大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982482

作品紹介・あらすじ

3人に1人はがんで死ぬといわれているが、医者の手にかからずに死ねる人はごくわずか。がんは治療をしなければ痛まないのに医者や家族に治療をすすめられ、拷問のような苦しみを味わった挙句、やっと息を引きとる人が大半だ。現役医師である著者の持論は「死ぬのはがんに限る」。なぜ「がん死」がお勧めなのか。自分の死に時を自分できめることを提案した、画期的な書。

感想・レビュー・書評

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  • 祖父は病院で亡くなった。痰の吸引が本当に苦しそうだった。あれは点滴のせいだったのか。高齢者に対して積極的治療は必要ないと大きな声で言えないところがある。胃ろうを断ったら、親戚から「餓死させるの?」と言われたという知人もいた。コロナ禍の今、日本人の死生観というものが問われていると思う。死をタブーとせず、もっとあっさり考えてはどうだろうか?父は寝たきりで自宅で過ごしている。身体は弱ってきてるが、まだ食べられる。今のうちに食べたい物食べさせてあげよう。そしてお酒も飲んでます♪

  • とても興味深い内容がぎっしり。読んで良かった。

    ・末期癌が進行していても気づかないのは痛みがないから。
    ・癌は治療と称して攻撃しなければ痛みはない。
    ・癌の治療薬は8割の人に効果がなくても承認されている。
    ・健康診断は数値で「異常」を作り出す場

    これまで信じ込んでいた「常識」がことごとく覆された。
    病気になったら治療を受けるものと思っていたが、それがまず思い込み。
    治療を受けるかどうかというところから選択肢が始まっていると認識するべき。
    医療に対して受け身にならないために、選択肢の一つとして知っておくべき本だと思った。

  • 京都の特養老人ホームの診療所長として「看取りの医療」を日々実践しながら、医師による延命治療の拒否を唱え続ける中村医師。人間にとって最高の死に方は「自然死」であるという持論を展開し、前項の近藤氏との共著・『どうせ死ぬなら「がん」がいい』(2012)で医療の常識を覆した。半世紀にも渡る医療経験に基いて、人間とは死に方・死に時を自分で決めるのが幸せと結論付け、「今を輝いて生きるために」をキャッチコピーで1996年から主宰する「自分の死を考える集い」では、自ら死装束を着て棺桶に入る「模擬葬儀」によって人生を考え直すという超ユニークな活動で高齢者たちから絶賛を浴びている。「生きる」とは「逝きる」こと、と教えてくれる一冊。

  • 人間はいつか死ぬ、ということを理解したのは小学校に入ったころ。両親も、妹たちも、自分も、必ず死ぬんだということが悲しくて怖くて、毎晩泣いていた変な小学生でした。その後、「終わりある人生なら太く短く生きる!」と宣言する変な中学生となり、随分なオトナになってしまった今。私にとっての「大往生」は、「面白い人生だったなあ」と思いながら一生を終えること。そのために、日々精一杯過ごそうと思います。
    ・・・と、前置きが長くなりましたが、そんな私の興味を引いたこの本のタイトル。現在特別養護老人ホームの常勤医師を務める著者の主張は、自分らしく人生を終えるためには自然死が一番だから、医療にかかわっていはいけない、ということ。終末期における高度医療を、「患者にとっては拷問のような苦しみ」と表現しています。
    とてもとてもデリケートな問題ですが、少しでも長く生きてほしいという家族の気持が、当人の苦しみを増す結果だとしたら、それは家族のエゴなのか。また、自分自身が死にゆく順番になった時、どうありたいか。
    いろいろ考えさせられる一冊です。

  • 人に治癒力を妨げる治療をするのは理に叶わない。老衰で人が死ぬとき、自然と食べられなくなり、水も喉を通らなくなり、安らかに死に向かっていく。体内は飢餓状態、脱水症状、二酸化炭素過多となっているがいずれも脳内麻薬が分泌される状態で本人に苦痛は一切ない。しかし、医療がするのは点滴や胃瘻で無理やり生かすこと。これが本人にとってどれほどの苦痛になるか。
    なるほどと思ったもう一つの点は、「病床が減り死亡者数が激増する中で病院で死ぬ人に数の限りがでる。相当な人が自宅で死ぬことになろう」と。

  • この本に書かれているような自然な枯れ方を選ぶ人が、増えてくればいいなあと思います。

  • 自分のからだにまつわることは自分で決める。病気にかかるのは嫌だ。ワクチンも打つし予防医療には全力を注ぐし健康寿命は長いほうがいいのだけれど、自然の流れに争いすぎるのもどうだろうか、と思う。この世にあるものはなんでもコントロールできると思い込んでしまう現代に、改めて確認しておきたい内容。

  • 大往生するには。自然死は餓死であり、余計な事は必要ない。治すためと称したパターン化した医療措置は、患者を苦しめ、穏やかな死とは縁遠くなる。
    穏やかな死を迎えるには。
    まさに必読書とも言える一冊。

  • 正しいこともいい加減なことも合わせて書かれており、読み手のリテラシーを試される本。
    「検査の基準値が95%の人が収まる範囲とすると、30項目だと20%になるので8割の人は何かでひっかかる」とか数値的なところは特に胡散臭いです。
    心構え的な部分は良い話が多い。ここに書かれていることを実践していればOKというわけではなく、自分で考えて選択しないと医者に勝手に期待してしまい、失望させられますよという話と認識。

    模擬で棺桶に入るイベントとかは面白そう。

    おじいちゃんとかが読む本や雑誌にはこういう内容が書かれているんだなと知れる。自分は30代だが、若いうちに読んだ経験は、脳が鈍ってくる頃に役立つ気がする。

  • 高齢者への延命行為の問題の話です。
    延命は拷問のようなものである。なにもしないことは死ぬ人も看取る人も覚悟は必要だが、老いは病気ではない、死は100%死ぬものであるから日頃死を受け入れる準備をしておこう、という内容。
    読みやすく、(ブラック)ユーモアもある口調で書かれているので少し笑いながら楽しんで読めました。

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著者プロフィール

医師・社会福祉法人「同和園」附属診療所所長

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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