内部被曝の真実 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982291

感想・レビュー・書評

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  • 対策が本当に必要なその瞬間にはエビデンスがないことが往々にしてある。その時にどう動くか。示唆に富む内容の本だ。

  • 「男の涙は演技である」と言い切れるか《赤松正雄の読書録ブログ》

     先日ある新聞に男の涙をどうみるかについて特集されていた。これまで人前で涙を見せないというのが、男の男たる所以だと言うのが定説だった。どうも最近は違うらしいというのが、その企画のミソであったと記憶する。そこではよく泣く男、ご存知鈴木宗男前衆院議員の一文も掲載されていた。

     東日本大震災そして福島第一原発の事故の直後から今日まで様々な学者、研究者の話を、国会で聴く機会があった。泣きながら被害の実態を語り、政府の対応を批判するという人に初めて会った。東大先端科学研究所の児玉龍彦教授である。この人は、国会での参考人質疑における陳述、質疑の中で政府の対応がいかに杜撰であるかを泣きながら語られたことで知られる。恥ずかしながら、私は児玉先生を存じ上げず、しかもその事実をも知らなかった。同先生が講師として出席された先日の会合(「赤松正雄のブログ」1月27日付け)でも泣かれたので、その場で聞いているものとして深く感動した。そこで、同先生の著作である『内部被曝の真実』を読んだ。

     「専門家とは、歴史と世界を知り、本当の危機が顕在化する前にそれを防ぐ知恵を教える人でなければならない。だが、放射線被害と、その予防について、一週間でまとめて、国会で話せる自信はなかった。間違ったことをいってご迷惑をかけるかもしれない。専門家としての自分の評価に傷がつくかもしれない」

     このようなためらいを感じながらも、7月27日に衆議院厚生労働委員会に出席されて発言された。その時の発言録と、その発言への委員からの質問と答弁からほぼ成り立っている珍しい本(こういう新書は類例をみない)である。この時の委員会で民間のノウハウを結集して国策としての除染をして欲しいとの4つの提案―1)食品、土壌、水を最新鋭の機器で測定する 2)子どもの被曝を減少させるために、新しい法律を制定する 3)汚染土壌除去する技術に民間の力を結集する 4)世界最高水準で除染を行う準備を即刻開始する―をされている。いずれも十分な対応がされているとは言い難い。

     残念なことに、ここでの参考人質疑に公明党の委員が登場していない。坂口力副代表が質問に立たれたが、児玉先生を含め6人も参考人が出席されたので、時間がなくなったようである。児玉先生には本の中で、そのことを補足してほしかった。でないと、公明党だけの不在は読者に不審を抱かせる。

     ところで、男の涙についてかつて尊敬する先輩から「女の涙は自然な感情の発露だが、男の涙は演技であると思って間違いない」と聞いた。今、その確信はいささか揺らいでいる。

  • 放射性物質の総量規制の重要性が書かれている。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:493.195||K
    資料ID:95110517

  • 低線量被爆・内部被爆・きちんとした疫学調査の難しさについて勉強になった。科学的にきちっとした議論をされてると思う。先生の医師としての姿勢,科学者としての姿勢にも学ぶべき,尊敬すべきところが多々。国会答弁全文と質疑応答(質問と答えが噛み合ってないことが多いような…)も収録。先生ご自身の回想も。

  • いっとき、国会答弁がYouTubeに流れていたことがきっかけで買った本。
    遠方の地でえらそうなことを言っている人よりはるかに心にずしんとくる内容。

    ちなみに、通販生活2012春号にも登場している。

  • ごめんなさい、今頃読みました。。。

    国会発言が7月末、それから5ヶ月経過して変わったことと云えば、
    計画なき除染(移染)が大々的に事業化されてしまったくらいですか?
    しかも、危惧されていた『利権がらみの公共事業化』に近い形で。

