誤認逮捕 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982314

作品紹介・あらすじ

逮捕-その瞬間に、人は人格を否定され、社会的には市民としての権利を失う。にもかかわらず、一説には全国で1日1件は誤認逮捕があるという。ごく普通の一般市民が、なぜ「してもいない犯罪」の犯人にされてしまうのか。指紋の取り違え、目撃証言の過信、不十分な裏付け、悪意ある第三者の偽証など理由はさまざまだが、狭い取調室で理不尽かつ屈辱的な思いをするのは間違いない。窃盗、痴漢、薬物取締法違反から、ひき逃げ、放火、殺人まで誤認逮捕された実例を取り上げ、現代警察機関の問題点を指摘した一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 文字通り、誤認逮捕について語った一冊。

    主に警察側からの視点だったが、誤認逮捕の恐ろしさを改めて感じた。

  • 久保博司『誤認逮捕』(幻冬舎新書)は日本の警察の誤認逮捕を取り上げる。誤認逮捕の事例が豊富である。日本の警察は誤認逮捕だらけとの印象を受ける。初歩的なミスで誤認逮捕が起きている。民間企業では一般化している業務遂行者と承認者の権限や職責の分離ができていない。そのために犯人と決め付けた見込み捜査が突っ走り、誤認逮捕や冤罪が生じる。自分達の点数稼ぎだけで、市民の人生を破壊しても何とも思っていない。
    誤認逮捕された人は、自分はしていないのだから、警察に行って話をすれば分かってもらえると思っていたという。見込み捜査を進める警察は、話を聞くのではなく、犯人にできる材料を見つけることしか考えていない。それならば取り調べには完全黙秘が対策になる。
    本書は誤認逮捕が現実に多数起きていることを紹介する点では大きな価値がある書籍である。これに対して、本書の主張にはあまり同意できない。誤認逮捕が起こりうることは認める。しかし、現実の誤認逮捕事例は、「誤認逮捕が起こりうることは仕方がない」で済ませるにはあまりにも杜撰である。まず、そこを改善しなければ話にならない。その改善は民間企業の業務フローが役に立つだろう。
    精密司法に対して、米国流の「あっさり起訴して、あっさり無罪」は一つの選択肢になる。しかし、逮捕は人権を大きく制約するものであり、「あっさり逮捕して、あっさり無罪」はあってはならない。誤認逮捕した警察官が同じ目に遭わなければ相互主義とは言えないだろう。誤認逮捕の被害者がその後の人生を自暴自棄になったとしても非難できない。過去を忘れて前向きに頑張って生きることを期待する資格はない。

  • 誤認逮捕は免罪につながる
    警察の威厳をタテにしないできちっと捜査してほしい

  • 実際の冤罪の事例も掲載されていてわかりやすいが、恐怖も覚える。
    以下、本書で気になったところのまとめ。

    警察のノルマのために、軽犯罪法で検挙する。
    銃刀法にも違反しない小さなナイフ(刃渡り6センチ以下)でも、職質で所持の理由を聞かれ「護身用」だと答えたら即、検挙されるらしい。狩り場は秋葉原。

    「やりました」という自供ほど強力な証拠はないそうで、冤罪事件の多くは、誤認逮捕された被疑者が精神的、肉体的拷問に堪え兼ねて自白。
    日本では、捜査段階で自供すると、ほとんどの裁判官が有罪を認める。

    P180 「捜査側が誤認逮捕を認めるのは真犯人が出てきた場合だけです」

    万が一、誤認逮捕されたら『一貫して否認する』ことが大切。

  • 全体的になんとなくうさんくさい。

    「1日1件、年間365件の誤認逮捕があるという風説」をどっからともなく持ち出してきて、詳しい検証も加えることなしに「誤認逮捕だらけな日本」として話を進めてしまったり、筆者の長年の取材経験からこうだ、とか言って勝手に取り調べの状況描いたり。構成も事例の羅列ばっかで飽きる。

