日本文化論のインチキ (幻冬舎新書 こ 6-3)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981669

感想・レビュー・書評

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  • 日本文化論を新書で書くのは無理であろう。

  • 揚げ足取りの名人ぶりは健在で、読まないでいい本を教えてくれる。3章までがおもしろい。けなした本の一覧を巻末にまとめておくべき。これは編集者の怠慢。

  • 日本文化論の「名著」を取り上げ、その「インチキ」を暴いた本です。

    日本文化論に対しては、左派の方から、「日本文化」なるものを単一の実体のようなものとして扱う「本質主義」を批判するものがありますが、本書の立場はこうしたものとは一線を画しています。著者が「インチキ」だと批判するのは、日本文化論の多くが実証的な手続きを踏んでいないということです。そうした意味では、本書はイデオロギー・フリーな立場からの日本文化論批判と言えるのではないでしょうか。

    著者がこれまでくり返し論じてきた、「恋愛輸入品説」批判、「日本人は裸体に鈍感」論批判、平河祐弘らのラフカディオ・ハーン研究に対する批判なども、日本文化論批判という観点から再説されています。

  • タイトルの通り、日本文化論に関する通説批判なんじゃけど、自分に日本文化論の素養があまりにも無くて、楽しみ切れなかったというのが正直な感想。ただ、小谷野さんが一癖も二癖も、下手したら百癖あるんじゃないかという程のクセモノである事は伝わった。『もてない男』、『恋愛の昭和史』を手配した。

  • よくある日本人論というものの大部分を「西洋としか比較していないのではないか」「歴史に法則性や、なにか深い原因のようなものを探ろうするのは非科学的でないか」「ある階層だけを日本人とみなすことは真実を見失うのではないか」「江戸時代という近世だけを元来の日本の姿ととらえているのはおかしくないか」といういちいちもっともなとらえかたで、過去の様々な有名日本文化論を批判している本。

    その視点はすごくおもしろかったのだが、本の大部分が、読者にとってはどうでもいい同業の学者のこの論はここがおかしい的批判がえんえん続く著者の自己満足的な内容になっていたのが残念。

    悪い意味でアカデミックな本なので、日本文化論界隈の学者の内輪もめに興味があればおもしろいかも?

  • 本書は日本文化論の学問的にデタラメな構造を発見した著者が武士道に始まる100冊余りを一刀両断した本である。

    久しぶりの小谷野節である。その闘いぶりには圧倒される。難しくて良く分かりませんが、世の中にトンデモ説が多く学問的に裏付けがないものが、まことしやかに伝えられているという事がわかりました。気をつけなくては。

  • 数ある日本文化論を、言葉尻を捕らえて非難してるだけ。

  • 「三点測量」は、なるほど肝に銘じよう、と思いました。

  • [ 内容 ]
    「日本語は曖昧で非論理的」「日本人は無宗教」「罪ではなく恥の文化」…わが民族の独自性を説いたいわゆる日本文化論本は、何年かに一度「名著」が出現し、時としてベストセラーとなる。
    著者はある時、それらの学問的にデタラメな構造を発見した。
    要は比較対象が西洋だけ、対象となる日本人は常にエリート、歴史的変遷を一切無視している、のだ―。
    国内外の日本論に通じる著者が『武士道』に始まる100冊余を一挙紹介、かつ真偽を一刀両断。
    有名なウソの言説のネタ本はこれだ。

    [ 目次 ]
    第1章 西洋とだけ比較されてきたという問題―『「甘え」の構造』『ものぐさ精神分析』など
    第2章 「本質」とか「法則性」の胡散臭さについて―それはヘーゲルの『歴史哲学』から始まった
    第3章 日本文化論の“名著”解体―『陰翳礼讃』『タテ社会の人間関係』『風上』など
    第4章 「恋愛輸入品説」との長き闘い―『「色」と「愛」の比較文化史』批判
    第5章 「日本人は裸体に鈍感」論との闘い―『逝きし世の面影』批判
    第6章 天皇制とラフカディオ・ハーン―日本文化論の背景を探る

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    [ 参考となる書評 ]

  • アレもダメこれもダメでついにはヘーゲルまで否定する。ちょっと違和感を感じる向きもあろうが、学問は厳密な論証が必要だとする論証原理主義的な筆者の主張は、一読の価値はあるかと思う。

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著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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