1円家電のカラクリ0円iPhoneの正体: デフレ社会究極のサバイバル学 (幻冬舎新書 さ 5-3)

著者 :
  • 幻冬舎
3.40
  • (8)
  • (17)
  • (36)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 197
感想 : 30
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981935

作品紹介・あらすじ

これは資本主義経済の最終局面なのか。デフレによる価格下落は止まらず、無料・格安と銘打つ赤字商売も盛んだ。「1円家電」を売る家電量販店は、家電メーカーから値下げ分の補助金をもらい、「1円航空券」を扱うアメリカの航空会社は、持ち込み手荷物・ドリンク・ヘッドフォンなどあらゆるものを課金対象とする。販売商品は赤字でも、これまで無料だったもの、こちらがお金を支払っていた相手からお金を吸い上げるのだ。倒錯する経済の時代の稼ぎ方・利益創出法を伝授。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 赤字は素晴らしい、それは赤字でも下記の良い点があるからである。
     赤字覚悟の目玉商品は良い広告宣伝になり顧客を引き寄せる。また、この店に来ればお得なものがあるというイメージを受け付けリピーターを増やせる。

     売れ残り商品でも固定費の分は回収できる。
     本体は安くても付帯商品(オプション、消耗品)などで稼げる。

     ホテルや航空機は空いてる席だけ損をする、なら赤字でも埋めればいい。
     最初は無料にして、後から有料オプションでお金を稼ぐ。

  • 赤字覚悟の安売り!がこわくなった。フリーに巻き込まれないことで生き抜くということ。
    それは、稼ぐ側もそうだし、消費する側としても、フリーばかりを消費しないということなんだろうな。タダより高いものはないと昔から言ったもので。

  • 固定費には2種類あり、サンクコスト、すでに支払ってしまったものと非サンクコスト、これから支払う固定費
    商品が売れない場合は、固定費を減じて販売していき、変動費+1円まで売価が下がっていく

  • 新書にありがちなタイトル(ターゲット読者)と内容に乖離がある本。
    読者によっては、期待ハズレかもしれないが、自分の場合、この乖離がむしろ良く、最後まで楽しめた。

  • なかなか斬新な視点で、販売や価格、利益の不思議さを解説している。
    ちょっと思い込みが強いというか微妙に神がかり的な感じがあるのが気になったが、「おわりに」を読んで背景が納得できた。
    すべて理解できた訳では無いが、「いまを愉しむことが大事」、非常に重い言葉である。

  • 売り上げの仕組みが分かる

  • モノが1円で購入できたり、無料で閲覧できたり、快感を得れる時代。
    結局、その中のキーポイントは、

    どうせ、安くで買うなら気持ちのいい店から買おうとか、
    この人から買いたいなぁとか。
    そうゆうサービスの感動を通して購入するため、近頃のサービス力の見直し方は目を見張る。

    その背景には、メーカーがお金を払って、消費者に安くで購入してもらったり、
    小売りが安い店だと思わせて、客引きをしたり、イメージ戦略の一環だったりする。

    生産者が消費者にお金を支払って商品を販売する【逆転経済】


    結局、そのツケを払わされるのは、消費者である「労働者」

    労働者自体が、自分の首を絞め、
    同じく消費者である自分が、安くで幸福を得る。


    作者は浪費家の様に感じるが、そうゆう社会を少しでも打開しようとしてるのではないだろうか?


    安い幸せのために、安くで働くデフレ社会。


    その中のサバイバル競争に勝つには、
    「変身・権利・承認・感動」が勝ち組となる。

    欲しい物が無い時代に、何故か買ってしまう商品。
    このデフレ社会、赤字商品の羅列の中で、いかにそれを考えれるかが、これからのポイントになり得るだろう。

  • 最後のどんでん返しがひどい。

    「他者の赤字のすばらしさ・・・他者が赤字、あるいはフリーで商品を提供してくれるあいだに、自分はそれらと差別化できる商品を創り出すことが、ほんとうの競争優位につながる。」

