内部被曝の真実 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982291

作品紹介・あらすじ

福島原発事故では、広島原爆20個分以上の放射性物質が放出された。放射線による健康被害が科学的に証明されるまでには時間がかかる。安全か危険か議論するより前に、国が「測定と除染」に今すぐ全力を挙げなければ、子どもたちと妊婦を守れない。「民間のノウハウを集め、最先端機器を使って全国の産地で食品検査を」「低線量の膨大な放射性物質を処理するための法律の整備を」-内部被曝研究の第一人者が、政府の対応を厳しく批判しつつ具体的な対策を提言して大きな反響を呼んだ、国会でのスピーチを全文採録。

感想・レビュー・書評

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  • 専門家とは、
    ・危険なことがあったら、これは本当に危険だから、苦労があっても何でもやっていこう国民に伝える。危険を危険だとはっきり言うのが専門家。折り合いをつけることではない。

    ・歴史と世界を知り、本当の危機が顕在化する前にそれを防ぐ知恵を教える人でなければならない。

    ・専門家には想定外があってはならない。想定されたリスクを瀬に、正しく伝えなくてはいけない。

    との言葉にただ納得。
    そしてまた、そのことを思うと、本当の専門家は日本では重用されていないのだと改めて思いました。

  • 疫学的に証明されなくても、因果関係が無いということが証明されたわけではない、極端な症例が最も重要な警報であると、著者は警告する。母乳中からのセシウム137の検出の問題に関し、低放射線量の被曝の影響についてもチェルノブイリの事例をあげ、汚染地の除染について具体的な対策を主張する。国民に本当のことを言う前に政治家や経済人になってしまった科学者では無く、危険な事を危険だと言う専門家の矜持を捨てなかった一人の科学者の勇気と行動が本になった。

  • ・内部被爆の一番大きな問題はがんであり、がんは放射線がDNAの切断を行うため。DNAというのは2本の鎖からなる二重らせんのため二重のときは非常に安定しているが、細胞分裂するときは二十らせんはほどけて1本ずつになってそれぞれが2倍に増えて鎖が4本になる。この鎖が1本になる過程のところが切れやすく危険。
    →妊婦の胎児、幼い子供などの成長期の増殖の盛んな細胞に対して危険性を持つ。

    ・甲状腺の場合は汚染された牛乳などをたくさん飲むと最初にRET遺伝子がやられるが、1回やられただけでは発ガンせず増殖するのみ。その後もう1個がやられるとがんになる。

    ・学会の主流と政府は何を誤ったかというと、現行法の「高い線量の少量の汚染」を考え、濃度を元に「さしあたり健康に問題ない」としてきた。しかし、システム論から見ると線量が問題で、「低い濃度でも汚染が膨大になおこると、特定の場所や食品に濃縮がおこり、健康に害をもたらす」

  • 国や東電を批判している有名どころの科学者や医者の本を何冊か読んだけど、この本はそれらの人たちと少し違った趣がある。

    ”人が汚したものなら、人がきれいにできないわけがない。そのために全力を尽くすのがわれわれ科学者の責任である”p.136

    「今日本が持っている科学技術の力を結集して除染につとめ、日本の国土を元に戻そう!」という強い気迫が伝わってきて、読んでいるこちらも前向きになれる。

    まだ読んでいない人には、ぜひおすすめしたい。日本にこんなに熱く、立派な科学者がいるんだ!

  • まだ何も終わってないことを痛感する。専門的な内容も多いが今後長くつきあわなければならなくなった放射性物質について整理できる。専門家というもののあるべき姿についても共感した。

  • 「私は国に満身の怒りを表明します」
      「7万人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体、何をやっているのですか!」

    福島原発事故では、広島原爆20個分以上の放射性物質が放出された。国が「測定と除染」に今すぐ全力を挙げなければ、子どもと妊婦を守れない。
    YouTubeで100万回以上も再生されて大きな反響を呼んだ、正義の科学者による魂の国会スピーチを完全採録。
     さらに
    ■国会でのスピーチに寄せられた疑問・批判への回答
    ■ヨウ素被曝と子どもの甲状腺がんの因果関係の立証には長い年月がかかることを、今から2年前にすでに警告していた論考
    ■国会出席を決断するにいたった南相馬でのある1日について書き下ろした「私はなぜ国会へ行ったか」
    を加えての緊急出版!

  • 7月27日の衆議院厚生労働委員会において、渾身の力をこめて、政治家の無策と、今後の福島での除染についての提言をしていた、東大アイソトープ総合センター長の児島氏による著作。厚生労働委員会での発言、その後のQ&A、配布資料の再収録。また、チェルノブイリ事故後20年にわたって継続的に行われた調査の結果判明したセシウム137の長期内部被爆による膀胱炎のメカニズムも詳述。専門的な内容だが、非常にわかりやすい。良書。

  • 2011/9/11 Amazonより届く。
    2011/9/11〜9/15
    東京大学アイソトープセンター長である児玉教授が、7月27日の衆議院厚生労働委員会での全発言を含む現在の日本に突きつけられている放射性物質の脅威についてまとめられた本。委員会での涙ながらの発言はYou Tubeでも、もの凄い閲覧数をカウントしている。
    ここには、真の科学者がいる。全国民必読の書である。
    しかしこれだけの危険性が指摘されているにもかかわらず、未だほとんど有効な対策を政府が立てられないのは、重大な国家の犯罪であろう。

  • YouTubeにアップされ大きな反響を呼んだ国会でのスピーチが全文採録されています.私も研究者の端くれとして使命感を持って取り組みたいと思います.

    (1) 最新の技術を駆使した食品検査を
    (2) 住宅の汚染を検査する“すぐやる課”を
    (3) 自分達で緊急的除染をするときは土ぼこりに厳重注意
    (4) 行政による長期的な除染は住民の同意のもとに

    というのが本書の提言内容となります.これ以外にも重要事項が数多く散りばめられています.とりわけ専門家の役割について強く言及されている書です.

  • 子どもと妊婦を守れ! 7/27の衆議院厚生労働委員会で涙ながらに訴え、日本中を戦慄させた著者の、あのスピ-チの全容と補筆解説。

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