- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344425798
作品紹介・あらすじ
大王製紙社長の長男として、幼少時代は1200坪の屋敷で過ごし、東大法学部に現役合格。27歳で赤字子会社を立て直し、42歳で本社社長就任。順調な経営、華麗なる交遊…すべてを手にしていたはずの男はなぜ"カネの沼"にハマり込んだのか?創業家三代目転落の記。そして、刑期を終えたいま、何を思うのか-。出所後の独白を加え文庫化!
感想・レビュー・書評
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一瞬でお金が何倍にも何十倍にもなる快感。はまってしまうのもわかる気がする。そして一瞬で大金を失ってしまう衝撃!それもある意味快感なのだろうか?
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【熔ける】井川意高 大王製紙元会長
1.購読目的
2011年上場企業大王製紙元会長が会社法違反で逮捕されました。
この書籍はその元会長が逮捕前に執筆しているノンフィクションです。
この事件からすでに10年が経過しました。直近「ふたたび熔ける」が出版されています。
元会長は、会社から106億円を個人的理由で借り入れし、流用していました。
・どのような経緯で106億円?(事件の発端)
・どのような牽制で防止できなかった?(監査の視点)
これを知るために購読です。
2.書籍を通じて初めて知ることができたこと。
・有価証券報告書。106億円の賃借は記載あり。
・監査法人による元会長へのヒアリング実施もあり。
・7社から2年間で106億円。
上記の事件のあらまし以外に、元会長井川氏の「経営への考え方」も知ることができました。
ユニ・チャーム、P&Gの競合がいるなかでどのように利益をねん出していくか?
『課題そして対策は具体的であれ。抽象論では進まない。』
例;要注意。気をつけます。まじめにやります。しっかりやります。努力します。
次回は結果を出します。意識します。
3.学び。拡大解釈。
会社資金の用途は、キャッシュフロー計算上、営業、財務そして投資の3種に区分できます。
これは財務上の一般論です。
本質は、この3区分の資金がA;売上増加またはコスト削減につながったのか? B;ただ消費されたのか? であると認識できました。 -
筆者の井川意高氏は、大王製紙の創業家の三代目にあたる。東大法学部を卒業した後、大王製紙に入社し、一種の帝王教育を受けたのち、大王製紙の社長となる。経営者としては、有能な人であったようであり、大王製紙在任中には、いくつかの立派な業績をあげている。
井川氏が有名になったのはしかし、大王製紙の経営者としてではなく、特別背任罪で逮捕・有罪判決を受け、懲役刑を受けたからである。井川氏は、ギャンブル依存症であり、マカオやシンガポールのカジノでブラックジャックやバカラにのめり込み、何と106億円の借金をこしらえてしまったのだ。借金返済等、資金をまわすため、井川氏は大王製紙の関係会社から借金を重ねる。最終的には、借金は全て返済したが、関連会社からの借金そのものが特別背任罪にあたり、約4年間の実刑判決を受けることになってしまう。本書は、井川氏の経験談を書籍の形にまとめたものである。
ギャンブルのために、100億円を超える借金をしてしまうのは、まともではないが、ギャンブル依存であること以外の井川氏は、ごくごく真っ当な経営者であることが、本書を読めばよく分かる。しかし話は逆かもしれない。ギャンブル依存症である経営者は、いかに本業で立派な業績をあげていたとしても、「真っ当な経営者」とは呼べない、そう考えるのが普通の考え方なのだろう。しかし、そういうことは全てわかったうえで、ギャンブルにのめり込んでしまうところに、依存症の怖さがあるのだろう。 -
youtubeやxのポストで井川さんを知り拝読。
幼少期の父親との関係、大王製紙に入社してから、カジノにはまり、逮捕される一連について。
第4章の家庭紙部門の赤字を黒字にするまでの手腕や考え方・抽象を許さず具体を問う姿勢などは仕事をする上でも参考になった。 -
この本の著者井川意高という人は、つくづく真面目な人だと思う。人間の持つどうしょうもない矛盾というか性(サガ)を持つ自分が翻弄されながら、なんとかなると思っていて、カジノで106億円の損失を出し、会社の特別背任罪で、4年の実刑を食らい、そして今は娑婆で生活している。
カジノは人生を狂わせ、ギャンブル依存症になるという典型の人として認知されている。106億円は、全て、自分が社長している会社から工面し、そして全て返済するほどの資産を持っていたのだ。返すことができたというのは自己完結はしている。また、大王製紙のいろんな事業では、井川意高は、赤字部門を立て直して、黒字にする優れたビジネスマンでもある。(本を読んだ範囲内の判断であるが)
シンガポール マリーナベイサンズ のカジノのVIPルームで、井川意高の目の前にカジノのチップ20億円分がある。タネ金は、500万円から始まって、48時間で20億円になったのだ。さらに倍にしようとしている。それは、今までの借金を返済するための賭けである。運と偶然性のみが支配しているバカラの勝負に、全生命を賭けて挑んでいるのだ。しかし、淡雪のごとく20億円は溶けてしまった。井川意高の中では、20億円というお金は、記号や数字にしか見えず、そして借金を取り戻すことしか見えない戦いだった。なんだろう、このヒリヒリ感。500万円から20億円になった時点で、とりあえず、手を打てばよかったのだ。波に乗っている高揚感が、次を目指す。勝ち逃げしてまた次を狙えないという貪欲さ。井川意高には、リミッターやブレーキがない。だから尋常でない金額の106億円で負け、借金となる。ここまで、愚かでどうしようもない自分と付き合って生きて行くのは、楽しいだろうね。 -
一週間前に単行本で読んだら、文庫特別書き下ろしがあるというので、それと解説を読みました。
ちょうど昨日今日と中田敦彦さんがYouTubeで
井川さんについて語っていました。
他の人の説明や感想を聞くと
新たな発見がありますね。
「やりきらなきゃいけない」と強迫観念があるんですね。
私もだと思いました。
この本を読み中田さんの話を聞いて
そのことが確認できて良かったです。
あ、そうだ。
文庫特別書き下ろしに、106億8000万円が108億6000万円になっているところがありました。 -
この本は面白い。やはりこれだけカジノにのめり込めるのは、実力のある人にしかできないこと。
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メジャーリーガー元通訳者の事件が連日話題ですが、著者の場合は額が違う。106億円ですもんね。紙を造るどころか溶かしていたということで、個人的には相当スキャンダルな一冊でした。続編も出ていますが、まずはこちらから。ほとんど溶かされたあとの、残り滓状態で書かれた極限の1冊かと思われ、こんなに書いていいのですか。と思わずにはいられない
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大王製紙元会長井川意高の半生記。
なぜカジノにのめり込み堕ちてしまうのか。
なぜそこまでの借金ができるのか。
それはもちろんのこと、
製紙業界、経営、父からの英才教育、他の経営者、交友録など興味深い話がたくさん盛り込まれている。
井川意高氏の地頭の良さ、カリスマ性を感じる一冊。