- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344981065
作品紹介・あらすじ
精神科医とはどんな人たちなんだろうか。人の心を治療する医者だから、人の心の闇を知り精神の歪みにも精通し、人格的にも高い成長を遂げているはず。だが本当はどうなのか。テレビに出てくるあの人はあやしくないか。臨床体験豊富で熟練の精神科医である著者が、エクソシスト医師、無責任医師、赤ひげ医師、新興宗教の教祖的医師、タレント医師、世間知らず医師などなど累計100名を、裏も表も建前も本音もすべてリアルに描き尽くす。
感想・レビュー・書評
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精神科医を100のタイプに分け、精神科医と患者との関係、そもそも精神医療において「治る」とはどういうことかといった問題を取り上げる。
医者はクライアントに対して診察中は真摯に対応しつつも、常に一定の距離を保って客観的に病状を捉える必要がある。その“客観的”な部分の内容が綴られているので、内容はものすごく冷静かつ淡々とした印象。でも多くのクライアントを担当するゆえに、これくらいの冷めた視点というのは精神科医には必要なのかもしれないとも思った。
腹の底で何を考えているか「語る」というより、終始「吐露する」といった様子。口語的な文章は読みやすかった。
精神科医のタイプ、クライアント、姿勢を覗き見したいときに。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
精神科医と患者は、患者と相互依存してるような関係もある。
相手を見ずに、テストに依存する人も。
良いと言われてる人必ずしも名医ではない。は患者の言いなりだったり。
境界性パーソナリティ。
人のことをよく見抜く。
愛情があればこそ、無意識に相手をコントロールしたくなる。
他人にコントロールされることは必ずしも不愉快で窮屈とは限らない。
DVを受けている女性は、間違えた物語を生きている不幸な人物なのか?
ドラマチックな人生でしか満足いかないのでは。
149p
妄想とはなぜ生まれるのか。
妄想とは物語である。
物語を自分の人生に導入することによって世界を納得できる。
自分の不幸な人生を一挙に説明してくれる。
168
様々な思惑て患者を入院させようとする家族もいる。
強制入院は慎重に。
177
精神の治る。とは。
風邪のようにコロリと治る。
糖尿病のようにコントロールできるの、治る。
大怪我をして痛みなどは残ったけど治る。
糖尿病と怪我の真ん中である。
うつはなおる。
風邪に近い。
最近はパーソナリティー障害との合わさりで治りが悪いものもあるが。
統合失調症の場合は抗精神薬により、大胆な改善は期待できるようになった。
思春期など、若い時期に発症する。
親の期待がうえを行きすぎていた場合。
引きこもりをしている間は自分の無能さを知ることはない。
とはいえ危機感はあるので暴力を振るってみたりするが、無力感を感ずる。
親の期待へ答えられないこともあり、罪悪感もある。
親もまた現実を見なくて済むので引きこもりという現象は続くこととなる。
一種の安定した形となる。 -
内容は赤裸々、が一番な表現。文末ごとの「○○な医師」は要らないな。こんなこと考えているのか、こうやって患者を捌いて診察時間を捻出しているのか、など現状を伝える部分あり。通院している人はあまり読まない方がいいかも、自分がこう思われている?と疑心暗鬼になりかねない。
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ひっじょうに面白い。
なんか,リアルです。内容的にも面白いけども,個人的には濃密な文体に妙に魅了されてしまった。
ぜひとも他の本も読んでみたいですな。
それにしても,この人は捻くれてるというか,斜に構えてるというか・・・。でも,そんなところがとっても良いし,ある意味で素直な人なんだろうなぁと想像しながら楽しく読ませていただきました。 -
ともかくリアル。
迷いやら逡巡やらを含めて。 -
タイトル通りの内容。精神科医とはどんな人達で、患者にとって良い医者、名医とはどのような医者なのかを綴ったエッセイ。読んで精神科医は大変だなあとつくづく思いました。春日武彦さんの著作は面白いので見つけては読んでいますが、患者としてはあんまり罹りたくない医者だなあというのが本音です(ごめんなさい)。
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お医者さんは頭が良くて優しくて、ニコニコしてて尊敬している。という方は読まれないほうが良いでしょう。そういう医師もいらっしゃるかと思いますが、この本には載っていないようです。
興味深かったのは第7章でした。不幸な環境から脱するのではなく、そこで安定と維持を試みるのは女性にありがちかもしれません。 -
勉強
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臨床の精神科医が、主として患者との関係においてどのようなことを考えながら治療に当たっているかを、主に本人の経験を通じて若干シニカルに100人の精神科医のパターンとしてエッセイ風に触れており、そのことによって相対する「患者」が実にバリエーションに飛んだ人々が存在するのかも浮かび上がらせている。
