日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか (幻冬舎新書 ほ 1-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980310

作品紹介・あらすじ

IWC(国際捕鯨委員会)が取り決めたクジラの永久保護区で、日本が調査捕鯨の名のもとに年間一〇〇〇頭のクジラを殺すのに、果たして正当な理由はあるのだろうか。日本人は鯨肉がそんなに好きなのか?捕鯨は本当に日本の伝統文化なのか?"科学調査"は何のためなのか?時代の流れと世界の総意に逆らい続ける日本の強硬姿勢は、あまりに強烈で時に滑稽ですらある。捕鯨大国日本の謎を、徹底検証。

感想・レビュー・書評

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  • 20210310 そういえば、最後に鯨肉を食べたのがいつか憶えていない。日本人の文化としての鯨食については何も判らない年代になってしまった。このまま、捕鯨がなくなる事は無いと思うが今のうちにちゃんとした鯨肉を食べて置かないとと思った。コロナがおさまったら食べに行こうと思う。何処に?行けば良いのかな?

  • 捕鯨反対のグリーンピースの立場にありながら、個人の立場から論争の決着を図ろうとする以下のような姿勢も示している。

    ・捕鯨反対側の「1頭たりとも殺させない」という頑固さが、日本を調査捕鯨の拡大や過激な捕鯨ナショナリズムに追いやってきた。
    ・南極海での調査捕鯨が沿岸捕鯨への希望を打ち砕いている。
    ・調査捕鯨をやめ、IWCの原住民生存捕鯨と整合性のある形で、捕鯨の伝統が根付いた地域に限定して国内の沿岸捕鯨を認めさせる方向をすすめる。
    ・沿岸捕鯨業者が要求している年間150頭は、沿岸の調査捕鯨で捕獲する年間120頭と大差ない。
    ・マグロをはじめ他の漁業問題では国際社会の模範ともいえる合理的かつフェアな交渉態度を示すことの多い水産省が、捕鯨問題ではまるで戦前のような国粋主義に凝り固まってしまうのはもったいない。

    西洋の野生動物保護の思想とそれを感情論と捉える見方、捕鯨を日本の文化とする主張とナショナリズム、脂と肉というそもそもの捕鯨目的の違い、戦後の動物性蛋白質を支え、給食でも味わった世代の経験、IWCでの多数派工作合戦、制限のない調査捕鯨という抜け穴とそれに対する過激な妨害活動。すれ違いの歴史が重ねられたとはいえ、互いが対決姿勢や頑なな態度を続けると問題をこじらせるだけで、時間と税金を浪費し、生産物に対する国民の関心さえ失わせたという教訓になってしまっているのが皮肉だ。今年の国際裁判の判決で解決の方向に向かうのか、それとも態度を硬化させるのか。

    捕鯨の対立の歴史と構図も概ね理解できたという意味で、本書は勉強になった。水産庁の頑なな態度に辟易する著者の気持ちも伝わってくるが、熱の入った状態で書いたと思われる部分も少なくないので、それが世間的にはよくない印象を与えてしまっているとしたら残念である。

    突き取り式捕鯨は江戸時代初期に全盛を迎えた。磯のすぐそばまで来るザトウクジラとコククジラ、泳ぎが遅く死んでも沈まないセミクジラを主な対象とした。日本人が口にした肉類に占める鯨肉の割合は、1947〜48年には46%、1950年代も20%台が続き、鯨肉の消費量が最も多かった1962年には30%弱だった。

    IWCには、1980年代の初めに独立間もない国々が、1990年代後半からはカリブ海、太平洋島しょ国、中米、アフリカ諸国が多く加入した。IWCの票買いにODAの水産無償援助(1994〜2005年に合計935億円)が使われ、IWCの年会費や加盟費も肩代わりしている事例も認められている。

    捕鯨業界は、商業捕鯨モラトリアムが実現しようとしていた1974年に国際ピーアール社に委託して、マスコミの論説委員対策を行ったほか、著名人15人からなる捕鯨問題懇親会を組織した。

    調査捕鯨は、調査計画書をIWC事務局に提出すれば実施でき、捕獲頭数の変更も可能。2005年には2倍に拡大する計画を発表した。IWCの科学委員会は、RMPにおいて日本の調査データは不要であると繰り返し明言してる。

