アンフォーゲタブル (幻冬舎ルチル文庫)

著者 :
  • 幻冬舎コミックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344830615

作品紹介・あらすじ

ある夜、新聞社勤めの冬梧が証明写真を撮っていたボックスに見知らぬ青年が闖入、身も世もなく泣き出してしまう。お詫びをと連絡してきた製薬会社勤務の望と交流を重ね、冬梧はデートめいて心地いい時間に戸惑う。やがて懇願される形で体をつなげ、すでに惹かれていたのだと観念した冬梧だが、望はその日から「もう会えない」人になっていた-。

感想・レビュー・書評

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  • 「もう会えないんだ。何度日が昇ろうと、何度日が暮れようと、あの人には会えない。声を聞くことも、笑った顔を見ることもない。」

    新聞社シリーズ第4段。
    静と西口がちょろり。
    攻め視点。
    惹かれあってくところが、本当に綺麗な描写。

    (再読)

  • 新聞社シリーズ4部作の今のところの完結編。携帯の普及していない17年前を舞台に、良時や西口もいいアクセントにぽつぽつ脇役として活躍しています。(佐伯さんも一瞬だけ!)

    新聞記者の冬伍と製薬会社勤務の望、それぞれ出会うはずのなかったふたりが奇妙な運命に導かれ、やがて引き裂かれてしまう展開はハラハラと切なさで胸がいっぱいに。
    新聞記者の仕事、マスコミの功罪など、シリーズ中で一番「新聞社」の仕事の側面が強く見えたような。
    シリーズお馴染みキャラが脇役でうまくアクセントになり、人間模様の面白さと物語の巧みさにどんどん引き込まれました。
    望というキャラクターの人間像がとにかく魅力的で、ほんとうに人を描くのが上手い人だなぁと唸らされました。
    17年越しに結ばれるふたりに、ただ胸が熱くなりました。

  • ネタバレとか読まないでまっしろな状態でまっすぐ読んで欲しい、と思いました。短編の最後の一行が美しい。

  • 新聞社シリーズ
    内部告発の密告した側とされた側の
    関係を全て消す。必要なことだったんだろうけど、
    すごく悲しい。でもそれをやりきった。
    イチョウの葉っぱの手紙が嬉しく悲しい。
    17年。待ち続けた2人は、幸せになってよかった。

  • 2021/02/27-03/03

  • 新聞社シリーズ、新聞記者・和久井✕製薬会社社員・望。このシリーズは大好きで静や西口もちょいちょい出てきてくれるのが嬉しかった。ひょんな出会いからの交流を経て育っていく2人の距離に安心して読んでいたのにまさかの展開で… もう後半は泣いてしまった。特にイチョウの葉の手紙のシーンは和久井と一緒にボロボロ… 17年、お互いがお互いを想い合うにはとても長い年月で、それでも気持ちを手放せなかった2人に胸が熱くなりました。

  • 有村さんの抱えていた秘密が発覚したときは驚いたし、ハラハラした。
    記者という職業について考えさせられるおはなしです。
    ラストの美帆ちゃんについて落ち込む有村さんが可愛かった(笑)

  • 新聞記者×製薬会社社員
    新聞社シリーズの4冊目なのだそうですが、
    これだけ読んでも支障はありません。

    前半は二人の関係がゆっくり進むので
    正直若干退屈したのですが、後半は怒涛の展開でした。
    17年越しに結ばれるとは気の長い話ですが、
    そこはショートカットされてるからわりとあっさりでした。
    (読者的には)

    挿絵は可愛らしかったけど、17年後はもっとオヤジでもよかったなと思いました。

    最後の「アンスピーカブル」でようやくきちんと結ばれるシーンが一番好きでした。

  • 恋愛というよりは、マスコミの功罪について考えさせられる話でした。物語の核となる背景は興味深かったけど、その反面恋愛要素はあっさり。そちらにページをとられたのか17年を経ての再会、恋愛の成就までのエピソードはいささか駆け足気味。偽装結婚の上に成り立つ家族との絆は一穂さんの好きシチュなのかな?同シリーズにすでにあるので、これはなくても良かったかも。

  • なんというか本当にしみじみとするお話でした。
    一穂さんの他の本、他の新聞社シリーズに比べて本の厚さが薄い…?と思い割とさら~っと読み終わっちゃうのかな?と思っていたのですが、その考えを裏切る、読み応えのある本でした。
    このページ数に、主人公の二人、有村望と和久井冬梧の長い長い年月の物語が描かれています。

    話は過去、有村と和久井の出会いから始まり、二人の別れ、そして十七年後の再会…までが書かれています。
    二人の出会いは、証明写真のボックスという何故ここ!という場所なのですが、その出会いが最後にとても大切な意味を持ちます。最初は想像できなかったのですが、全て読み終えた後に、この出会いのシーンをもう一度読むと、とても素敵で切なくてドラマチックだな…と思いました。

    その他にも、やっぱり一穂さんは物語の中の時間の進み方の描写や、二人の関係や感情を、ストレートではなく、彼らの生活の中にあるものや場所で描写するのが上手だなと。
    それは私達の身近にもあるものや問題で(時にはなるほどと思うこともあるけど)すごく説得力があって、よりこっちが感情移入してしまう気がします。テーマやモチーフの選択が絶妙と言うか、素敵すぎます。

    そしてこれを読むと、今回サブキャラとして出てきていた良時や西口の話を読み返したくなりました。
    もちろん、これ一冊だけでお話は分かるのですが、私は是非一穂さんの新聞社シリーズは全部読んで欲しいなと思います。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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