ぼくのほんとうの話

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著者 : うさきこう
  • 幻冬舎コミックス (2017年7月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344840249

ぼくのほんとうの話の感想・レビュー・書評

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  • 少女漫画が好きなこう君。確かに作風は岩館真理子さんのような優しいタッチで、とても控え目なこう君そのものという作品でした。お試し読みで、それこそひと読み惚れしてしまったのでした…。

    LGBTがテーマのコミックエッセイ(実話)なのできっと傷つくことばかりなんだろうと思っていたけど、そんなこともなくて、そんな傷を持ってるからこそしみる優しさのほうが多かったです。
    片想いだけど、恋愛漫画としても私は推したい。小学生の正人君が素敵なのですよ。

    とにかく作者の感受性の豊かさや言葉の選び方、すべてが可愛くて愛おしくて。もっとこの方から紡がれる作品を読んでみたいです。

    追記。最近、保○田なんちゃらというお笑いキャラに賛否両論あり…。ちょうどこの作品にもTVのホモネタで教室が盛り上がっていたけれど、こう君は見ていないと嘘をつくシーンがありました。大人とは違って子供の世界はそれこそ教室ほどの小ささで逃げることもできず、ひとりぼっちで見えない恐怖と闘っているんだよとせめて大人は知っておいてほしい

  • LGBTQの本棚から 

    第18回「ぼくのほんとうの話」

    今回紹介するのは「ぼくのほんとうの話」という漫画です。
    作者はうさきこうさん。
    前回と前々回に紹介した新井祥先生のお弟子さんでもあります。

    そんなうさきさんの小学生時代の初恋のお話なのですが……。
    その初恋が自分のセクシャリティに気づくきっかけとなったのだそうです。

    『もう随分と前――
     あの頃の僕は 親が知らないことを知っていた
     教師が分からないことを分かっていた
     男の子が女の子に 女の子が男の子に
     恋をするみたいに
     男の子が男の子に恋をするということ――』

    これは小学生の男の子が、自分がゲイだということを知るお話です。

    漫画では主人公の日常を通して「人と違うこと」への恐怖や、ゲイであることへの葛藤が描かれています。

    ぬいぐるみを好きなのは女々しいのか、男らしいってなんなのか、自分はフツウじゃないのか……
    人によって悩みは様々ですが、こんな風にこんな感じに悩んでいる小学生だっているわけです。

    個人的に印象的に残ったセリフが多かったので、いくつかご紹介します。

    まず
    『ママも先生も僕が女の子を好きだと勘違いしている。僕を悩ませる人たちはいつだって「いいひと」たちなんだ――』
    このセリフ……。

    「いいひと」たちの言葉は悪気がないだけに、余計に傷ついてしまうんですよね。
    誰も悪くないからこそ、怒りや不安をぶつける相手はいないし、その傷を表に出すこともできないから隠すしかない……。
    そうやって彼はたくさんの思いを心の中に溜め込んでいくのですが、それには限界があるので、何かしらの形で外に出さないと、いつかあふれでてしまいます。

    それがスポーツや趣味なんかだといいのですが、不登校だったり自傷だったりすると、孤立するので余計に1人で抱え込んでしまうことになるんです。

    しかもそういう行動に出た子どもに対して周りの人たちはほぼ必ず否定的になってしまうんですよね……。

    そんな悪循環を断ち切るためにはLGBTQに対する周囲の理解が必要不可欠なんですが……。

    次は学校で性教育の授業を受けた後の場面……。
    「異性が気になるのも、好きになるのも、悪いことじゃなくて、みんなの心と体が大人になっている証拠」なのだと先生は言いました。

    じゃあ異性を好きにならない、同性を好きになる僕は……?
    『それじゃあ僕は一生
     大人になれないのかもしれない』

    ここで
    「大人になれないわけないじゃないか」
    と思うかもしれないですが
    大人が当たり前に思っていることも、子どもはわからなかったり、大人の予想の斜め上をいく考えを持ってしまったりすることがあるのです。
    子どもですから……。

    トランスジェンダーの子が「自分はいつか男の子(女の子)になれる」と思うように……。
    もし相談を受けたり悩みを打ち明けられた時に、あたりまえのことを聞かれたとしても、笑ったりバカにしたり、否定したりしないであげてください。
    その子にとってそれはとっても深刻な問題で、大事なことなので!

