きっと優しい夜 (幻冬舎ルチル文庫)

著者 :
  • 幻冬舎コミックス
3.26
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344809666

作品紹介・あらすじ

同性にしか恋ができず、初めての恋人に裏切られ仕事を失い、恋に臆病になっている羽根理。今の仕事を懸命に頑張る理を、上司の堂上永貴は厳しく指導しながらも認め、理もまた、永貴を尊敬している。ある日、堂上に食事に誘われた理は、永貴から告白される。理は永貴の告白を受け入れ体を繋ぐが、その代わりにある条件を出し…。

感想・レビュー・書評

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  • ロマンチック・レプリカの前の作品だったらしい。

    攻め:デザイン会社チーフ・堂上永貴
    受け:デザイン会社の契約社員・羽根理

    契約社員で働く羽根は正社員になりたくて仕方ない。厳しいけど有能な上司がそれなりの人事権を持つと知った後に自分に対する好意を告げられる。羽根は上司をそういう目で見たことは無かったし、以前勤めていた会社で上司と恋人だったのに裏切られて職場も恋人も失った経験から恋はしばらくしたくなかったし、ましてや社内恋愛もしたくなかった。でも、切実に社員になりたい羽根は堂上に「社員への採用試験を受けたい」と暗に身体と引き換えに、と匂わせる。そしてそういう関係になり、正社員になることができた。しかし、元の職場からのデザイン依頼で会いたくなかった元上司・元恋人に再会してしまい、、。


    採用試験と引き換えに身体を差し出す受けも、それを受け取ってしまう攻めも、うーんという感じで共感出来なかったのだけど。
    次第に攻めに心惹かれていく様子や、元恋人からの再びの理不尽な要求や、攻めに知られたくなくてツライ気持ちになるとこなど切なさは目白押しで来て後半一気に読み終えました。

    うえだ先生の作品は切なくて誠実なキャラがポイントかな。誠実が故に辛い思いをしちゃうんだと思う。
    デザイン会社の様子も分かってお仕事物としても良かったと思う。人によってはお仕事物の作品になるとお仕事部分が多すぎて恋愛部分が少なくなるのだけど、うえだ先生の作品はバランスがいいと思います。

    今回も電子で購入したので懸案の挿絵を目にしなくてホッとしてます。
    苦手絵師さんの時は電子で挿絵無しで読めるのがホント嬉しい。
    電書屋さんはイラスト無しと有りを選べるようにして、無しの方はその分価格も安くしてくれたらいいのに、、、ってこれはこの作品に関係無いけどwww

  • 面白かったー!

  • 樽田やなやつ。

  • 金ひかるさんの挿絵に惹かれて購入。はじめましての作家さん。
    寡黙だけど懐の深い攻が好感。ワーキング部分も詳しく書かれていて◎。
    受の攻に対する尊敬から愛情へ変わる過程も自然で無理なく読めた。

  • ★3.5。うえださんの新刊!!というわけでハードル上げ過ぎたかもしれません。包容力攻×臆病受という組み合わせは非常に好みだったんですが、いかんせん攻があまりに表情変わらな過ぎ&物言わな過ぎて、二人の会話が極端に少なく、終盤までぎこちない…。全体的にも鬱々としてるので、恋愛面での熱量と甘さが物足りませんでした。攻が告白するまでの二年間の関係をもう少し詳しく知りたかったなあ。最後に一波乱あるかと期待したけど、実は攻は全部お見通しで解決済なので無問題、というのも物足りず。シチュは好きだったんだけどなあ…

    番外編同人誌「焼き肉店の、そのあとで」A5/12頁読了。本編後のSSの続き、がっつく攻。お風呂でH。甘くて良かったです。

  • とてもジーンとくるお話でした。

    最初読んだときは、羽根が交換条件を出すタイミングにう〜んとなって受け入れにくかったです。羽根が過去の辛い出来事で自覚している以上にダメージを負っていて、また現状の不安定な状況ということを踏まえても引っかかりました。

    読み進めていくうちに、羽根は徐々に堂上に惹かれていって、そんな彼の気持ちを踏みにじってしまったとどんどん後悔に苛まれていきます。この辺りの描写はとても切なくて、羽根の心情がよく伝わってきました。
    それだけに前述の引っかかりが惜しいと思いました。
    もう少しうまく描いて欲しかったなと思います。

