コミュニケーションは、要らない (幻冬舎新書)

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著者 : 押井守
  • 幻冬舎 (2012年3月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982550

コミュニケーションは、要らない (幻冬舎新書)の感想・レビュー・書評

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  • 押井守の作品ってどうもゴダールっぽい。「攻殻機動隊」にしても「パトレーバー」にしても。それは、過去の作品の引用の仕方であったり、やたらと多い独白だったり。
    本書の「そもそも映画とは引用することでしか成立しないからだ。」(P90 )で納得。さらに「今の時代に「創る」ということは「選ぶ」ということと同義だと僕は思っている。それ以外にクリエイティビティなんてないとすら思う。」(P91 )との言い切り。なるほどね。

    ・・・と面白いところもあるんだけど、
    全体的には、親父の小言の域を出てないのかなぁ。そんなにたいしたこと言ってない。ごくごくフツーのこと。
    「そもそも論」が大切なのはわかるけど、解決しないといけない課題を目の前にしながら、「そもそも論」を言い出す奴ほどイラつくことはないのも事実。
    日本人の論理的な言語能力が衰退しはじめたのを昭和初期と言い、さらに言文一致運動へまで遡るのには笑った。
    「本になってないものは信用しない」と言い放ち、「人を説得する言葉を並べたいのなら、一冊の本を書いたほうがはるかに有用だ。僕は多弁ではなないが、どんなに語ろうと一冊の本を書くことに勝るものはない。」「本来、文章を書きたいという欲求は極めて特殊な情熱だったはずであり、それは本になって初めて、客観的に存在することができるものだったのだ。」(P82 )
    と書く割には、全体的には論理的でなく雑。人を説得させるためには、きちんと事実をのべて説明すべきなのにそれがない。
    あと、最近の新書ですごく気になるのが改行の多さ。改行をする、というのが文章の中でどういう意味をもつのかを考えてないのでは??これって「書き言葉」とは別の「『新書』言葉」なのかも。

    ネットに書く言葉は、「書き言葉」と違ってロジックを組み立てられない、というのはうなずける。若者が、きちんとした論理的なテキストを書けないのも実感する。ただ、彼らの思考の垂れ流しのような非常に魅力的な文章を、論理的文章へと導いてあげる(というと偉そうだが)のが書き言葉で育った世代の役目なのだろう。

    うーん、他にもいろいろ残念なところが多く、押井作品を今まで通り楽しんで観れる気がしないなぁ・・・。

  • ■コミュニケーション
    1.僕は携帯電話やPCによるインターネットとはコミュニケーションツールなどではなく、世界への窓口を限定することに成功したツールだと思う
    2.マニュアルを書くというのはマネジメント能力であり、文化の違う人間などに物事のロジックを正しく伝えるという行為だ。マニュアルは作るためのものの考え方こそが大切だ
    3.結局、日本人というのは、なるべく答えを出したくない人種なのかもしれないと思う。
    4.情緒に訴える事で論理的な思考を麻痺させ、正しいとか正しくないとか言い合ってコミュニケーションをはかったつもりになり、その判断の積み重ねで、今の日本になってしまった。
    5.人間が考えるべきことは、自分の人生とどう向き合うのかだ。今生きている人間にとって一番大切なのは、死生観であり、もっと言えば、死とどう向き合うかだけだ。
    6.問われるべきは知識ではなく覚悟なのだ

  • アニメーション・実写映画監督 押井守(おしいまもる)の論説。
    押井守が手がけたものとして「うる星やつら2」「機動警察パトレイバー」「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「イノセンス」「スカイ・クロラ」「アヴァロン」などが挙げられ、個人的に大好きな映画監督だ。

    この本は押井守の根源に焦点を当てた論説で、とくに3.11後の頑張ろう日本運動や原発反対運動やネット礼賛について、かなり根の部分から世間の空気感(情緒)を批判的にとらえたものだ。

    その指摘は、ある種の暗澹たる世相に深く根を張るもので、爽快さはまったくない。
    読了後も深く落ち込んでしまうような内容だ。

    また、全編を通して、"かような日本・日本人"について深く考えさせられる内容となっている。


    コミュニケーションとは何か・・・上辺だけの活動とならぬように反省も生まれる。


    終末にこう書かれている
    『問われるべきは知識ではなく、覚悟なのだ。』と。

    読者に鋭い視線を投げ掛けてくれる良書だ。

    ミーハー的な感覚で手に取ったのだけども、かなり深く考えさせられた。

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    【目次】
    第1章 コミュニケーションのできない日本人
    第2章 僕は原発推進派である
    第3章 曖昧な言葉が生む無責任な世界
    第4章 日本はまだ近代国家ではない
    第5章 終わりなき日常は終わらない
    第6章 自分の頭で考える―本質論の時代
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  • 2012/4/15読了。