    漫画の帯には
    『大人にも子どもにも知ってほしい "ほんとうの話"』
    とあります。
    実話なので自分と照らし合わせて読んだり、当事者を想像しやすいと思います。
    絵もやさしい感じで、落ち着いて読めると思います。
    図書館に漫画を置くことに問題がなければ、主人公も小学生なので、小学校から入れられるかと思います。
    (LGBTQ関連の本は漫画が一番進んでいるのでぜひ入れてほしいと思うのですが……)






    ところで

    日本政府は今年3月、10年に一度改訂する学習指導要領にLGBTについての教育を盛り込まないことを決めた。つまり、日本の子どもたちが、義務教育の中でLGBTについて学ぶことは今後10年ないということになる。
    (引用元:http://genxy-net.com/post_theme04/8111117l/


    らしいんですよ……。


    つまり子どもたちは自分で情報を集めるしかないわけで…。
    いくらインターネットが発達して情報がたくさん集められる時代といっても、適切な情報を見極めるのは難しいですよね。むしろ情報が多すぎて混乱してしまうかもしれません。


    それに対して本はたくさんの人のチェックを通って出版されるので、正しい情報がほとんどです。
    図書館が学校教育の手の届かない部分をカバーできる場所になるといいなと思います。

    2017/08/28

  • 小学生のほほえましいエピソードのようで、心に響くせつないのがなんともいえない。
    BLというものを読んだことないけど、そういうタッチも含まれてるのかしら。