    武骨だけど懐が深くて優しい堂上が素敵です。彼視点のお話ももっと読みたかったです。

  • いい攻だったわ! これからの二人が読みたい!ですね。仕事中は厳しくプライベートは甘いっていうのが目に浮かぶような♪

  • 初読みの作家さんです。わりと地に足の着いた感じの文体にとても好感が持てます。
    前職のアパレルメーカーを横領の濡れ衣をきせられて退職した羽根は、
    現在ディスプレイデザイン会社の契約社員をして下積み生活を送っていた。
    毎日ひたむきにがんばっているが、元彼に裏切られて罪を着せられた傷はまだ癒えていない。契約社員という先の見えない生活にも不安を募らせている。
    いわゆる不幸健気受です。
    対するはデザイン会社のチーフを務める寡黙で武骨で男気あふれる会社の先輩堂上。
    ある日堂上から食事に誘われ、突然好きだと告白されて驚く羽根。
    尊敬はしていたが、恋愛感情は持っていなかった。
    自分がゲイであると見抜かれていたことへの不安。
    断ったら会社にいられなくなるかもしれないという不安。
    羽根は堂上を受け入れる代わりに『正社員になりたい』と交換条件をだしてしまう。
    これは身を護るための保険みたいなものだと自分に言い聞かせて。
    自分を利用しようとする羽根に落胆したはずの堂上だったが、不思議なほど羽根に優しい。
    堂上の懐の深さ、多くは語らないけれど羽根を気遣うやさしさに、割り切って始めたつもりの関係がどんどん苦しくなる。
    そんな中、またもや元彼の差し金で不正に巻き込まれそうになった羽根は、堂上に迷惑をかけるくらいならと、そばを離れる決心をする。
    こういったひとりよがりで周りが見えていない不幸受は通常あまり好きではないのだけど、うわっついていない堂上の不器用な愛情の好感度との相乗効果もあってか、全然嫌な話じゃなかった。
    実はまだアパレル会社にいるころから顔も知らない羽根に潜在的に興味を持っていたというエピソードよかったな。
    両想いになってからの甘やかしと堂上のやきもち焼きが微笑ましい。

  • 仕事風景もきちんと書き込まれていて、最後まで中だるみなく引き込まれました。
    羽根は、以前アパレル会社に勤務していたのですが、ある事情で自主退職している身の上。現在は、ディスプレイデザインの会社に契約社員として採用されていて、真面目に仕事を頑張っている毎日です。
    羽根は必死なんですよね。不景気のさなかに苦労してようやく見つけた職で、三ヶ月ことの更新のたびに切られるんじゃないかと不安になって、正社員になりたいと勤勉勤労しています。
    そんな羽根が尊敬して信頼しているのは、仕事では厳しく手抜きしないチーフの堂上。彼は自分の仕事にプライドを持っていて、それに見合う才能の持ち主です。それを鼻にかけたりせず、職人気質でちょっと不器用な面もあって人間味がある人物。

    羽根は、怖くて緊張してしまうくらい尊敬していた堂上から食事に誘われて、その上「好きなんだ」と告白されてしまって、ここで断ったら正社員はおろか、クビになる…!とおびえちゃいます。
    その気持ちはわかります。色恋より食べていくほうが重要事項。
    さらに羽根の場合は、ゲイである自分の恋心を利用されて犯罪の片棒を担がされたという、決して公言できない理由で前の会社を辞めているんですよね。
    切羽詰った羽根は、正社員になることを交換条件として付き合うことを受け入れるのです。
    そして、二人はお付き合いする事に。羽根は晴れて正社員に。

    ここのところは、もうちょっとうまく描いて欲しかったかな~と思っちゃいました。
    二人とも、カラダを交換条件にするほどイヤなずるいヤツじゃないんですよね。実際のところ、寝たから正社員になれたとか、そういうわけじゃなかったと思うんですが。そっちの方に注目しすぎて、切なくなれたのはやっと後半になってからでした。
    あの元カレが出張ってきたあたりからです。
    その元カレも、できればもっと「天誅!」みたいなかんじで、もっとこっぴどくスッキリする方法で懲らしめて欲しかった気がします…
    とはいえ、元カレが登場したからこそ、二人の間でもやもやしていた誤解も消えたわけなんですけどね。
    仕事にはとことん厳しく追及する堂上が、恋愛においては少々歯切れが悪かったんですよね。もちろん、それはすべて羽根を思いやっての事だとわかりますが。
    でも、そこがわかったのが終盤だったので…羽根の仕事を失いたくないとか、不正にかかわっていたことがバレたら、という気持ちの方にすごく感情移入しちゃってめちゃくちゃドキドキしちゃって、恋愛モードでの萌えよりなぜか勝ってしまって。