    警鐘を鳴らしてくれる人がいるありがたさと、
    それを実現しない(「できない」ではなく「しない」)官僚・政治屋に
    絶望しかけている今日この頃です。


    【収録内容】
    第一部 7・27衆議院厚生労働委員会・全発言
     1 私は国に満身の怒りを表明します
     2 子どもと妊婦を被曝から守れ――質疑応答
    第二部 疑問と批判に答える
    第三部 チェルノブイリ原発事故から甲状腺がんの発症を学ぶ
     ――エビデンス探索20年の歴史と教訓
    第四部 "チェルノブイリ膀胱炎"
     ――長期のセシウム137低線量被曝の危険性
    おわりに 私はなぜ国会に行ったか
    付録 国会配布資料

  • 7月27日、衆議院厚生労働委員会でのスピーチは日本中を戦慄させた。ユーチューブ再生実に百万回以上。そのスピーチをしたのが児玉龍彦である。本書ではそのスピーチの全文を掲載。また被爆についてのより深い真実が明かされている。(三浦崇典)

    ▼『ジセダイ』140文字レビューより
    http://ji-sedai.jp/special/140review/20111107.html

  • とりあえず、内部被曝は侮れないことがわかった。けれど、直ちに健康に影響を及ぼさないこともわかった。
    この本とは関係ないけど、輸入されてるものの方がよほど心配したほうがいいと思う。ギョーザの時はあれだけ騒いでたのになぁ。
    何で他国が信用できて、自国は信用できんのだ。理解に苦しむ。

  • 著者は、
     日本の医学者、生物学者。東京大学アイソトープ総合センターセンター長 兼 東京大学先端科学技術研究センター教授。専門は、内科学、分子生物医学、システム医学領域、血管システム分野
     (ウィキペディアより)
    であり、
    今年の7月27日に衆議院で参考人として出席し、国に対して満身の怒りを表名した児玉龍彦氏です。

    被曝について詳しく書かれた本を探しに近くの書店に物色しに行ったのですが、
    その書店には、確固たる物証(データ等)を示し、それに基づいて書かれたものが見当たらず、
    この児玉龍彦氏の本も無かったのでネットで注文して取り寄せてみました。


    印象に残ったのは、
    そもそもこの本を買うきっかけだった"被曝について確固たる物証(データ等)を示し、それに基づいて書かれた"という事柄より、
     専門家
    という人とはどうあるべきかという著者の考えについてです。
    それについて書かれている箇所を挙げてみます。

    ・危険を危険だとはっきり言うのが専門家
     福島にとどまって住まざるをえない人がいる以上、その人たちのためにどのような対応を急ぐべきかが重要だ。危険だ、危険だとばかり言っていて もしょうがないのではないか。
     これは、危険というものに対して、専門家がどう対処するかという問題です。
     (59頁4行目~)

    ・危険なことがあったら、これは本当に危険だから、苦労があっても何でもやっていこうと国民に伝えるのが専門家です。みんなが専門家に聞きたいのは、何も政治家みたいに折り合いをつけることじゃない。危険を危険だとはっきり言うのが専門家なのです。
     今までの原子力学会や原子力政策のすべての失敗は、専門家が専門家の矜持を捨てたことにあります。国民に本当のことを言う前に政治家になってしまった。経済人になってしまった。これの反省なくしては、われわれ東京大学も再生はありえないし、日本の科学者の再生もありえないと思っています。
     (61頁5行目~)

    ・普通の人が専門家に聞き、学びたいのは、「経験」の枠を超える「歴史」からの知識である。
     三陸海岸で、歴史に残る大津波の記録は、863年、1611年、1616年、1676年、1696年、1835年、1856年、1896年(明治29年)、1933年(昭和8年)と続き、ほかにも大小数多くの津波が襲来している。古老に聞けば経験はいくらでもある。
     だが、幾度も津波に巻き込まれて逃げ惑うだけでなく、どうしたら。津波に立ち向い、死者を出さないようにできるか、そのための防災対策に専門家が必要なのである。
     (111頁3行目~)

    ・専門家とは、歴史と世界を知り、本当の危機が顕在化する前にそれを防ぐ知恵を教える人でなければならない。
     (114頁14行目~)

