自由と民主主義をもうやめる (幻冬舎新書 さ 6-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980976

感想・レビュー・書評

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  • わかりやすい文章で丁寧に説くのが佐伯流である。保守にありがちな威勢のよさは全く見受けられない。真のリベラルは静かだ。竹山道雄と中西輝政の間に位置する印象を受けた。
    https://sessendo.blogspot.com/2021/12/blog-post_14.html

  • 2回目に突入です。
    一回めで私の至らなさに凹んでしまう・・・。

    おかしいな・・こんな題名の書籍は記憶にないのだ・・・
    やはりない・・書棚と照合して結論を得る。
    まいっか・・・買おうか・・
    ん?いつもより読みやすいよね・・嗚呼そうか講演録なんだ・・
    ふーん・・・・正論賞受賞記念のか・・そいえばあったな。
    頭悪い俺ちゃんにはちょうどいいのかもしれない・・・
    2回目じゃなかったね・・・良かった惚けておらんわけだ

    そんな感じに読み進めました。

    読み終えた後。自分のような阿呆でも佐伯先生のお話
    を聞いてフンフンと首肯できるくらいには届いたのでしょうか
    お願い神様。もうちょっと賢くならんかな?

  • 保守主義の入門書。
    我々が無条件に重要だと信じ込んでいる「自由・民主主義」について、改めてその価値を再考する必要があると感じた。しかし、「自由・民主主義」に代わる新たな価値観の創出は可能なのか?現時点では、我々は「自由・民主主義」とうまく付き合っていくしかないのではないだろうか…

  • 自由は放縦、国民に良識がなければ民意も正しいとはいえない。価値と切り離せない。国の育んできた価値を大事にしようというのが保守の精神。戦後日本では、受け継がれてきた価値が何か、よくわからなくなってきている。

    自由と民主主義、という言葉に対して、無条件に良いものとして思考停止になっていたことに気付かされました。

  • 長い間、この本の刺激的なタイトルが記憶に残っていて、内容も興味深かったので読んでみた。ところが、本文では「民主主義や個人の自由も基本的には大事」とあって、だまされた感はある。ただ、前半の2章までは、保守と左翼の本来の意味、日本における左翼と保守の変遷、アメリカの保守がヨーロッパの保守とは異なることが丁寧に整理されていてわかりやすかった。

    冷戦時代、左翼は革命を起こして社会主義を実現しようとする反体制派で、保守は自由主義的な資本主義を守ろうとする体制派だった。しかし、冷戦後、左翼は戦後日本の柱である国民主権、基本的人権、平和主義を守ることを主張する体制的なものに変わり、保守の側が戦後日本を変えていくことを訴えるようになった。90年代以降、日本の保守は親米保守が主導し、経済グローバリズムや構造改革を受け入れ、イラクへの自衛隊派遣など、日本を動かしてきた。

    本来、左翼とは人間の理性によって社会を合理的に作り直してゆくことができると考える進歩主義的思想をもつ。保守はフランス革命の「自由、平等、人権の普遍性」を疑うところから出発した思想で、人間の理性には限界があり、過度に合理的であろうとすると予期できない誤りを犯すものだから、過去の経験や知恵を大切にして急激な社会変化を避けようと考える。社会主義は、理性万能と社会設計の思想をもつため、保守は警戒的だった。

    一方、アメリカは建国の柱として個人の自由や平等という理念をもち、合理主義精神によって社会をコントロールすることができると考える徹底した技術主義、進歩主義の国。歴史も文化も異なる日米が根本的な価値を共有するとは言えないため、「親米保守」はおかしなものである。

    歴史的な観点からは、グローバリズムの時代は良い時代ではない。大航海時代の16〜17世紀は、新大陸やアジアの物産の利権をめぐって激しく争い、ヨーロッパ社会は最も荒んで混沌とした時代だった。19世紀から20世紀初めの帝国主義の時代は、資本・人・モノの移動が今より激しく、世界的な大混乱から2つの大戦へと帰着した。

