもうほっぽり投げたような感じがした。
    丁寧に上下巻で書いて欲しかった。

  • 予想以上に面白かった。

    ストーリーはよくある超能力モノで、
    特別凝った設定はなく、
    悪く言えば使い古されたネタなんですが、
    謎の臓器もっていることや能力が2種類だけ
    という制約があるせいなのか、
    SFなのにリアリティを感じました。

    謎の臓器があるにも関わらず、
    能力が発動しない人がいるとか、
    能力者と一般人の争いや差別とか、
    細かい部分も飽きさせなかった理由かもしれない。

    総評としては、テーマは平凡だけど、
    文章力とテンポのよさで、
    とにかく続きが気になってしまう小説でした。

    百年法には及ばないが、
    かなりおススメです。

  • 長編だがなかなか読ませてくれる。面白いというより先が気になって止まらなかった。SFだが、要は人種差別を題材にした物語。力を持った者と力を持たない者の差を上手く描いている。しかしながら私達の生活にも言える問題でして…先輩や後輩.上司や部下、年上や年下…難しいが…私の信念はいつも変わらないと確認出来た物語でした。中間管理職には良い物語なのでは笑

  • 本当に久しぶりに投稿。
    読書はしていたけど、余裕がやっとできたので。
    こういう超能力的な内容は大好きなので、普通に面白かった。

  • 現代は過渡期にあるのではないか。
    国も企業も医療、教育の現場も自分だけが良ければいいという人間が、リーダーになってきた。聖職の存在、大統領、社長だから人格者なんだという神話が打ち砕かれた時代。決まってこんな時代にはなにかがあらわれ常識が覆される。
    そんな小説だった。

  • 未知の臓器を持つ新人類「ギフテッド」。彼らが覚醒した時,発揮される強大な力に恐れを抱く既存の人類である非「ギフテッド。溝は深まり人類の対立は次第に大きくなる…。異質で自分たちを超える新人類に対した時現れる人間の本性は?重い問いを突きつけられているようだ。この作者さんは『百年法』『代体』に続いて3作目だが,単なるホラー,単なるSFではなく社会問題として描かれているのでいつも倫理について考えさせられる。

  • ストーリーはSFチックなのだが、人間同士の差別というテーマに重きを置いた小説のようだ。『ギフテッド』の正体も曖昧で現実味が感じられず、山田宗樹ほどの腕のある作家なら、何もSFチックなストーリーに仕立てなくとも良かったのではと思う。最新作の『代体』もSFチックなストーリーであったが、こちらの方はまだ現実味があった。

    世界中で人間の体内から見付かった未知の臓器『ギフテッド』を巡り、人間同士の差別が始まるが…

  • 単行本484ページを1日で一気読みできるエンターテイメント小説だった。
    少数ながらも超能力を持つ「ギフテッド」と、彼らの能力を恐れて迫害する大衆との軋轢。SFエンタメ小説で頻出の構造ではあるけど、自分はそれが好きなので面白く読める。能力を持った少数派がだんだんと力を発揮して攻勢に転じていくカタルシスを期待通りに味わえるのが読んでいて快感。

    ただし、こういう仕立てのSF小説はどうしてもそうなってしまうのだろうけど、少数派の反乱は、最後には同じ能力を持った正義側(人間社会の倫理観に沿って生きようとする側)の人間達によって平和的に解決されてエンディングとなる。
    ギフテッド達を虐げてきた大衆がもっとギャフンと成敗される場面を読みたかったし、ギフテッド達が人間社会を潰してしまうまでの極限的な展開を読んでみたいなと思うので、結末には物足りなさを感じる。村やんやアレックスにはもう少し頑張って欲しかった。

    しかしそれを書くとストーリーの収拾つかないだろうなとも思うので仕方ないのだけど、一度ぐらいはそういう結末の小説を読んでみたい。
    大昔読んだ「魔法使いの弟子たち」も似た話だったと思うが結末を覚えていないので、そっちも再読してみようと思う。

  • 著者がどう話にオチをつけるのかと思いつつ最後まで一気読み。超能力のあるものはマイノリティーで、マイノリティーは排除しようとするのが人なのね。何故最初から共存しようとは思えないのか?人間って浅はかね。
    さて、オチですが、ここだけはちょっと嘘でしょ…でした。

  • 現実世界でいうギフテッドはIQの高い人々のことだが、この物語では腎臓に「機能性腫瘍」を持って生まれてきた進化した人間の話。

    政治によって扱いが二転三転し、子供時代から振り回されてきたギフテッドたち。
    ギフテッドの優遇制度がなくなったとき、彼らのアイデンティティは一瞬揺らいでしまったが、多くの人は一般人に溶け込んで生活していた。
    しかし、ギフテッドに対する差別はずっと続いたままだった。