    ・専門家には想定外があってはならない。
     想定されるリスクを皆に、正しく伝えなくてはならない。
     (123頁11行目~)

    私は、地上波のテレビ番組は殆ど見ませんが、
    ネットの掲示板とかを見ていると、地上波のテレビ番組に出てくる原発の専門家と言われる人の多くが、この児玉龍彦氏が考えている「専門家」とは程遠い人だと言われています。
    当然、その様な"専門家"の話ばかりを聞いている多くの国民には、正しい情報や必要な情報が伝わらず、結果的に被害を治めるどころか逆な結果を導いてしまっている事もある筈です。
    例えば、被災地で発生したガレキを、被災地 以外の地区に持ちだして処分しようという動きがありますが、
    これなんかは"放射能汚染されたガレキを被災地以外に移動すれば、その地域も汚染される"という事を専門家が言わないからであり、
    "放射能汚染されたガレキは、放射能汚染を拡大させない為に現地で処分すべきだ"
    と専門家が言わないからでしょう。
    その結果、多くの国民が正しい判断を出来なくしまっているのではないでしょうか。

    この様な専門家を御用学者と言います。
    御用学者とは、上記で書かれている"政治家"や"経済人"になってしまった専門家の事です。

    下記のリストに名前が出ている
     「"政治家"や"経済人"になってしまった専門家」
    の発言は信じてはいけません。
    何故なら、原発を推進して利権に授かりたい人たちの代弁者だから。

    @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
    信じてはいけない
     原発業界御用学者リスト @ ウィキ
     http://www47.atwiki.jp/goyo-gakusha/

    原発業界御用学者リスト @ ウィキ - 高田純
    http://www47.atwiki.jp/goyo-gakusha/pages/140.html


    「安全デマ」を流す御用学者、原発関係者を東京地検に一斉告発
    http://news.livedoor.com/article/detail/5719806/
    @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



    先に書いた様に、
    今からヨウ素による被曝対策をしても全くの手遅れであり意味がありません。
    その理由は、既にヨウ素が半減期の8日をとっくに過ぎており、その8日の間に既に被曝してしまっているからです。
    今、心配すべきなのは、半減期が30年と長いセシウムによる被曝から如何に身を守るかです。
    特に放射能による被曝被害が大人の10倍以上になる子どもと妊婦を、このセシウム被曝から守らなければならないのです。

    @@@@@@@@@@@@@@@@@@@

    ■北海道 中国 四国地方 までも
    セシウムで汚染されていることをいまさら発表
    http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-1898.html


    ★ここが判りやすい。セシウム137蓄積。
    http://infosecurity.jp/archives/9958
    30km圏内では300万~3000万ベクレル/平方mという凄まじい汚染で、計画的避難区域とされている飯館村は100万~300万ベクレル/平方mという汚染度である。
    因みにチェルノブイリ原発事故では、セシウム137が55.5万ベクレル以上の地域が強制移住の対象であった。

    @@@@@@@@@@@@@@@@@@@


    著者は、最後を以下の文でしめくくっています。

    「 福島原発の汚染については、すべてはこれからである。われわれは、祖国の土壌という、先祖から預かり子どもに伝えるかけがえのない財産を汚染してしまった。
     しかし、人が汚したものなら、人がきれいにできないわけがない。
     そのために全力を尽くすのがわれわれ科学者の責任である。
     こう思って話し出したら胸がつまってしまった。もっと理性的にならねばならないと思いつつ、自分の中で、怒りと理性がぶつかって、押きれなくなってしまった。
     あまりに感情的になり、申し訳なく思っている。」
     (136頁2行目~)


    ★この本を元にしたブログ記事を書いていますので、是非、読んで下さいませ。
      ↓
    【原発事故】 国に子どもと妊婦を守れと満身の怒りを表名! 【「内部被曝の真実」 児玉龍彦 著】 
    http://soumoukukki.at.webry.info/201112/article_2.html

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