これから食えなくなる魚 (幻冬舎新書)

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著者 : 小松正之
  • 幻冬舎 (2007年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980365

これから食えなくなる魚 (幻冬舎新書)の感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    はじめに
    第1章  日本の食卓から魚が消える?
    第2章  日本の漁業は倒産状態
    第3章  マグロはいつまで食べられるのか?
    第4章  この魚は大丈夫?
    第5章  魚は国民の共有財産

    <内容>
    『あんなに大きかったホッケが…』を読んで、この本に進んだ。日本の行政(官僚)のいい加減さ、企業のわがままさがはっきりする内容。著者は水産庁の出身。ちゃんとした公務員はいるのに、こういう人は追い出されるんだね…。ともかく、漁業資源を、とくに小さな魚をとらないようにしないと、われわれは近い将来魚が食べられなくなる可能性が大!それを防ぐには、消費者のわれわれが、企業、それの片棒を担ぐマスコミや役人の陰謀に踊らされず、賢く異議を申し立て(商品を買わない、おかしいと指摘する)、政治家を動かしていくことだろう…。横須賀市図書館

  • 日本の漁業の将来に警鐘を鳴らす本でした。
    行政と漁業従事者と消費者の間の連携や風通しの悪さ、縦割り行政の弊害、持続的な漁業よりも目先の利益を追求してしまう漁業従事者、消費者のエゴ…と将来が不安になることばかりでした。

    消費者の立場としては国内養殖の魚の餌の多くは輸入品(しかも発ガン性物質であるエトキシキンが添付されている)、輸入魚のダイオキシン濃度の高さ等、知らない事実が色々とあったことがショックでした。

  • 昔「日経ビジネス」で取り上げられてて読んでみようと思ってた本。
    イーブックオフで買い。
    以下、へえーと思ったところをメモ。

    ・養殖業に置けるエサの依存度が高まりつつあり、「国産」といえる魚は少ない(p42)

    ・湾港整備や漁船の建造などに総合政策がない(p55)
     →・よい漁場が近くにある塩釜港に十分な加工能力がない
      ・漁港の水深が浅くて漁船が入れない

    ・東京湾は豊穣の海(p74)
     →長屋に住んでいた江戸っ子の三分の一は漁師か魚屋だった

    ・テトラポッドの効果は疑わしい(p76)

    ・地中海の養殖マグロのダイオキシン濃度は高い(p93)

    ・漁獲可能な水準(p120)
     ・科学的な水準(ABC = Acceptable Biological Catch 生物学的漁獲許容量)
     ・実際の漁業者への割当量(TAC = Total Allowable Catch 総漁獲可能量)

    ・行政庁はABCもふまえつつ社会経済要因に配慮してTACを設定し、漁業者に割り当てる(自然界よりも漁業者重視?)(p123)

    ・日本ではTAC設定後は早い者勝ちのオリンピック方式→乱獲に。 対して世界の主流はIQ方式とITQ方式。(p177)