    それに対して、主人公の同級生である村山直美は、ギフテッドとしてのアイデンティティを保ち続けようと仲間を集めて修行をしていたが、それを邪魔しに来たチンピラ集団を自分の意志とは無関係に発動した超能力で殺してしまう。

    その事件からさらにギフテッド差別が激化してしまった。コミュニケーションが苦手な村山は政治的手法ではなく、脳筋な力での武力行使で対抗していく。
    そのうちギフテッドの人権を無視した法律までできてしまってついに村山はテロ宣言、、、
    主人公たちは村山を止められるのか。

    物語の中盤はハラハラした展開が少なく惰性で読んでいたが、クライマックスは一気に読んでしまった。

    新しい価値観が生まれ、新しい枠組みに入るマイノリティの人たちの苦しみや悲しみが分かる(分かった気になっているだけかも)ストーリーだった。
    今の時代は新しい価値観が受け入れられやすくなっているが、それでも同性愛者は子孫を残さないから認めないとか発言している政治家はいる。
    いつも他人事だったマイノリティの人権が法的にも民衆の心情的にも認められるまでには長い年月と根気が必要ということをはっきりと理解させられた。

  • 《図書館本》期待を超える面白さでした!非ギフテッド側の得体の知れないものはとりあえず押さえ込んでおこうとする気持ちはすごくよくわかる。もしギフテッドがどうして人を殺してしまったのかの経緯がわかればこんなにこじれなかったよね。「相手の立場を想像する」ってとても大事だなと思った。難しいけど…。

  • 面白かったです。
    山田宗樹作品はスケールが大きいのが好きです。
    体内に未知の臓器を持つ、「ギフテッド」と呼ばれる人々。それによって超能力を発揮する彼らを排除するのか、共存するのか。
    自分の想像の及ばないもの、危害を加える力のあるものは排除しながら生きていくのか。それでいいのか…考えさせられます。
    描かれる一般の人々の姿に異常さを感じながらもどこか既視感とリアリティーを覚えるのは、似たものを日々目にしているからなのかも。
    培った友情や絆の力は強いです。学生の頃もキラキラとしていましたが、ラストにかけての展開でもキラキラとしていました。
    全人類ギフテッド化は、東京喰種の嘉納かな?と思ってしまいました。そして火星は理解が追い付かないです。
    でもぐいぐい読めました。
    Pierrotの「PERPLE SKY」という曲を思い出しました。懐かしい。

  • 2018/4/20グイグイ読まされた。

  • 発想が面白い。
    人類の進化形というか、人の想像を超えたものを目の当たりにした時の冷静さを失う人間の行動…

  • 細かく言うと3.7くらい
    面白かった。途中からの物語の加速感がいい。
    (人によっては)少しだけもやっとするかもしれないけど、買って損は無い話だった。
    だが、百年法の時の高揚感を超えられなかったのは期待しすぎたからか?
    次は、人類滅亡小説だな。
    また期待しすぎて自分でコケるのだろうか?

  • 未知の臓器を持ち、特殊能力を持った人間が発見されギフテッドと呼ばれる、、そんな設定が面白く一気に読めました。人類の歴史や世界の歴史に名を連ねる人物はもしかしてそんな力を持っていたんじゃないか、歴史が変わる時、これに似たようなことがあったんじゃないかと思ってしまうような内容でした。自分の想像力ではラストはよく飲み込めなくスッキリできなかったので☆3でσ(^_^;)

  • 「ギフテッド」は「天才」という意味で使われることが多い言葉なので、「未知の臓器を与えられた人」を指して「ギフテッド」と言うのは誤解を招きそうかな、と思った。

    超能力を持つ者と持たない者の争い、超能力を持つ者も一枚岩ではないこと、などはモチーフとして目新しさはないです。『新世界より』の、呪力を持つ人間が出始めた頃はこんな感じだったんだろうな、などと他作品を連想できてしまうくらい。

    結末があっけなくてちょっと置いてけぼりにされたような感がありました。

  • 面白かった。ギフテッドと非ギフテッドの関係がとてもリアリティーがあって一気に引き込まれました。大衆心理と政府の方針なかなか緊張感があってよかったですね。最後の余韻も心地よいぐらいの結末でした。

  • 期待外れ
    百年法のあとに読んだのでなおさらガッカリ感が増しました…

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著者プロフィール

1965年愛知県生まれ。筑波大学大学院農学研究科修士課程修了後、製薬会社で農薬の研究開発に従事した後、『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化される。2013年『百年法』で第66回日本推理作家協会賞を受賞。その他著作に『ジバク』『ギフテット』『代体』『人類滅亡小説』『存在しない時間の中で』など。

「2022年 『SIGNAL シグナル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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