低炭素社会 (幻冬舎新書)

  • 75人登録
  • 3.76評価
    • (4)
    • (9)
    • (7)
    • (1)
    • (0)
  • 13レビュー
著者 : 小宮山宏
  • 幻冬舎 (2010年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981652

低炭素社会 (幻冬舎新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 必ずエネルギーは最後に熱になる。日々の暮らしを脱CO2化しよう。

  • 日本は「課題解決先進国」を目標とし「低炭素社会」実現をその柱とすべきだ、というのが著者の主張だ。その背景には地球温暖化こそが今を生きる人類の共通の「敵」であるという認識がある。そして、日本はこの「敵」との戦いをリードすべきであり十分にできると唱えている。そのために「エネルギー消費効率化」を徹底して行うことが目標達成に適うことが銃であることと、実現のための具体的な方策が本書で詳細に述べられている。


    本書の中で特に心を動かされた言葉を二つ挙げる。
    一つ目は「課題解決先進国」という言葉だ。GDPという指標や所得格差という指標が落ち込んでいるとしても、別の指標でトップを目指せばいい。危機は機会に容易に反転し得る(「危機」と「機会」に同じ漢字が使われているように。または、「ピンチ」ヒッターが「チャンス」の場面に出てくるように)、そのような前向きな姿勢が感じられて快かった。

    二つ目は「人類はもはやすべての知識を持っている」だ。著者は自身の経験から、他人が既に持っている知識をいかに見つけ活用するか、が既に重要になっていると考えている。それを著者は「知の構造化」と呼んでいる。


    最後に現在のエネルギー政策を巡る議論についてコメントしたい。
    筆者は以下に載せたインタビューでも

    「日々の生活で効率を高めるということが、これからの世界のエネルギー価格高騰に対する日本の対策になる。それによって、世界をリードするんです。それが、グリーンイノベーションで日本が世界をリードする、ということの意味です」

    と本書と同様の主張を述べている。
    しかし、電力にばかり議論が集中している今の状況は危うい。熱利用やエネルギー消費効率化への視点が薄れがちだ。電力は日本全体のエネルギー消費の1/4程度*1にすぎない。エネルギー消費効率化のフロンティアは電力よりも熱利用に多く残されていることをより多くの人が認識することの重要さには、筆者も賛同するだろう。


    【参考】
    ダイヤモンド・オンライン「どうする! 日本のエネルギー」
    第四回:著者へのインタビュー, 2012.8.17, 2013.3.17最終確認
    http://diamond.jp/articles/-/23354


  • Linker No.13
     工学府修士1年
     しおりさん

     この本は地球温暖化という課題に対して、その本質を解りやすく説明しています。
     温暖化の解決策としてはエネルギー消費量の削減が不可欠であり、そのためにはくらしのエネルギーを8割削減することを提案しています。単に提案をするだけでなく、窓の二重ガラス化、省エネ家電への買い替え、太陽発電やハイブリッドカーの乗り換えなどを実践し、生活レベルを落とさず8割削減を達成したそうです。
     また、私の研究内容であるバイオマスエネルギーや原子力発電、風力発電、太陽電池などの新エネルギーの活用がどこまで有望か詳しく解説されており、私も考えさせられることが多くありましたが、その内容は専門外の方でも簡単に低炭素社会の概要が理解できるもので、導入としては最適ではないかと思います。

  • それで結局、二酸化炭素が増えるとヤバイの?それとも増えても大したことないの?

  • 三菱総研の理事長である著者が、低炭素社会実現のために取るべき指針を示している本。

    「節約するよりエコ家電を買おう」という記述が何度かあるように、CO2排出量を減らすために生活水準やGDPを落としたりする必要は無いと著者は指摘する。産業界で省エネ化が進んできたのは単に環境への配慮があったからだけではなく、それ以上に儲かる(初期投資とそれによって減らせるエネルギーのコストを天秤にかけた際に、プラスになる)からであったように、あくまで個々人が得をするからエネルギー効率の高い生活をしよう、と提言している。

    太陽電池のように元が取れるまでに十数年かかるだけでなく、天候リスク等の各種リスクを考慮すると本当に元が取れるかわからない商品も数多く存在するとは思うが、本書の考えのように皆が利益を追求した結果、更なる省エネが進み、低炭素社会が実現していけば理想であるとは思う。


    以下メモ


    日本がエネルギーを消費している先は大きく分けて3つ。
    ・エネルギー変換(石油→電気の変換時のロスなど)
    ・ものづくり(鉄鋼、化学製品、その他製造業)
    ・日々のくらし(冷暖房、照明、お湯づくり、移動、輸送など)

    この中でエネルギー変換部門におけるロスは原理的にかかってしまうため、改善することは難しい。また、ものづくり部門においても、例えば石灰石からセメントを生成する反応において必要なエネルギーの理論値を超えた削減はできないように、エネルギーの削減には限度がある(経済界からは「これ以上の削減は乾いた雑巾を絞るようなもの」と言われている)。
    そのため著者は日々のくらし部門において使われているエネルギーを、現在の8割減らそうという提案をしている。具体的な方法は以下の通りである。

