おとぎ話のゆくえ (幻冬舎ルチル文庫 い 4-3)

著者 :
  • 幻冬舎コミックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344820067

感想・レビュー・書評

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  • 『雪よ林檎の香のごとく』の印象が強くて、読み始めてすぐに
    もしかして作風変わった?とか思ってしまった^^;

  • 本編面白かったけど、番外編の『共犯者のゆくえ』がよかった。
    桜ちゃんの『Love』は喬雄も慎も入る、youは複数形でもあるから!という考えに目から鱗だった。

  • 2021/05/14-05/16
    2023/04/14-04/19

  • 生まれも育ちも考え方も、何もかもが違う隼人と湊。当然のことのように周りに気を使い続ける湊と、周りのことなんか気にしない隼人。2人とも「自然」と思っているように見えるのが、ちょっと辛かった。隼人の他の人だけでなく、自分にもあまり興味の無い感じも見ていて悲しくなる。出来事をあまり覚えていないのは、それが原因だと思うし。2人が一緒にいることで、お互いに影響し合えるといいな。と思った。

  • だらしない根無し草男と古くからの言い伝えの残る土地の純真な若様。出会うはずのなかった身分違いの二人が、恋という不確かだけれど強くあたたかな結びつきでゆっくりと結ばれていくタイトル通りの優しいおとぎ話。
    過去作をどれから読もう、と悩んで重版されたというこちらを。

    一見噛み合わない生まれも育ちも価値観も違う二人が、それゆえにゆっくりと気持ちを重ねあい、自分に課せられた役目を当たり前のこととして受け止めて生きてきた湊の「息苦しさ」をやわらかに掬い上げる隼人、自分が得てこなかったものすべてを持って穏やかに受け止める湊の温もりに包み込まれていく隼人、必然のようにゆっくり染み渡っていく二人の心の行方が丁寧でやわらかな言葉できらめきに包まれて紐解かれていくのは一穂ワールド全開。
    文章が、言葉運びがとにかく心地よくてさらさらと流れていく感覚に酔いしれるよう。
    脇に至るまでの人間関係の描写、何気ない小道具の使い方、情景の切り取り方ひとつひとつがきらめいてみえます。
    家族や社会との折り合いのつけかた、自分の立ち位置をきちんと見つけて生きていくにはーーと、現実的な「おとぎ話」の中で、優しいハッピーエンドが用意されていることに安心感をおぼえました。
    なににも執着しないはずだった隼人が帰る場所、自身を受け止めてくれる相手の温もりに違和感と、それ以上の安らぎを見つけられてよかったなぁと。
    幼馴染三人の関係性が描かれるもうひとつの結末もとても優しい。


    しかしまぁ、十和子と佐伯さんと義時……「さみしさのレシピ」にもその片鱗は見えたので、「off you go」で決定打のように描かれるまで一穂さんの中で根付いていたテーマなんだなと。

  • 「自分にとって欲しいものと必要なものが完ぺきに一致している幸福を感じた。」

    わたしは、隼人✕湊ではなく、湊✕隼人派です。

    (再読)

  • とても面白かったです。根なし草の隼人、世が世なら将来殿様の家系の若様、湊。2人の正反対な生きてきた人生と考え方… だからこそ惹かれ合う。今まで辛いことも辛いと言わず頑張っていた湊が、隼人に会えない事が辛いと泣くシーンはこちらも胸をぎゅっとつかまれる思いだった。一穂さんの文章は本当に綺麗で心にスッと入ってくるんですよね… 満月のシーン、駅のシーンはたまりません。何度も涙目になりながら読んでいました。

  •  ハッピーエンドになって、この先もこの幸せが永遠に続けばいいのに、って思う物語がある。続き続ける作品もある。

     この話には「時の流れ」や「現実」を感じる。
     きちんとした社会的な溝とか。

     恋というきっかけが無い限りは超えないのかもしれないね。面白かった。

  • 幼なじみトリオの関係性が素敵だった。もちろん甘々な主役の二人も。

  • 世が世なら一国の城主になるべく生まれて、今でも『若様』として大切に扱われている湊。一穂さんは大好きなのだけど、ちょっとトンチキもとい奇想天外なその設定になかなか手を出せずにいました。
    そんな昔の因習がしっかり残った田舎町に、ふらりと現れた隼人。住所不定無職、天性の要領の良さだけで世の中を渡り歩いてきたような正真正銘のロクデナシです。
    一見なんの関わり合いもない物質同士がある時出会って、思いも寄らない結果が生まれる…みたいな、どこかケミストリーっぽい恋愛反応。
    隼人は決して悪人ではないけれど、いっそ清々しいほどのろくでなしライフを送っている。人がこっそり胸のうちにしまいこんでいるような感情を、動物的な本能であっさりと嗅ぎ当ててしまう。
    だから、常に『若様』を演じることを義務づけられて、生まれた時からそう躾られてきたことに疑問こそなくても、自己アイデンティティとの狭間で葛藤を抱えている湊にとって、何にも縛られず、そうした因習に一切リスペクトもない隼人の自由さに心惹かれるのは、ある意味必然とも言える。
    そんな湊の真っ直ぐ胸元に切り込んでくるような無垢さが恐ろしくて、抗えないほどの強い引力で吸い寄せられそうになるのと同じぐらい強い力で自分を引き剥がして、湊の元から去った隼人。
    真綿でくるむように湊を大切に大切に扱ってきた周りの人間の悪意のない優しさと期待。
    聡いから、息苦しくてもそこから逃げ出せない湊。そんなみんなの宝物を欲望にまかせて踏みにじるほどの悪辣さも持ち合わせていないから、逃げ出すしかなかった隼人。みんなが善良で少しずつ悲しい。
    きっとどんなエンドでも納得できない気がして、読んでいた。でも拍子抜けするくらいにキレイに終わってしまった気がする。まぁ…おとぎ話だからしょうがないか。
    隼人の『好きだよ』のたった一言に集約された想い。特にエレベーターのシーンがすごくすごく良くて、さすがうまいなぁと思う。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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