雨降りvega (幻冬舎ルチル文庫)

著者 :
  • 幻冬舎コミックス
4.07
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344830080

作品紹介・あらすじ

高校生の文人が唯一心を開くのはネットで知り合った年上の男性「アルタイル」。趣味の天体観測を通じて穏やかにメールを交わすつきあいだ。卒業式の後、友人の言葉に酷く傷ついた文人は駆けつけたアルタイルと初めて会いその人柄に更に惹かれるが、本名すらわからないまま交流は途絶える。数ヶ月後、姉が連れて来た婚約者はアルタイルその人で?

感想・レビュー・書評

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  • 凪良さんらしい、細やかな心理描写が素敵でした。個人的な思いになりますが、最後は二人が別れて終わって欲しかったです。二人がくっつく事によってチープ感が出てしまったように思います。くっつくまでの描写がリアルだった分、くっついた後の甘い描写で「ああ・・・作り話だな」と思い知らされたと言いますか(笑)それから、くっついた後はお姉さんのことはどうするのかな?とちょっと心配に。二人がくっついても手放しで喜べないモヤっとした感情が残りました。

  • 物語の半分くらいから惹き込まれて、そこから一気読み。
    半分くらいまではゆっくり読んで、主人公文人が高校三年から 大学一年まで。その後は、大学卒業までの五年の日をじっくり読んだ感触で、年の流れが肌に伝わるような読み応え だった。
    不覚にも中盤に文人とその想い人新聞が体と合わせ決別した所では、静かな別れすぎて涙してしまった。
    文人を新聞も未練が溢れんばかりなのに、お互いや近しい人達の為を思って、別れを選んでしまうのが可憐しい。
    静かだけど熱いお互いの想いが、雨の感触や冷たい 北の風と共にみていく。
    途中、まさか悲恋で終わるのか? それもリアルで良いのかな、と思いつつ、2人幸せな決末を迎えたため読後は良かった。
    新聞サイドからの短編もあったので余韻が心地よかった。
    2人がこれから先、どのような人生を送るのかな、と思うと、やっぱりお互いを尊重し、 想い合うけど別れることはもう選択しないだろうと 安心感のある終わりだった。本屋大賞受賞はやっぱりな納得。

  • 相手の気持ちを思い通りにもできないけど(神崎、夏那)、自分の気持ちも思い通りにはならない(文人、新開)。人を恋うる気持ちは切ない。


    過去に読んだBLで、バイの攻めと別れることになる女性の扱いが雑すぎてトラウマレベルなので夏那が出てきた時点で無理かと思ったが大丈夫だった。凪良ゆうへの信頼感は鉄板。作者にも読者にも邪魔でしかない登場人物は不憫すぎるのでそういう感じではなくてほっとした。

  • エロ目的で読んでないときはこのくらいの濡れ場表現が丁度いいよな(こなみ)
    マジでラスト既婚者になってたENDだったら地獄だな…って思ったけど、ルチル文庫さんはそこまでの地獄ではなかったよ…
    でもまあまあ昼ドラだったな…
    長野ま〇み的ネタも、凪良先生が書くと普通にシリアスだった…

  • 前半は余りに息苦しい 救いがない
    ラスト、BLの鉄則を破るのかと思いきや仕掛けがあった 絡み描写を最小限にしているのも良かった

  • 凪良ゆうのせつない系も好き!

  • 七夕ということで、Twitterのフォロワーさんから教えてもらったこの作品☆

    はあ…切ない!切ない!切ない!!
    まさに天の川を挟んだベガとアルタイルのようなお話しでした。

    文人が唯一心を開くのはネットで知り合った"アルタイル"。ある日友人の言葉に酷く傷ついた文人は駆けつけたアルタイルと初めて会うが、名前を明かされないまま交流は途絶える。それから数ヶ月、姉が連れて来た婚約者はアルタイルだった…。

    この話、コイツが悪い!と言えるほど悪い人がいないんですよね…。
    みんな少しずつボタンを掛け違えたような感じで、文人の姉に至っては何一つ悪くない。

    みんなが自分を責めて苦しんで、1年に1度しか会えない七夕の切なさをこれでもか!と表現した作品でした…いろんな場面で泣けた。

    とはいえ強いて言うなら、アルタイルが…煮え切らないというか、文人に比べたらずいぶん年上なのに、大きな決断を文人にさせ過ぎじゃない?っていうのはちょっと思いましたね(^_^;)

    番外編はその後の話でありアルタイル視点となっています。本編が切なかった分、幸せに…って祈らずにはいられない。

    さらにあとがきの後ろにはおまけの番外編が収録されています。この二人のその後も気になるところではあるかな?

  • 凪良さんの作品はスっと入ってくるの感じの読みやすく切ない話が多いですが、例に漏れず切なくてとても良かったです。

  • 切なくて、後半は二人の幸せを願いながら緊張しながら読んだ。完成度の高い素晴らしい本だった。

  • ゲイであることに悩む高校生、文人の心の支えになってくれた相手はネットの掲示板で知り合った顔も知らない青年。
    アルタイルとベガ、と名乗りながらフリーメールでやりとりを交わしていたふたりはある日、カムアウトをした友人の心の内を偶然耳にした文人のヘルプコールを受けて初めて出会いーー。
    家族に愛され、包み込まれるような優しさの中で育った文人の抱える行き場のないやりきれなさ、親友からの裏切り、突然の『告白』への戸惑いを拭いされなかった友人達、すべてがリアルで痛ましい……。
    一度きり、もう会わないと心に決めたはずのアルタイルとベガは、婚約者とその家族として再会してしまいーー。

    運命の悪戯にもほどがあるだろうという感じですが、新開と文人、それぞれが『家族になるかもしれない同士』として、もどかしさや罪悪感に襲われながら心を通わせ合うさまがはらはらとせつない。
    あらたな親友かと思った神崎くんはBL界恒例な当て馬人事。育った環境の複雑さから恋愛依存的で独占欲が強く、やや粗暴な神崎くんは凪良キャラでは主役クラスでしばしば登場していたキャラクター像ですね。
    彼が文人に惹かれる理由は確かにわかってしまいますが、応えられるわけがないんだよな…。
    婚約者の心の揺れに気付いていた夏那が神崎くんとの事件を通して真相を知ってしまったことから物語は急加速。
    お互いに傷つけてしまった相手のことを思い、一度だけ結ばれても、またもや織姫と彦星のように別れを決意した二人は長い時間をかけて再会を果たし……。

    細やかな心理描写やキャラクター造形、丁寧でやわらかく情緒的な表現は良い意味でBLレーベルらしくなく、近年一般レーベルで発表されている作品のトーンに近め。
    文章の砕け具合が作品によって異なっているのは気になるポイントですが、ルチルのレーベルカラーもあるのでしょうか。ラブシーンがやや物足りないくらいさらりと流されているあたりは、あまり激しい描写は苦手で……という方にも良さそう。

    お姉さんがあんまりにも不憫だし、男同士であること以上にハードルは高い&遠距離恋愛の確定してしまっているふたりですが、空白の分も埋め合うようにお互いを大切に過ごしていってほしいな、と素直に思う二人でした。
    神崎くんも彼氏候補さんと今度は良い恋愛が出来るといいね。

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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