  • 誤認逮捕の羅列に終わってるような印象が強い。
    途中でだらけてくる。
    最後に少し足利事件を継ぎ足しみたいに書いてる。
    著者の思いが伝わってこない。

  • 2011年11月15日、読了。

    どうも退屈な本であった。読みやすくはあるんだけれど。結局のところ、誤認逮捕は警察の思い違い、真犯人のなすり付けなどにより発生するものであり、人間である以上誤認逮捕は必ず発生する。

    一番最初に紹介された、ATMで金をおろそうとしただけで犯人扱いされ警察に取り押さえられ、挙句命まで落としてしまった人の話は衝撃的だけれど、それ以外の話はどこにでも転がっているような下らない話。まぁ、それだけ誤認逮捕はありふれた下らないミスや人間の醜さ、見栄から発生するということか。

    作者の見解も凡庸。本当に専門家なのだろうか?ただ警察組織のノルマ主義に怒りを呈し、嘆いているようにしか感じない。誤認逮捕がすぐ身の回りにある事を主張し、それを防ぐために「手帳で何日何時に何をしたか詳らかに記録すること」が重要と述べているけれど、身の回りに逮捕された人間なんてそういないのに、誤認逮捕に備える人間なんているのか?

    とにかく、自らが警察に、全く身に覚えの無い容疑で逮捕されたら徹底的に黙秘を貫こうと思った。

    星三つ!

  • この本のタイトル「誤認逮捕」とは一生関わりたくないと念じていますが、事故のように巻き込まれてしまった実例がこの本には満載されています。不幸にも一度巻き込まれてしまったら、無実であっても身の潔白を証明して実生活に戻ることは難しいようです。

    普段の生活においても自分のおかれている境遇をわきまえて行動すべきであることをこの本を読んで再確認しました。

    以下は気になったポイントです。

    ・警察は逮捕から48時間以内は被疑者を独自に拘束でき、それを超えると身柄は警察にあっても検察の管轄下になる(p44)

    ・地元紙にとって最大の情報源は警察なので、それを敵に回すことは糧道を断たれることを意味する(p62)

    ・犯罪認知で最も多いのは、被害者や被害関係者による届出で90%、警察活動によるものが6.5%、警備会社等からの届出等となる(p68)

    ・殺人だけは毎年93%以上の検挙率をあげている理由は、1)殺人以外の事件は警察のさじ加減が可能だが、殺人は見過ごせない事件、2)捜査一課の士気の高さ(p70)

    ・窃盗事件は捕まった場合も刑罰の重さに上限があるので、必要最小限しか送致しない(p72)

    ・日本では捜査段階で自供していれば裁判官はほとんどのケースで有罪を認める(p157)

    ・警察独自による拘束は48時間しか認められていないが、任意同行は事実上無期限の拘束が可能であり、誤認逮捕も回避できる(p184)

    ・危ないと思った場合は、住所・氏名・年齢などの基礎的情報以外は黙秘を貫くべき(p203)

    ・刑事訴訟法198条2項「取り調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ自己の意思に反して供述する必要が無い旨を告げなければならない」(p203)

    ・憲法34条「何人も理由を直ちに告げられ、かつ直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ拘留または拘禁されない」(p203)

    2011年11月6日作成

  • 新聞広告で見て、
    なんとなく面白そうだと思って買ってみた。

    中盤までは誤認逮捕の事例を延々と挙げていて、
    それに対する考察も特になく退屈と言えば退屈。

    虚偽自白や足利事件に関する章は興味深かった。
    やってなければ絶対自白なんてするはずないのに、
    …って思っているけど、どうも取調室では
    執拗な取り調べに精神異常をきたすらしい。

    ホントの悪人もいるだろうから分からんでもないが、
    睡眠商法まがいの取り調べがあるとすればどうかと思う。

    自分の身にふりかかったとしたら気を付けねば。
    とにかく「一貫して否認」だとのこと。

  • 内容が薄い。
    ほとんどただの事例紹介。

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