    ・建物の窓ガラスを二重にし、断熱性を高めることで、冷暖房の効率を高める。
    ・エコキュート、エネファームの導入。
    ・太陽電池の設置。
    ・燃費の良い自動車に買い換え
    など



    スケート選手を見てもわかる通り、摩擦が無い場合、水平方向に移動するためのエネルギー消費は原理的にゼロ。自動車で大量のエネルギーを消費しているのは、ほとんど無駄な摩擦のエネルギー。

  • [ 内容 ]
    低炭素社会とは、地球温暖化の主原因である大気中のCO2(二酸化炭素)を減らした社会のこと。
    鳩山首相は国連気候変動サミットで、CO2の1990年比25%削減を宣言した。
    経済界からは「不可能だ」という批判が上がったが、日本の技術力をもってすれば難しくない。
    25%削減は、日本が国際社会のリーダーとなる、またとない切り札なのだ。
    そのためにはどの産業を強化すべきか?
    生活スタイルをどう変えるか?
    環境技術の第一人者が明快に解き明かす、これから10年の戦略。

    [ 目次 ]
    第1章 「温室効果ガス25%削減」で新しい日本へ(日本が初めて発した「先進国宣言」;地球は巨大な環境浄化プラント ほか)
    第2章 そもそもエネルギーって何だろう(正しい知識を持つことから始めよう;エネルギーとは「物体が仕事をする能力」 ほか)
    第3章 エネルギー消費量の正しい減らし方(どこでどのくらい減らしていくか;高断熱住宅はいいことずくめ ほか)
    第4章 町づくりで低炭素社会を実現(みんなアメリカの豊かさに憧れていた;大人は新しい幸せの形を示すべき ほか)
    第5章 人類の知を構造化する(目指すは「課題解決先進国」;固い地層での植林を成功させた、あるアイディア ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 温暖化とは何か、低炭素社会とは何かを平易な文章で誰にでもわかるように書かれている良書。
    CO2の25%削減が決して難しくない、別に「江戸時代の生活」に戻ることなく家庭の節電もできる、節約ではなく新しい省エネ機器を買うことで節電できるといったことがわかりやすく、理詰めで説明されている。
    グローバルな話から身近なことまで温暖化・低炭素社会というものをすんなり理解できてこれは読んでよかった。

  • 取り立てて目新しさはないが、「なぜ低炭素社会を目指すのか」が分かりやすく記載されている。一般的な概論としてはベストな書籍。

  • CO2を25%削減する宣言から展開される低炭素社会に向けた施策と根拠について書かれた本。

    私は著者を知り、慕っているのもあるため、内容としては目新しいモノはなかった。それでも、様々な問題が目の前に出ている現状に明確に解を出そうという姿勢と、わかりやすく伝えて社会を元気にしようという姿勢、マインドは純粋に尊敬できる。

    小宮山エコハウスの実体験を元にしてるので、そこらのジャーナリストの話より説得力もある。

    「そっちに行くと崖があるかもしれないよ」と警告を発するより、「ここに道がある」と指し示せる方が、この不安な時代に求められている、のくだりはさすが!と思ってしまった。

    これから家を建てられる方にはすごく参考になる話と思うし、エネルギーについて詳しくない方でも読みやすい良書です。

  • 私たちは2050年にどんな生活を送っているのだろうか。
    本著では、二酸化炭素を今よりも減らす、「低炭素社会」の実現の重要さを記している。私たちは、エアコンや冷蔵庫、テレビなどの家電製品を使用し、また車や電車、飛行機を利用している。江戸時代の頃のような家電や乗り物のない生活をして、二酸化炭素を減らす行為はナンセンスである。
    それよりも、いかに少ないエネルギーで効率よく消費していくかがポイントとなっている。私たち日本の環境技術を駆使した低炭素な工業製品を生産していくことで、エコと経済が成り立つ社会を築いていきたい。
    世界で低炭素社会を引っ張るのは日本であってほしいと筆者は語っていた。2050年、どんな未来を私たちは築いていくのだろうか。

全13件中 1 - 10件を表示

小宮山宏の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヴィクトール・E...
マーク・ピーター...
J・モーティマー...
有効な右矢印 無効な右矢印

低炭素社会 (幻冬舎新書)を本棚に登録しているひと

低炭素社会 (幻冬舎新書)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

低炭素社会 (幻冬舎新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

低炭素社会 (幻冬舎新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

低炭素社会 (幻冬舎新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

低炭素社会 (幻冬舎新書)の作品紹介

低炭素社会とは、地球温暖化の主原因である大気中のCO2(二酸化炭素)を減らした社会のこと。鳩山首相は国連気候変動サミットで、CO2の1990年比25%削減を宣言した。経済界からは「不可能だ」という批判が上がったが、日本の技術力をもってすれば難しくない。25%削減は、日本が国際社会のリーダーとなる、またとない切り札なのだ。そのためにはどの産業を強化すべきか?生活スタイルをどう変えるか?環境技術の第一人者が明快に解き明かす、これから10年の戦略。

ツイートする