特殊な症例が多いので、「ふつう」の患者に対して医師がどう考えているかはあまり分からないかも。 -
人の狂い方はせいぜい100種類しかないということだが、むしろそんなにあるのか!と驚いた一方で、世の中淡々と過ごすためには裕福であることが前提条件ということについては、なるほどその通りだなと。
当たり前だけど医者も一人の人間なんだということが再認識できたことが一番の収穫。
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自分の肉親が精神科に通院していたこともあり、その頃のあれこれを思い出した。精神科医だって人間だし、メンタルが強くなきゃやっていけないよなあ、とぼんやりと思ったのを覚えている。精神科医の立場から見た、精神科医の特徴(自己客観視も含めてだろうが)が読めて、カタログのような、説明書のような語り口が面白かった。
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社会
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私小説のような感触の新書。それくらいあけすけと心情が書かれていて逆にほっとする。そこには諧謔的なところもあり迷いや素直な思いが書かれていていいと思う。精神科医も人間だということがよくわかる。人間らしい精神科医だと思った。そのことが精神科医としていいのかどうか患者や専門家ではないのでよくわからないが悩める人には共感できるものがあると思う。
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大変な仕事だなぁ。話題が次々と変わって読み物としても楽しい。たとえ話も的確。妄想想像も逞しい。エリザベス キューブラーロスも話題に。
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興味をそそるタイトルだけど、予想を超えるような腹の底はなく、逆に精神科医とて、普通の社会人と同じように時には怒ったりムカついたり動揺しながらも、冷静に、しかし情熱を持って仕事をしているんだなぁというのを改めて感じた。
色々な患者のエピソードは、その状況になってしまう本人の精神状態や環境についても随所から垣間見ることができて、自分や周囲の人と重ね合わせながら想像したり学んだりできた。例えば、精神科医は診察室などの「お膳立て」があって初めて力を発揮できるという話は単純にへぇと思ったし、99%治っても、残りの1%が大きく生活に影響するという話は興味深かった。
ただ、文体は読みやすいけどダラダラと取り留めなく話しているような印象。それを緩和するためなのか、文中ランダムに、1人の精神科医(というより一つの状況・場面)が出てくるごとに「〜な医者」というまとめ的な小見出しがつくけれど、個人的にはこれが非常に読みづらかった。あえて100人の医者という部分にこだわらなくても良かったのではないかと思う。理由は冒頭で説明されているものの(よく分からなかったけど)、読んでいる間中気になってリズムを崩されるように感じた。 -
2017年4月26日購入。
2019年7月30日読了。 -
本著には実にさまざまな精神科医(の類型)があ登場する。つい、くすりと笑ってしまう人物もあれば思わず眉を顰めてしまうような人物もいる。エピソードのあとに挿入される人物描写は、シニカルで、流石という不思議な感想をもつ。そして著者のことばによれば、100人登場する精神科医のうち、その2/3は著者自身だという。むすびにて、「人間誰しもフランケンシュタインのようにパッチワークで出来上がっておりツギハギなのだからほころんだり矛盾したり不連続であるのは当然のことで…」とかかれているが、人間ほんとにそんなものだよなあ。と思わせる本でした。春日先生の本が好きな方は好きなはず。
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精神科医あるあるネタかと思ったらほとんどは作者自身のことだったので内容が独り善がりなんじゃないかと思います。
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どんな患者が来るか、薬の処方は何をよいとするか医者によるし、適当な処方で出し続ける医者もいる、など、内輪話ぽかったが、たいしておもしろく感じられなかった。
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春日武彦"精神科医は腹の底で何を考えているか"を読む。
都立病院の精神科部長を務めた著者が豊富な臨床経験から、患者を通じて見た精神科医の内面に迫ったもの。身も蓋もない語り口がいっそいさぎよく、好感が持てます。
精神問題で倒れる人が続くような場合、その周囲にパーソナリティ障害の攻撃者が存在するように思います。
【精神障害の類型について】