  • 「1949年に109万人いた日本の漁業者は、現在わずか22万人」「その半数は60歳以上の高齢者」(P14)
    「日本の商社は国際市場で魚を高く買うことができず、外国に買い負けしている」(P30)
    「志津川産の「伊達の銀鮭」も、卵や稚魚は花巻や盛岡で生産し、エサはチリやペルーから仕入れている」(P43)
    「塩釜ではさまざまな水産加工品が売られているものの、地場の魚を使用したオリジナルなものはない」「塩釜に水揚げしても地元ではほとんど加工できないため、カツオもサンマも」「多くの漁船が、石巻や八戸に水揚げしている」(P54)
    「10隻の船団で海に出れば、どれか1隻が魚群を見つければ、ほかの9隻もそこに集まって魚を獲ることができる」「しかし1隻では」「コストをかけて空振りに終わったときの経済的損失が恐ろしくて、出て行けないのだ」(P62)
    「加工業は、漁業と表裏一体の存在である」「消費量を押し上げているのは、缶詰、干物、練り物、冷凍食品などの加工品だ」(P67)
    「クロマグロ・ミナミマグロの」「8割ほどが日本人の胃袋に収まっている計算」「食べられなくなったとしても、それは日本人の胃袋が招いた結果と言えるのだ」(P82)
    「マグロ漁の漁獲量の半分はカツオ」(P86)
    「養殖マグロとは」「海から獲ってきた小さなマグロを育てているにすぎない」「つまり、養殖が進めば進むほど小型のマグロの漁獲量が増えることになるので」「資源がさらに悪化してしまうのである」(P92)
    「巻き網で日本人が食べきれないほどのカツオを獲り、安い値段で売って、高いペットフードを買い、結果的に」「資源悪化を招く」「日本の漁業は高級カツオを猫に食べさせるために存在するのだろうか」(P107)
    「輸入したカツオであっても、カツオブシを作ったのが枕崎の加工業者ならば「国産」」(P112)
    「日本には戦略というものが一切ない」「目先の利益を求めて資源を悪化させながら、その目先の利益さえ上がらないような獲り方をしているのである」(P122)
    「底引き網」「大きな網を引きずるので、どうしても海底地形を痛めてしまう」「網を引く回数が多ければ多いほど、生態系に与えるダメージは大きい」(P126)
    「仙台名物の笹かまぼこを見ると、袋に「キチジ入り」と書いてある」「これは「私たちは資源を悪化させています」と公言しているようなものだ」(P128)
    「クジラとイルカの違いは大きさだけ」(P160)
    「資源が枯渇または悪化しているのはシロナガスクジラとホッキョククジラ、それにコククジラの一部だけである」(P164)
    「海の憲法は「魚は人類共有の財産」と明記」(P188)
    「漁業権のルーツは秀吉の海賊対策」(P190)

  • 「多くの漁師が、たくさんいる魚を獲ろうとせず、わざわざあまりいない魚を獲りに行こうとするケースが多い。彼らが求めているのは『簡単に獲れる魚』ではなく『高く売れる魚』だからだ」。恐らくこの考えが日本の漁業を荒廃させた原因だと思います。

    著者は水産庁を経て、現在は独立行政法人水産総合研究センター理事を務める、小松正之氏。様々なデータを提示しながら、日本の水産業の現状について警鐘を鳴らす。

    ・ピーク時の1982年には全体で3兆円近くあった日本の漁業生産額は2005年には1兆6000億と半減。
    ・1964年には113%だった日本の食用魚介類の自給率は2005年には57%に落ち込む。
    ・1949年の段階で約109万人いた日本の漁業者は、2007年現在22万人しかいない。そのうち半分のおよそ10万人が60歳以上の高齢者。
    ・世界の漁業生産量1980年代後半から現在にかけて9000万トン前後で推移。一方に日本の漁獲量はピーク時の1280万トン(1984年)から572万トン(2007年)まで落ち込んだ。

    著者は日本の漁業生産量が減った主たる理由は①乱獲、②沿岸域が埋め立てや汚染などによって荒らされたこと、③クジラの増加だと指摘します。我が故郷の山口県の下関の漁港でも40年前のピーク時が25万トンの水揚げがあったにもかかわらず、2007年現在は1万6000トンしかありません。

    本文中では、漁業者の既得権益である漁業権を、上からの改革で上手くコントロールしない限り、日本の漁業の状況は変わらないと筆者は指摘します。

    日本の漁業の状況を把握するには良い一冊だと思います。

  • ★魚の名前も多く手ごろな水産政策入門★岩手出身の元農水官僚による入門書。マグロが安く食べられるようになったのはつい最近の話、取れる魚を食べろ、(このペースで減れば)22年後には漁師がいなくなるなど個別の魚をテーマに日本の水産の現状を分かりやすく説明する。日本の水産予算(2600億円)は米欧に見劣りしないが、日本は予算の3分の2が漁港整備を中心とした公共事業に使われる。諸外国は漁船の整備にも3割ほどかける(日本は7%)。東日本大震災からの復興に絡み、民間企業にも漁業権を与える宮城県の特区構想に漁民が大反対しているが、10年もすればそうした人すらいなくなってしまうのでは。漁港と漁民の集約・企業化は避けられないと思うが、現場を知らない意見なのだろうか。

