▼あらすじ
花宮伯爵家の次男で記者の幸人は、兄の親友の売れっ子作家・天笠の推理で出向いた屋敷で怪盗「夜叉」に遭遇し、唇を奪われ……!?
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表紙だけで100点満点をあげたい作品。
こんなにセンスの良い表紙イラストを描ける絵師さんはそうは居ません。
挿絵も作品の雰囲気に合っていて大変素晴らしく、流石としか言いようがないです。
じゃあ、肝心なお話はというと…若干、イラスト負けしてるといった印象でした。
大正時代、怪盗、推理ものというテーマがとにかく大好物な為、過度に期待し過ぎた点もあるかとは思うのですが、何ていうか…王道過ぎる??
怪盗の正体も読者にはバレバレだし、大正の雰囲気も思ってたほど私には感じられませんでした。全体的にあっさりとした印象で、料理に例えるなら使われている素材は凄く良くて見た目も美味しそうなのに、いざ食べてみたら味付けが薄いというか、深みが足りないというか…。
うーん…あともう一押し!って感じなんですよね。ああ…本当に勿体無い…。
一見、紳士で常識のありそうな攻めが思ってたより執着じみていた点や、失踪した受けの兄の行方など意外性があって面白かった点もあるにはあるのですが、いかんせん物語の世界観にいまいち入り込めなかった為、さくさくっと読んで最終的にはあまり印象に残らない形で終わってしまいました。
先述した通り、素材はとても良いのでこれでもっと読み応えがあれば自分の中で最高の一冊になっていたに違いありません。
どうやらスピンオフも出るようですが、そちらには手を出さないかも…(^^;)
yoco先生のイラストは文句無しに素晴らしかったので、評価はおまけして★4です。