    この本の本題の自由と民主主義については、「自由で何を実現し、どのような生活をするかは、日本の文化の問題」「民主政治によって国民の中にある文化や価値の重要なものが政治の場に表現されることが大事」と主張している。

  • 書店で見つけて立ち読みしましたが、最近同じような話を読んでいたので、買わずにいました。そしたら、たまたま図書館に出ているのを見つけたので借りてきて読みました。講演会などで話したことをもとに書かれているので、大変分かりやすく出来上がっています。「保守主義」と言っても、アメリカ型のものと、ヨーロッパ型のものがある。著者はヨーロッパで言われるところの保守主義にシンパシーを感じているようです。日本という国が持ってきた文化とか、昔からある価値観、精神などをもう一度見直していくべきときに来ていると言われています。私自身、「保守」と「リベラル」に分ければ、「リベラル」の方により共感するのですが、本書を読んでいると、保守的な部分も分からなくもない。たとえば、結婚式に仲人を立てなかったり、七五三などの行事ごとをしなかったり、お盆やお彼岸にお墓参りに行かなかったり、しきたりや何かに全くこだわりがない。けれど、そういうことを大切にしている人を否定することは全くない。逆に、精神的な部分で言うと、日本人の持っている「あいまいさ」とか、「あうんの呼吸」とか、「もったいない」という精神などは非常に良く分かるし、自分の中にもそういう要素が十分にある。こういう話を、世間話として、ホームパーティなどでしているとおもしろい。それぞれの家庭の考え方がある。このあたりの考え方が合う人がカップルになっているようだ。生活に大きく関わる部分だから当り前なのだけれど。日本の持っている良さを再発見すればいい。しかし、その良さを世界に広めようとするのは日本らしくないのかもしれない。

  • 愛国心≠ナショナリズム
    国=国民or国家
    保守主義=伝統を大切にし、革新とのバランスを図ろうとする考え。


    戦後日本は戦前の価値観を否定し、日本の文化を軽視し、アメリカの文化を迎合してきた。
    アメリカに留学して学んだ経済はアメリカに適したものであって、異なる土壌である日本にそのまんま取り入れる事は誤り。
    日本の仕組みを全否定し、アメリカのやり方が正しいと盲信することは危険。
    日本の歴史、文化とは?

    筆者の「義」という考え方には疑問だけれど、こういうことについて考えるきっかけを与えてくれた。
    読んで良かった。

  • たまたま、この本と中島義道の「生きることも死ぬこともイヤな人のための本」を同時並行して読んでいたのだが、対極にあると思っていた二人の思想の根本が実はニヒリズムで繋がっているように感じた。どこか二人の対談でも企画してもらえないかな。ひとつ忠告するとすれば、どちらの本も普通に世間を生きている人には何の役にも立ちません。
    「なんかイヤなんだよねー」とか「世間ってウザイなぁ」と思っている人が読んで少し安心する、といった本ですね。

  • 「保守主義」の定義から始まり、日本が目指してきた「民主主義」や「自由」のどこに問題があったのかを考察する。
    欧米の「保守」が、自分たちの文化や伝統を守りながら新たなものを取り入れてきたのに対し、日本は、「自由や民主主義、市場競争によって、何を表現したいのか、どんな社会をつくりたいのか」、そのヴィジョンも、想像力もないままに、ただただ日本中を東京化しようとしてきた。
    本当の意味での「保守の精神」とは何なのか、また、日本の強さとはどこにあるのか、ただ欧米の右に倣え…では、日本の精神や国はどんどん空洞化していくばかりでなかろうか。

  • 前半の保守、革新、左翼、右翼の説明は分かりやすく良かった。

    後半はなんとなくいつもの佐伯先生の主張かなと。

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著者プロフィール

経済学者、京都大学大学院教授

「2011年 『大澤真幸THINKING「O」第9号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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