    ・・・要するに、「オレ様は儲かっていますよ」ということ。

  •  「赤字は素晴らしい」というスタンスで執筆にあたっている本。
     一章では主に家電業界の仕組みの説明であり、「赤字で販売することで「この店は安い」という印象を与えられる」「付帯サービス(マスコミが取り上げる、最初にドアをくぐる抵抗感を減少できる)を得られる」ことは本書を読むまでもなく知っていたが、商品を売る代わりに販売協賛金をメーカーから貰っていることや、商品を安く提供するということは最終的に労働者に負担がかかっている(働きに応じた給料をもらえない)という考えは初耳だった。

     二章では、赤字商売が進められた結果、中古のヘリを使ったクルージングなどの赤字で販売したとしてでも固定費を有効活用しようとする商売の出現や、航空業界など固定費が多くかかる業界は、ポイント発行などの赤字販売をしがちになり、それを利用して他にお金を使わせるようにしないと行き詰まってしまうと説明している。そして、これまでは「お金を払って記事を書いてもらう」ような業種が「お金をもらって記事を書かせる」というビジネスモデルを登場させたことにも注目している(All Aboutなど)。
     それにしても、「ヤスオク(激安オク)」などの「買わなかった見込客からもお金をとる仕組み」は、ネットオークションを利用したことのない私にとって衝撃的なものであった。

     三章は無料ビジネスでどうやって収益を得ているのかについてある。 固定費がほとんど掛からない商品を無料で提供し、気に入った人から商品のさらなるサービスを受けるためのお金を貰い固定費にあて、お金が払われなくても、その場合は広告宣伝のスポンサー収入を得ることができる。ただし新聞社のような、他商品と大して差のないものしか提供できない場合は利益を確保できず、結果的に質の良いサービスのみが利益を得られるというものであった。iPhone(16G)の機種代金が無料の理由、DropboxやSkype、ミュージシャンの無料音源が配布される仕組みについても、この章で触れられていた。
     
     四章では何故「赤字は素晴らしい」のかについて触れている。
     この章で興味深かったのは、「欧米では「神様のため」という奉仕精神・宗教心があるのに対し、日本では「お国のため」という思想であった。しかしモノがあふれた今日では自分の行為への不安が生じ、さらに赤字販売のおかげでモノが安く(時には無料)手に入ってしまうので「何故頑張らなければいけないのか」という考えが生まれる」という考察がなされていたことであった。
     「このような考えが根付いた社会においては「変身・権利・承認・感動」をキーワードとした職業が商品となる」という考えは間違っていないと思う。そうでなければ、わざわざ顔出しまでして人の注目を得ようとするYouTube、Ustream、ニコニコ生放送の利用者はいないと思うのだ。
     そして筆者の結論は、それらの価値観も是とした上で、「これまでは「お金を得ることが大事」という考えが主流だったが、今は「やりがいを得ることが大事」となっている。しかし、その流れに乗ること無く、他と差別化が出来る商品(技能)を提供することも出来る」という、言ってしまえば「赤字とはものを安く買うことが出来るだけでなく、すぐれたサービスがあれば自分を安売りすることなく利益を得ることが出来る環境だ」というものであった。

     最初にタイトルを見たときは「いろいろな情報を詰め込んだだけの本なのではないか」と思ったが、とても面白い本であった。

    自分用キーワード
    固定費/変動費 販売協賛金 (節税のための)減価償却費 航空業界などの(非)サンクコスト固定費 クリス・アンダーソン『フリー』

  • 家電激安のカラクリとしてメーカーからのいろんな名目の補助金が支えているとは知らなかった。
    それ以外は特に目新しい情報、気づきはなかったな。赤字は先行投資や販促費、在庫整理費と考えるって事なので恐るな、って事ね。

全30件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

未来調達研究所株式会社所属の経営コンサルタント。大学卒業後、メーカーの調達 部門に配属され、調達・購買、原価企画を担当してきたコスト削減、仕入れ等の専門家。日本テレビ「スッキリ」、TBS「篠田麻里子GOOD LIFE LAB」のコメンテーター、ラジオ「オールビジネスニッポン」のMCなどとしても活躍中。

「2020年 『1年仕事がなくても倒産しない経営術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂口孝則の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×