    現在までに読んだ、震災に言及する本の中で最も核心に近い部分をついていると感じた。その大きな要因は、空間的(日本と世界)、時間的(過去から未来まで)、学問的(政治、技術、経済)に俯瞰して語られていることにある。
    時間軸だけで見ても、世間に溢れる震災に関する議論のほとんどは、論点が目先の事象に囚われてしまっている。例えば、原発に関しては、数年先の経済のことも考えられていない。技術面では廃炉から処分まで、数万年単位で語られなければならないのに、である。
    自分には将来への長い視点はあっても、過去への視点はなかった。ここで、そもそもなぜ原発ができたか、という論点を獲得できたことは貴重。

    震災やそれにまつわる議論・世間の反応の経過を通して、日本人の特性について語られる点も魅力の一つであろう。浮かび上がったいくつかの問題点を鋭く指摘している。
    聞こえの良い、何となく喜ばしい気持ちになるような日本人論に飽きた人に、ぜひお薦めしたい1冊である。

  • コミュニケーションは本来自分と相手は分かり合えていないのを前提に行われる。日本語は「みなまで言うな」だから論理が弱く議論が成り立たない

  • 「コミニケーションには
    ①関係を維持するためのもの[ウソお世辞を含む]と、
    ②本音で議論するためりものの2つがある。」
    「日本には議論のための空間がない」
    「本当の知識は重いものだ、獲得するには労力がいる、WEBで得られるものとは異なる」
     
       などなど重たい本質論が繰り広げられる。
    職場でこんなことを言っていると嫌われるだろう。
    押井監督も嫌われているそうだ、

  • タイトルに釣られて、しょうもない本かと思っていたら、結構いい本でした。
    学生運動に参加していた過去があるたげに
    左な思想なのかと勝手に思い込んでいたが、
    本読み進めて行くうちに非常に真っ当な保守思想の持ち主である事が感じとれた。
    著者がどう思っているかはわかりませんが。

  • 覚悟と責任がない。

  • 有名なアニメーション監督の押井守氏の日本人論を読了。或る意味過激な論調だが非常に考えさせられる現在の日本人が必要としているものに関して考えさせられた。多くの人に読んでほしい。

  • 思考エネルギーがじわじわと湧いてくるようで興奮しながら読んだ。
    少し大げさに言うと、脳みそをシャッフルされるような感覚、脳の血流が早くなっていく感じ。

    著者の映画は、一作だけ観たことがあるのだが、「みんなが戦争を忘れたふりをしているのなら映画で戦争を作ってやろう」という言葉に、戦闘シーンに感じた嫌悪感は、まさに著者の意図するところだったのだと合点がいった。

    日本人の言語能力の低下の原因の一つに、言文一致運動を挙げている。
    言文一致で、文語体が口語体になることにより、ロジカルな思考から遠ざかったのである。
    また、このことを遠因として教養もなくなりつつある。
    そのくせ、お手軽な知識だけを得ようとする。
    この部分には、耳が痛かった。
    労せずして、知識を得たいという思いは私の中にもあり、読書をする際に枝葉の部分は意味のないものと見なしてしまうことがあるからだ。

    クラウゼヴィッツの『戦争論』という本は、とても読みにくい本であるが、その理由はクラウゼヴィッツが軍人であり、言いたいことを自由に言えないため迂遠な言い方がされているからだという。
    そのような時代背景を知ることで、はじめて理解が出来得る。

    読書だけでなく、バックグラウンドを知ることなしに本質にはたどり着けない。

    全体的に、安易に、表面的になっている現状は、コミュニケーションの仕方に一端があるようにも思う。
    日本の国土がそうさせたのかは分からないが、気質で片づけていい話ではないし、こういう話を堂々と議論出来るようになったらなと思う。

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コミュニケーションは、要らない (幻冬舎新書)の作品紹介

ただ気分を吐き出すための言葉をネットに書き散らし、不確かな言説に右往左往する。そんなものは、コミュニケーションではない。日本人は「現状維持」のために協調性ばかり重んじて、本質的な問題について真剣に「議論」することを避け続けてきた。そのツケがいまの社会のひずみとして表面化しているのだ。
『うる星やつら』『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などで世界で高く評価される映画監督、押井守が語る日本人論。

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