  •  憶測が多い。
     授業化の参考にならず。

  • [ 内容 ]
    マグロが回転寿司やスーパーからなくなる、世界的シーフード・ブームで日本の業者が魚を買いつけられなくなる等、連日報じられる魚をめぐる危機。
    しかし事態はもっと深刻だ。
    このまま手をこまねいていれば、多くの魚が日本人の口に入らなくなる日は遠くない。
    国際捕鯨会議のタフネゴシエーターとして世界に名を馳せた著者が、あまりに世界から立ち遅れた日本漁業の惨状を指摘。
    マグロだけじゃない!
    サバ、イワシ、タラはいつまで食べられるのか。

    [ 目次 ]
    第1章 日本の食卓から魚が消える?(二〇四八年、海から魚が消える? 七五パーセントは、もう獲ってはいけない魚 ほか)
    第2章 日本の漁業は倒産状態(三〇年以上前から始まっていた凋落 増えている養殖も実質は外国産 ほか)
    第3章 マグロはいつまで食べられるのか?(世界の高級マグロの八割を食べる日本人 五〇年間で一五倍に激増した漁獲量 ほか)
    第4章 この魚はいつまで大丈夫?(今や高級魚になったマイワシ マサバとゴマサバ、好まれるのは? ほか)
    第5章 魚は国民の共有財産(日本の食卓から魚が消える日 早い者勝ち方式が乱獲を招いた ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 漁業がピンチ!というのがわかる。世界と日本の漁業が置かれている現状、各種水産物の将来性、それを踏まえた政策提言からなる本。

  • 世界から見た日本の漁業の実態について注意喚起を促す本。(1)FAOからみて、世界の主要な漁業資源の75%は過剰利用状態、(2)日本の漁業の生産量は2005年段階で572万t(ピークは1984年の1282万t。但し、海洋環境に伴うマイワシの大量発生による嵩上げで実態は1970年代から縮小)。(3)地産地消されず大都市圏に流れる魚、(4)漁業従事者は22万人。うち半分の10万人は60歳以上、(5)海洋予算2700億円中、2/3は港湾整備。全土開発的な港湾整備へのバラマキの結果、肝心の漁船建造やシステム改善には使われない。米(3000億)、EU(5500億円)は漁船にも補助金を投入、といった問題点を指摘した上で、オリンピック方式からITQ(=Indivisual Transferable Quota)方式(漁業従事者への割当枠を他の漁業従事者への割当可)とすることによる漁業資源の確保を訴え、消費者の意識改善(値段ではなく海洋資源への権利意識、育てていくこと)を主張。日本の漁業権が村上水軍に対する秀吉の政策に由来し、全く見直しがなされてこなかったというのは勉強になった。

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これから食えなくなる魚 (幻冬舎新書)の作品紹介

マグロが回転寿司やスーパーからなくなる、世界的シーフード・ブームで日本の業者が魚を買いつけられなくなる等、連日報じられる魚をめぐる危機。しかし事態はもっと深刻だ。このまま手をこまねいていれば、多くの魚が日本人の口に入らなくなる日は遠くない。国際捕鯨会議のタフネゴシエーターとして世界に名を馳せた著者が、あまりに世界から立ち遅れた日本漁業の惨状を指摘。マグロだけじゃない!サバ、イワシ、タラはいつまで食べられるのか。

これから食えなくなる魚 (幻冬舎新書)はこんな本です

これから食えなくなる魚 (幻冬舎新書)のKindle版

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