◯パーソナリティ障害の一部、たとえば境界性パーソナリティ障害といったものの特徴のひとつとして、とにかく周囲を振り回し飜弄するといった行動様式がある。しかも、はっきりとした思惑などないまま、ひたすら他人を操り糸を引きたがる。他者を玩弄することそのものが目的のようにすら映る。もちろんそうした振る舞いの背後には慢性の空虚感とか見捨てられ不安、情動の不安定さといったものが指摘されようが、そのような前提はさておき、やはり他人をコントロールすること自体で何らかのリアリティーや万能感を得たいといった心性を感じ取らずにはいられないのである。
【医師について】
◯精神科医に向かって、患者が自殺という言葉をつきつけてもそれは決め台詞にはならない。自殺というきわめてどぎつい言葉であっても、それが本当の自殺を意味する可能性はむしろ低いからである。自殺したいくらいに辛いといったレトリックでしかないこともあれば、自殺という「おどし文句」で相手をコントロールしたいということなのかもしれない。…自殺すると口から発することによって、やっと自分の存在感を確認しているのかもしれない。
◯患者と同じ文脈でしか物事を考えられない精神科医は、愚かな医師である。そのような医師は、常に歯切れのよい回答や気の利いた対応を理想としつつも決してそこにたどり着けない。問題をパズルと同じようにしか捉えられないので、したがってパズルを解くように事態を解決しようとする。しかしそんなことができるくらいなら苦労はしない。それは自殺をすると電話をしてきた患者へ、それを思いとどまらせる上手い台詞はどんなものだろうと考えるようなものである。さもなければ、幻聴に悩まされている患者に耳栓を与える振る舞いに似ている。 -
読んでいて面白かった。
シニカルで飄々としつつも真摯に物事を捉える姿勢が、5年ほどお世話になっている精神科医の主治医に重なって見えたからだと想う。
主治医の苦悩を感じつつ、上手くつきあっていけたら...と想えたので読んでよかった一冊になる。 -
治る 治らないといった次元の話とは別に、本人の生き方は多かれ少なかれ変化を遂げる。
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精神科医とはどんな人たちなんだろうか。人の心を治療する医者だから、人の心の闇を知り精神の歪みにも精通し、人格的にも高い成長を遂げているはず。だが本当はどうなのか。テレビに出てくるあの人はあやしくないか。臨床体験豊富で熟練の精神科医である著者が、エクソシスト医師、無責任医師、赤ひげ医師、新興宗教の教祖的医師、タレント医師、世間知らず医師などなど累計100名を、裏も表も建前も本音もすべてリアルに描き尽くす。
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幸いにして、いまのところ身近に精神科にお世話になっているひとがいないので、単なる興味で手にした一冊である。100名の、というよりは、100の典型的な状況ということなのだと勝手に解釈して読んだが、そのうちのかなりの部分が、著者ご自身のことでもあるのだろう、たぶん。内科や外科とは全く異なる覚悟と姿勢で診療に当たらなければならない医師の葛藤が見て取れて、人の心の複雑さを改めて思い知らされる。絶対的な正解がないからこそ、日々患者に相対して、どれほど真剣になっているかと思うと、崇高な思いにすらなるのである。「治る」ということの意味をも考えさせられる一冊である。 -
患者に共感し思いやる労りをもちながらも、別の視点から事態を整理し、デキることと出来ないことを見極め、なすべきことの優先順位を冷静に判断するのが精神科医。本書には多種多様な百人の精神科医をモデルに彼らが実際のところ、どう考えどう行動しているのかをデリケートな分野にまで一歩踏み込みんで語られている。
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精神科医が精神科医を事例ごとに分析・評価する。なかなか誠実な本。巻末の類型別精神科医見出しも読みやすい。著者紹介の顔写真が狙っているのかニヒルな笑みでくせになる。
140614
だいたい読んだ。精神科医というか、著者が腹の底で何を考えているかが半分あるような。分かりやすくて良。 -
カウンセリングに通うようになってすぐに登録した。
何を話したらいいのかわからなかったし、私が話したことをカウンセラーがどう思っているのかが気になったのね。
手に取ってパラパラめくってみると、読む理由の見つからない本だった。 -
「精神科医あるある本」なんだと思う。
100人の精神科医(実在の場合も、イメージの場合もあり)を挙げながら、精神科医が仕事をしながらどんなことを考えているのかをつらつら紹介?していく本。
この著者はいい意味でかっこよくないと言うか、「いいことを言おう」としてないので好きです。ちょっと卑屈すぎるきらいはありますが・・・
でも患者さんはこんな事情知らないわけだから、つまんない医者にあたると余計具合悪くなりそうだな・・・と思ってしまいました。
精神科だけじゃないけど、医者との出会いって運だよね。 -
著者個人についての記述に片寄っているようだが、そもそも精神科医という職業自体が謎だったので、興味深く読めた。