    ストーリーは萌えとかにこだわらなければ、地味だけど満足できます。
    ありのままの人間らしさを、優しい気持ちで受け止められる話です。

  • はー思いがけず潤みっぱなしでぽろぽろ零れました。良かったです。羽根がちゃんと顔を上げられて良かった。
    初作家さんでした。名前はよく見かけてたので長年気になってたのですが、ようやく購入。タイトルとあらすじでこれは…!と直感で。
    物語としてすごく理路整然としてるというか、筋道が立っているというか、起承転結がうまいというか、あ、思考に沿ってるのか。だから読んでてすごくすっきりしました。同じように辿っていく感じ。感情で逸れても、最後にはきちんと正しい方向に向かっていく。羽根が感情で選んだ道を、移入して読んでるから「仕方ないよね他に方法ないよね」と異は覚えず、だけど最後にそれがどういう風に正しくないのか羽根が気づくのと一緒に「そうか、そうだよね」って一緒に思って、羽根は泣いてないのにぽろぽろ泣いてしまいました。
    でもどんなに間違ってても、やっぱりあの場面は仕方ないんじゃないかなと思います。羽根を責める気になれない。すり減ってすり減ってすり減って、堂上が公私混同する人じゃないと判ってても断ったらって恐怖はあるよなぁと。ない足元を更に脆弱にするより少しでも固めたいと思っても仕方ないよねと。でもそれはやっぱり間違ってるんですけど。その流れがうまいなぁと思いました。
    どの立場の考えも気持ちも解るのですよね。2年も経ってるのにいつ切られるか判らない羽根の焦燥、恐怖も、採用出来ない会社も、羽根自身を見てどちらを信じるべきか迷う2人も。それぞれの立場で、間違ってるとは言えない。そして羽根も、自分の意思でやった事じゃないとは言え、罪として一生付きまとう、責められ続けねばならないものとして理解してるのがやり切れないけど、好感を持てました。理解してたけど折れて、でも努力し続けなきゃいけなかったんだってちゃんと気づいたのが。ただ単純に始めから「自分の意思じゃなくても罪は罪」と心底捉えてるような現実離れした高潔な人間ではなくて、ちゃんと温度を持った人間として好感を持てました。
    それ程までに自分を好きでいてくれたのかって何度も気づく度に、堂上の愛情の深さが知れて、ほろりとしました。そしてその気持ちを自分が最初に裏切ってしまった苦さ辛さが、切なかった。堂上に傾く程にきっかけがどんどん辛くなっていく。切なかったです。失望して軽蔑したはずなのに、それでも突き放しはしない堂上に、対等に扱い続ける堂上に、まだ希望はあるのかなと思うと同時に取り消せないきっかけ。最後に自分が樽田と同じ事をしてたと気づいたところにはっとしました。羽根が思い至るまで、気づかなかった。承諾したのは堂上でも、酷い事をしているのに変わりはなかったのですよね。帯の台詞が本編で出てきた時は、抉られる気持ちでした。
    堂上が本当に良い男でした。無愛想で厳しくて、でも優しくて想いが深くて。どうしてそんなに大事なんだろうって、最後に出てきた話は本当に予想外でした。胸が熱くなった。始まりがあって、数年追い続けて、2年間そばでずっとちゃんと、羽根自身を見てきた事が想いの深さを物語ってる。だからこそあの場面は、本当に衝撃が大きかっただろうなと思いました。失望して軽蔑して、だけど見続けてきて羽根を知ってるから、完全には突き放せなかったんじゃないかなぁと。失望しながらも信じたい気持ち。
    そして2年間きちんと見続けてきたからこそ、頼ってくれなかった信じてくれなかった事への堂上と江崎の憤りも理解出来る。一言、話したらいいのにと思いました。でも羽根の立場だったらやっぱり言えないよね。本当に、どの立場の気持ちも解るなぁと思う話でした。でも最後の最後に、辞めて責任を取るという選択肢に、誰もがその道を選ぶよねとそれも異論はなかったのに、違うと思い直したのが新鮮でした。きっとそれが、羽根が顔を上げた瞬間。
    最後に羽根がこぼした決意に胸を打たれました。清らかな人だ。
    きっかけの場面、堂上は失望して軽蔑したけど突き放さなかったのは、羽根自身をずっと見てきたからってのが勿論と、知ってたからってのもあったんだろうけど半分しか知らないよね。そこまで追い詰められてた背景までは知ってるのかなぁと思いました。親がいない事とか経済的な事とかそういうのは知らないんじゃないかなぁと。だからって傷つけた罪が減るわけじゃないけど、少しは軽蔑した気持ちが薄れるんじゃないかなと、いつか知るといいなと思いました。少しでも羽根が楽になるといい。
    最後の2人はとってもかわいかったです。それぞれの嫉妬の仕方、それの示し方。どっちもかわいい。幸せになれよーと思いました。
    この表紙はとても印象的でした。表紙買いな部分も。

    ところで一度羽根が振り込んでた気がするけど、そこだけ流れがよく判りませんでした。振り込むのはK'Sの側じゃないの?

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