ルポルタージュ (1) (バーズコミックス)

著者 :
  • 幻冬舎コミックス
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・マンガ
  • / ISBN・EAN: 9784344840041

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  • 「若者よ、恋愛しましょう」という空気に疲れた世代が、いろんな価値観を認めようという流れの中で、「恋愛しなくてもいい」から、「恋愛ってかっこわるい」に変わっていった近未来。

    2人の女性新聞記者が、あるシェアハウスが襲撃されたテロ事件の遺族取材に取りかかる。この時代、「恋愛未経験者」(未婚率ではない!)は70%にのぼり、多くの夫婦は条件や目的の一致により「(恋愛)飛ばし」といわれる関係を築いていた。襲撃されたシェアハウスも非恋愛者の集まりだった。ある遺族も、妻との思い出などないと言い切る。なぜこの場所が狙われたのか、亡くなった人たちとその家族との関係をたどりながら、理由を探していく。聖は取材の中で出会った葉に対して何かの感情が芽生える一方、理茗は(狭義の)恋愛感情をもたない自分にとまどいを抱く。

    いきなり興味をそそる始まり。でも、一貫したテーマは、「恋愛」とは何か(夫婦とは何か、にもつながる)を問うてる。

    そういう時代がくるかもしれないという新しいけど現実的なよくできた設定。続きのシリーズ「ルポルタージュ~追悼記事~」まで読まないといけなくて、展開があっさりしすぎて拍子抜けだと思ってたら、続きシリーズで深まっていった。

    売野先生の作品は、きれいな絵柄も相まって、少し不思議な感覚になりながらも、社会からの押し付けへの抵抗というか、別の道筋を示してくれる。「MAMA」もおもしろい。

  • 好きな漫画家さんだというのに、二巻が出るまで気付かなかった……。
    二巻まで読んだ感想としては、2巻から話が進みだしてる感じ。この話がどう進むのか、そしてどうまとまるのか楽しみ。

  • 互いのメリットデメリット、希望条件、先々の人生プランなど全て話し合い、恋愛を″飛ばし″て結婚。2033年ではそういう結婚を行う、所謂「非・恋愛コミューン」の考えを持つ人たちが増えつつあった。そんな彼らが集まり暮らすと話題に挙がった東京郊外のシェアハウスで、12月のある日テロが勃発し多数の死傷者が出る。新聞記者である絵野沢理茗(えのざわ りめい)と、彼女の先輩青枝聖(あおえだ ひじり)の二人は上司から、遺族らを取材し「人物ルポタージュ」を任せられる──。第1〜3話収録。
    マスコミの仕事しんどい。よくテレビで事件や事故の報道する際、被害者のこと根掘り葉掘り伝えるが、そっとしてあげてよと思う。聖が考える通り、心を閉じ続けなければ難しい仕事かもね。彼女が仕事辞めようと決断して正解だと思った。時代は約15年ほど未来の設定ですが結婚概念や日本国内のテロ以外は現在と変わりなし。電子機器ぐらいは変化あっても良さそうだが。人物の表情やコマ割りなど好みだし、作品の重要なテーマと関わりない要素だと考えるが、感想を見る限り気にする人が多いらしい。

  • 「結婚しなくても幸せになれる時代」に「運命より確実な」結婚という選択肢

  • 感情に振り回されるのが怖い。

  • 恋愛をするものがマイノリティとなった日本で、非・恋愛コミューンのシェアハウスがテロにあい、そのルポを書くことになった絵野沢と青枝。
    青枝が恋に落ちるシーンが印象的で、美しい。
    世界観が独特で、読み終えたあとに余韻が残る。

  • 恋愛が時代遅れなものと化した社会、人々はウェブでマッチングした相手と、無理のない合理的な婚姻を手軽に行っている。その近未来社会を象徴する居住空間「非・恋愛コミューン」が、テロリストによって襲われる。記者である主人公とその相棒というふたりの女性が、被害者のルポルタージュを書くため、遺族たちへの取材を始める…。
    とても現代的な主題を扱っていて、目のつけどころはもちろん、その描き方が秀逸。前作『MAMA』もそうだったけれどクラシックな少女漫画を思わせる。効果的な間のとり方、モノローグの挟み方、表情の見せ方、余計な言葉を費やすことなく感情の揺れを伝えてくる。その語り口はスリリングで、それでいてこぼれる叙情が心地良い。
    一巻だけでも、物語は美しく円環を描いて閉じたけれど、二巻以降の展開も楽しみ。完結まで駆け足になることなく語り切ってほしい。

  • ありそうでなかった設定だ。それをルポルタージュと繋げてくるのが面白いし凄い。

  • 視線で感情を語る描き方が好き。

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著者プロフィール

売野機子(うりの・きこ)漫画家。東京都出身。
2009年「楽園 Le Paradis」(白泉社)にて、『薔薇だって書けるよ』『日曜日に自殺』の2作品で同時掲載デビュー。
『薔薇だって書けるよ―売野機子作品集』(白泉社)、『ロンリープラネット』(講談社)、『MAMA』全6巻(新潮社)、『かんぺきな街』(新書館)、『売野機子のハート・ビート』(祥伝社)、『ルポルタージュ』(幻冬舎)ほか、著書多数。

「2019年 『ルポルタージュ‐追悼記事‐(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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