昭和45年11月25日: 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃 (幻冬舎新書 な 1-7)
- 幻冬舎 (2010年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344981850
感想・レビュー・書評
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とても良質な理系本レビューを載せてるこのサイトの書評がきっかけで読んだ。
三島の演説も檄文も全容を知ったのは初めて。彼の文学はこの日に完成したのだろうか…。
昭和45年11月25日―三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃: 中川右介 - とね日記 https://t.co/ol0nRdR5wf詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三島由紀夫は単なる人気作家ではなく、あの時代のスーパースターだったようです。当時80万部の平凡パンチが1967年春ミスターダンディの読者投票をした結果(11万以上の投票)は、1位が2万票近くの三島由紀夫で、2位以下が三船敏郎、伊丹十三、石原慎太郎、加山雄三、石原裕次郎、西郷輝彦、長嶋茂雄、市川染五郎、北王子欣也だったそうです。中川右介氏の「昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃」、2010.9発行です。文壇、演劇・映画界、政界、マスコミ百数十人の事件当日の記録をもとにしたノンフィクション
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知れば知るほど三島事件の謎が深まるばかり。
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三島の主義主張には共感しないけれど、なぜだか惹かれては彼の小説を幾度も手にしてきた。この本に出てくる百余人の証言者たちにも熱烈なシンパは殆ど出てこない。ただ彼のスター性カリスマ性による求心力は大きなもので死後40年経った現在でもその力は持久している。アンチであったはずの大江がいちばん三島の精神性を受けとめ、アンチのアティチュードのまま答えているのが印象的だった。1975年11月25日の衝撃と時代の空気を感じることができた。
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三島由紀夫の文学論に直接触れるのではなく、時代を共有した諸氏100名以上の回想を述べることで、却って三島由紀夫がどういう存在だったのか、そして昭和45年とはどのような雰囲気の時代であったのか、断片的にとはいえ分かり、非常に面白かった。
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ファンなら読んでいて、
本書がある三島作品のトリックを導入しているのが、
よくわかることと思う。
こんなに沢山の人が事件について語っていたとは。
いやはや、著者の努力に頭が下がるばかり。 -
事件自体はほんの数時間の出来事だった。しかし、その事件の発生は
各界に大きな衝撃をもたらした。
日本を代表する作家であり、ノーベル文学賞受賞の可能性も取り沙汰
された三島由紀夫は自身が主催する民兵組織「盾の会」会員を引き連れ、
自衛隊市ヶ谷駐屯地を訪れた。
三島と自衛隊は近しい関係にあった。だが、この日の訪問は穏やかには
終わらなかった。
東部方面総監を人質に取り、自衛隊員にクーデターの決起を促す
演説を行う。三島の演説には自衛隊員からのヤジが飛ぶ。
これだけでも充分な大事件である。その後、三島は自衛隊員が彼と
一緒に立とうとしないことを確認し、切腹という方法でこの事件の幕
引きをする。
その日、昭和45年11月25日。三島由紀夫と盾の会の事件は、当時の
著名人、またその後、世に出ることになる著名人にどんな衝撃を与え、
何を残したのかを時系列で綴ったのが本書である。
膨大な資料を駆使して120人の事件の受け止め方を描いており、
この事件を検証した類書とは趣を異にしている。
今、「11月25日」といってもすぐに三島由紀夫と盾の会事件と答える
ことが出来る人は少ないだろう。あの日に何が起きていたのかを
追体験するにはいい。
事件検証の資料は何冊か読んだが、結局、三島由紀夫が何を思い、
このような行動に出たのかは分からなかった。
もしかしたら、クーデターなんて当の三島自身も可能だなんて思って
いなかったのではないか。あの日、東部総監室の赤い絨毯の上で
切腹し、死に至ることは彼が夢見たナルシシズムの終着点では
なったのだろうか。
「三島は季節を間違えたな。桜の季節にやるべきだった」
寺山修二が「天井桟敷」のメンバーに言ったという言葉が印象的
だった。そう、何故、11月だったのだろう。桜の舞う季節だった
のなら、その死はまた違った印象を残したのかもしれない。
三島さん、いや、公威さん、おもちゃの兵隊に囲まれて、あなたは
自分の理想とする死に方で死んだのですか?