    商業捕鯨が行われた最後の年には1万3000トンの在庫があった。調査捕鯨が1994年から増産に入ると、在庫は1998年に底をついて増加に転じた。2000年以降、鯨類研究所は赤肉の値段を下げ始めた。2000年からニタリクジラ、2002年からイワシクジラの捕獲を開始したが値段は下がり続け、2002年には売れ残りが報じられるようになった。2006年にはナガスクジラを捕獲した。

    鯨類については、水産庁が囲い込んですべての国際条約から例外扱いし、国内でも種の保存法や鳥獣保護法の対象から外している。ワシントン条約でも、日本はクジラ6種について態度を保留している。

    シロナガスクジラは全世界で捕鯨対象になる前の16万〜24万頭から9000頭に、ザトウクジラは捕鯨前の15万頭から2万5000頭に減少した。改訂管理方式(RMP)は、推定資源量と過去の捕獲記録だけで捕獲枠を算出する。南極海のクロミンククジラについては年間2000頭という数字が得られているが、現在も見直し中。年間2000頭は、かつての商業捕鯨末期に採算割れギリギリとされた数字。

  • 捕鯨賛成としての立場から反対意見側の意見が知りたくて手に取りました。

  • 三葛館新書 664.9||HO

    著者はグリーンピースジャパン事務局長。
    捕鯨のなぜを日本人として「検証」しています。
    「クジラ」を知るために、いろいろな立場の意見に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=57380

  • ●グリーンピース・ジャパン事務局長、星川淳の著作。「日本人差別をむき出しにするシーシェパードのような過激で暴力的な反捕鯨団体」とは異なると言いたいようだが、果たして…。「逆効果になるような捕鯨反対運動には疑問を投げかけてきた」とし、イルカは知的な動物だから食べてはいけないというような情緒論にはノータッチ。

    ●野生生物の資源利用とサンクチュアリの設定について、「考え方自体はどちらが正しいともいいきれない。おかしいのは、どちらか片方の視点だけが正しく、その視点で行うことだけが正当化されるという考え方だろう。」と述べており、これには誰もが頷くところだろう。

    ●しかし「水産庁は捕れる、捕れないの視点のみから異議を唱え続けているけれど、世界の大勢はクジラを水産資源とみなさなくなったのだから、捕れるかどうかなど実はあまり関心がない。」として南極海調査捕鯨への反対の頼みとする辺り、早くも前掲の記述とのブレが表れてくる。「世界の大勢」は南氷洋サンクチュアリ決議に向けられる疑義に対してかみ合った回答にはならないし、また、IWCに加盟する反捕鯨国グループをもって「世界の大勢」というのも無理がある。

    ●日本の伝統捕鯨についてはほぼ客観的に歴史解説。日本が商業捕鯨を再開したとして、自立した産業として成立するのかという議論は、他の本であまり見ないだけに注目。世論調査やグリーンピース独自のアンケートに関する章は内容が薄すぎる。ここは省略するか、他の著者を当てるべきだった。

  • グリーンピースに属してた人の本。
    その割には中立の立場で捕鯨問題を論じようとしている印象は受けた。
    ただ、それでもデータの解釈・説明など釈然としない箇所もあり、
    反捕鯨ありきなのかな?と感じる部分もあった。

  • 一般人のアンケートや自分に都合のいいように調べたデータのみを武器に、「反・反捕鯨の人々がアツくなっているだけで、私たちは至って冷静」という姿勢を装いつつあのグリーンピス局長の星川淳が書き上げた大作!ある意味正しいグリーンピスの姿ですね星川先生!

  • シーシェパードを撃ち殺してやるよ。

  • 捕鯨問題について考えたくて図書館で借りる。グリーンピースの日本代表の目から語った書籍。シーシェパードとグリーンピースを混同していることに気づいた。捕鯨賛成派の書籍と同時に読んだ。

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著者プロフィール

作家・翻訳家。インドやアメリカで自学の道を歩み、82年より家族と屋久島で”半農半著”の暮らしを続けた。現在は国際環境保護団体グリーンピースジャパン事務局長。

「2006年 『どうして勉強するの?お母さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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