- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344829282
作品紹介・あらすじ
病院で目覚めた志上里利は、自分が中学時代の同級生・保高慎二の乗る車に撥ねられたのだと知る-十年ぶりに再会した保高は、その病院の研修医だった。利き腕を怪我して不自由なところを、保高の部屋に招かれ甲斐甲斐しく世話を焼かれる志上。保高のことが気になりながらもつい反発してしまうが…。書き下ろし短編も収録。
感想・レビュー・書評
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複雑な生い立ちゆえ刹那的に生きる受と、そんな受を幼少期に見守っていた誠実な攻。
砂原さんはすでに確固たる地位を築いてる作家さんですが、普通の恋愛ものよりダークさのあるキャラクターの方が個人的に上手くて魅力的だと思っています。
これもその最たるもの。安易に両視点に逃げず、終始受視点なのも好感度高い。ブレずに攻に惹かれていく気持ちを読者に感じさせていくのが上手い。
暗くて繊細な話ですが、読後のハッピーエンドにはニッコリ。書き下ろしの攻視点も、本編の雰囲気を壊すことなくうっすら暗さがある中、受の攻への愛情を感じる良作でした。素敵なお話!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
真面目で偽善的な正義感を持つ研修医×ホスト 同級生
人間の持っている劣等感とか計算高さ、ずるい考え、同族嫌悪、トラウマ、葛藤、嫉妬、見栄…そんな後ろ暗い感情の駆け引き、流れがよく描かれていてすごい。
ただ、主人公も相手も女性と付き合う描写が出るので苦手な方はお気をつけを! -
志上の生い立ちからだと志上がどうしてそういう風になったのか!っていうのは納得というか仕方がないな~とは思うんだけど、ちょっと人間の嫌な部分っていうのを見せ付けられた気がしましたね。砂原さんのこういう雰囲気の作品はいつも痛い所突いてくるな~って思わせられるんですけどねぇ。それが駄目な時もあるけど、これは好きな部類でした。志上には幸せになってもらいたいな~って思いました。意地っ張りと言ってしまえばそれまでなんだけれど志上のそれはちょっと違う感じでそれを上手く保高が理解して言って欲しいな~って思います。
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10年以上前の作品に書下ろしがついて、新装文庫化。
砂原作品の原点のような話でした。研修医×ホストとか、無骨で一途な攻とか、強がってる寂しがり屋の受とか。
センセの作品での大好きな要素がいっぱいつまってるかんじです。
改稿されているんだろうけど、どことなく古臭さを覚えるのもまたよかったりしました。
ホストで稼いで荒んだ生活を送っている志上は、仕事帰りに車に撥ねられてしまいます。加害者は中学時代の同級生だった保高で、ずっと嫌っていた相手。今は研修医として働いている保高は超がつくほど善人で、腕を骨折した志上を自分のアパートへ連れ帰りあれこれ世話を焼くのですが、志上はそんな彼に素直に感謝できずに酷い態度を取ってしまいます。
昔マジメで正義漢だった男は、今もマジメで、それが志上の心を逆撫でします。
だんだん、明かされていく志上の背負うもの。単にやさぐれてしまったわけじゃないのが切ないです。
そして、保高もまたずっと隠してきた気持ちがあります。
二人とも、とっても不器用!
不思議なことに読んでるうちに、無骨で気の利いたところなんてない、ちょっとダサい保高がどんどん、とてつもなく優しくカッコよく見えてきます。
そして、素直じゃなくてひねくれ美人の志上の寂しい人生にも泣けてしまいます。
見えないところに、優しさがいっぱい隠れていて、じわじわやられてしまいました。
「夜明けには好きと言って」と「真夜中に降る光」は、ホストものとして大好きで思い入れの激しい作品なんですが、このストーリーはその前身とも思えます。砂原作品らしさにあふれています。心に響く良作。 -
志上がどうしようもない男に見えるけれど、大切にすることも大切にされることも経験してこなかったのかな。と思うと、悲しくなる。そんな志上が保高の無条件の優しさが理解できなかったのは仕方がないことなのかも。全く違う生い立ち、全く違う考え方の2人だから、ぶつかることもあるけれど、志上ご少しずつでも素直に保高の優しさを受け入れられるといいな。と思った。
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2014年読了
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鬱々とした展開に読んでて疲れた…。泣けたけど、里利の自業自得な部分はあるとはいえ、今までしてきたことのツケのように不幸続きで、ハッピーエンドなのに鬱展開の印象が抜けなくて読後感はあまりよくなかったな…。
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段々と可愛くなっていく志上に萌えました。途中何度も泣きながら幸せになってくれと願いました。
書き下ろしも含め、とても素敵でした!!