    大人の場面と、小学生の場面の違いの絵がわかりにくく、あれ?と思ったところが、もっとわかりやすかったらいいのに、と思いました。

    自分の小学生のとき、こんなふうに悩むまでもいかず発達してなかったな。

  • こうやって、一から十まで自分の力で描いた作品が、一冊の本となって世に出た以上、もう、こう君ではなく、うさきこう先生と呼ぶべきだろう
    本人が最も喜んでいるだろう。その次に歓喜しているのが、師匠の新井先生だろう。きっと、お母さんや恋人も喜んだに違いない
    何より、私ら漫画読みも嬉しい。『性別がない!』と言った、新井先生のエッセイにほとんど、アシスタント兼ツッコミ役として登場していたこう先生が、コツコツと努力を重ねていたのは知っていた。なので、本当に、こう先生の漫画を読めるのが嬉しい
    漫画読みとしての信念に沿って、正直な感想を言うが、漫画としての質は、まぁ、普通だ。面白い、それは確かではあるが、先に述べた悦びを差っ引くと、「まだまだだな」と思うレベルではある
    内容と言うより、ちょっと古い少女漫画を彷彿させる画風で、やや抵抗を覚える人はいるかもしれない。なかとかくみこ先生の『塩田先生と雨井ちゃん』も、同じように古風なテイストだが、人気は高く、多くの漫画読みに受け入れられている。それは、なかとかくみこ先生の方が、実力があるからだ
    こればかりは、今のこう先生じゃ、どうしようもない差だ。けど、今後、差が縮まる可能性は大だ・・・・・・立場が引っ繰り返る、とは断言できないのが辛いけども
    ここまで、ちょい辛めの事を書いているが、この『ぼくのほんとうの話』の感想を、読んで書こう、と思った理由はちゃんとある
    真っ赤な嘘偽り、大袈裟な誇張もされていない、酸いも甘いも、喜怒哀楽、「楽しい」も「悲しい」も、ひっくるめ、ごちゃまぜにした、素の本当が、この『ぼくのほんとうの話』にはあるからだ
    画風や話の構成、そういう必要な小手先の技の優劣をすっ飛ばすだけの、熱量が宿っていたからこそ、私はこの漫画の感想を書かせてもらおう、と思った
    一人の少年が、一人の少年に対して抱いた、純粋、それゆえに儚く、相手に伝えられず、誰にも打ち明けられない、それが自身の心に事ある度に小さな傷を刻み、重ねていく恋心・・・・・・
    そんな切ない初恋の「本当」が、テクニックに頼らず、ストレートに表現されている。粗削りだからこそ、人の心を理屈抜きで打つ、そういうものだ
    実際、描いていて、辛い思い出が蘇ってくる瞬間もあった、と予想される。それでも、妥協せず、その「悲しみ」もありのままで表現されている
    ちょっと言い方はアレだが、腐女子は読まない方がいいかもな、と思った。コウ君の放つキラキラは、目を焼き、澱の溜まった心を洗い、熟成している性癖を浄化してしまう可能性があるw
    まぁ、冗談はさておき、私はこの『ぼくのほんとうの話』は図書室もしくは保健室に置くべきだ、と思う。まぁ、教師が先に読んでから、だが。この手の作品を読むべきは、今、現在進行形で悩んでいる子供だけでなく、その子供らを守り、導く役目にある教師だ
    教師が、自分の中の「男は女、女は男を好きになるのが当たり前」って考えを取っ払ってないのに、同性愛に対して偉そうに授業で語るなどおこがましいって話だ
    もちろん、気持ち悪い、理解できない、と思うのは、個々に考え方が違う人間なら仕方ない。ただ、その嫌悪感を、自分がおかしいんじゃ、と苦しんでいる子供らの前で出して、傷つけるのは、教師失格だ
    自分と同じ性の相手を好きになる、これは特別でも、異常でもなく、その子にとっては「普通」なのだ。学校ってのは、本来、自分の持つ「普通」が迫害されるものではない、これが自分らしさなんだ、と思えるようにしてやるべきだ
    一方的に欲望のままに傷つける、未来のない暗闇の中で互いに傷つけあう恋愛は論外にしろ、同性愛が誰か、社会の害になるとは、どうにも私は思えん
    思えないお前がおかしい、と言われちゃ、それまでだけど、人が誰かを愛する際に「性別」も障害になり得ないって考えで、私は生きているので、結局のとこ、同性愛は特に意識もしない事なのだ
    ぶっちゃけ、私自身が、同性愛より嫌悪されそうな異常性癖を抱えているもんだから、同性愛くらい、大した事ないだろ、と思ってる節はある。別に、下に見ている訳じゃないので、誤解なさらぬよう
    やや脱線してしまったが、この『ぼくのほんとうの話』には、こう先生の魂の一部が籠められている。それに触れられ、糧にさせてもらった事には感謝している。また、ちょっとだけ、漫画読みとしてのレベルが上がった気がする
    アシスタントと漫画家、その二足の草鞋を履いて歩くのは大変だろうけど、こう先生は独りじゃない。自分の価値観を尊重し、個性を認め、成長と変化を促してくれる誰かが、そこにいるってのは、一漫画家として大きな武器になる。もちろん、人間的にも大きくなれるチャンスがあるってことだ
    きっと、次回作は、この作品を越える、読み手のハートを激しく揺さぶるものになる、と期待して良いだろう
    どの回も、トキメキに満ちているが、個人的にグッと来たのは、第8話「嘘つきな僕と空飛ぶ蝶」だった。嘘を吐かない、それに越した事はない。正直に生きるのは大変だが、気分は良い。ただ、自分に対して吐いた嘘の痛みが、人を成長させるって側面を持っているってのも事実である。自分らしさを保つ、それは簡単なようでいて、難しい。けど、自分らしく生きるのは楽しい
    この台詞を引用に選んだのは、うさきこうって人間が見えたような気がしたからだ。さよなら、この言葉には、こう先生の本心からの感謝が宿っている、と私は感じた。後悔はある、けど、自分を悩ませ、迷わせ、苦しめた、成就せぬまま終わった初恋に、こう先生は感謝もしているんだろう。だから、この作品が先生の中から生まれた。それに対し、私もまた、感謝したい
    しら

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