防衛省と外務省 歪んだ二つのインテリジェンス組織 (幻冬舎新書)

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著者 : 福山隆
  • 幻冬舎 (2013年5月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344983083

防衛省と外務省 歪んだ二つのインテリジェンス組織 (幻冬舎新書)の感想・レビュー・書評

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  • 防衛省と外務省。二つの『機密情報』を扱う組織を経験した筆者だからこそ書ける本です。経歴の関係上、防衛省、軍事関係よりの話になっておりますが、「インテリジェンス」の重要性がよくわかります。

    本書は防衛省から外務省に出向し、大韓民国駐在武官として朝鮮半島のインテリジェンス業務にかかわり、93年にはあの地下鉄サリン事件の除染作業を指揮したという経歴を持っておられる方で、外交と軍事。この2つを司る組織に時に板ばさみになりながらも、扱う情報の「ちがい」について浮き彫りに記したものです。

    『インテリジェンスは国家の「防寒着」』
    と語る筆者が「インテリジェンス不在」の日本の現状を憂い、軍事と外交のインテリジェンス能力を以下に強化していくかという提言が、自身のアメリカ留学などの経験も踏まえて、具体的な筆致で描かれておりました。

    戦中までは日本も世界に冠たるインテリジェンス大国だったわけですが、現状ではすっかり『やられ放題』となっているのだそうで、僕自身がこの世界にかかわることはおそらくないかとは思われるのですが、今後、できることなら日本にはしっかりとした『インテリジェンス機関』を整えていっていただきたいものでございます。本書では二つの情報機関を熟知した筆者だからこそ書けたのであろうと推察せられ、ここでいうところの「情報」が意味するところとは一国の運命を左右するものでありますので、慎重な扱いが求められるところであると本書を読んでそんなことを考えてしまいました。

  • 著者は外務省出向経験もある元陸将。
    自己の経験などをもとに、インテリジェンス組織としての防衛省と外務省、日本のインテリジェンスの問題点を語る。
    ところどころ根拠が明示されてない陰謀論的な記述が気になる。外交や防衛の機微に関わる話でソースは明かせないっていうことなのかもだけど、そう考える根拠が分からなきゃ、読んでる方としては単なる妄想としか思えない。
    筆者の独自の経験に基づく話は興味深くはあるのだけど、むしろ筆者独自の経験以上の裏付けがないところで、話半分で読まざるをえないというか。
    地政学的なこれまでの朝鮮半島の位置付けを磁気分極に例えていたのはわかりやすかった。周辺の磁力に影響を受けて磁化する鉄片としての位置付けが朝鮮半島から日本列島へと移りつつあるという話はぞっとさせられる。
    日本のインテリジェンス機能の再構築という話は概ね納得できる。
    インテリジェンス機能の発展は必然的に人権の抑制と全体主義的傾向をもたらすが、その痛みを伴う荒療治によって、悪化する周辺情勢に対応するためのインテリジェンス能力を高めていかなければならないとの筆者の主張は慎重に考える必要がある。特定秘密保護法とかがこの動きに含まれるんだろうか。
    いろいろとインテリジェンスというものに興味がわいたので、いろいろ読んでみたい。

  • おれの抱くイメージとおりの元自衛官の文章で、突っ込んだ話、専門的な話には触れられていない。
    インテリジェンス機関は国家の防寒着で、取り巻く環境が寒くなれば厚手になる。第二次大戦から厚着した米国と違って敗戦で厚手のコートを脱いだ日本。戦後は日米安保条約を所管する外務省が第一国防省、自衛隊を所管する防衛省が第二国防省といった状況だった。外交インテリジェンスは戦略情報だけだが、軍事インテリジェンスは戦略情報だけでなく作戦情報、戦闘情報も扱う。また、外交インテリジェンスは個人プレーになりやすいが軍事インテリジェンスは組織プレーが重要になる。RMAの中核的な要素であるC4ISRが示すとおり、軍事において情報は大きな意味を持ち、インテリジェンス活動も様々。安全保障は一元化されてるのにその他の分野では外交は一元化されていない。それから地政学の話。

  • タイトルはイマイチだけど、インテリジェンスの基本を知るにはいいと思う。

  • 先日、高校の同窓会で自衛隊で働いている友達と話した。そのタイミングで書店で目にしたので買ってみた。著者の福島隆さんは、防大を卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後外務省に出向し、駐在武官としてインテリジェンスに関わる。陸将も歴任された方のようだ。

    インテリジェンスについては、ボクの中では佐藤優の本を読んだことで、その概念を認識したと思っている。今は、社会的にも一分野として認められたのではないだろうか。佐藤優の著作が注目されたからかもしれないが、インテリジェンスは外務省が担当していると思いがちだ。なぜなら、外交政策は外務省が担当していると漠然と思っているから。だが、対外政策の中には国防に関する案件もあるわけで、当然、防衛省も関与している。実際、アメリカのNSAは「軍保安局(Armed Forces Security Agency、AFSA)として設立されている。

    日本は、戦後締結した日米安保条約と、それに付随する日米地位協定が実質的な「国防」の根拠となる。そして、それを主管する外務省が安全保障政策の最前線に立っている。これは国際的に見てもかなり異例な体制とのことだ。言われてみれば、国防のことを防衛省ではなく、外務省が主管するのはたしかに妙な印象を受ける。

    戦後レジームの中で外務省が「国防」についても最前線に立ってきたこと。そして、その国防の根拠となる日米安保条約は、決してアメリカ的良心から友好国日本を助けるためのものではなく、アメリカにとって意味があるから助けるということ。さらには、アメリカの意向に沿った形で日本の「国防」の姿が形作られてきたこと。こういうことに対して、著者の福島さんは問題提起をする。

    では、そのアメリカという国は、どういう国なのか。そして、今後のインテリジェンスのあり方はどうあるべきかと展開する。

    アメリカの分析や、インテリジェンスについての自論は興味深い。防衛省の視点での日米分析、情報戦略分析を知るには良書だと思う。

  • 会社の先輩からお借りしました。

    政治経済の教科書のイメージで読み始めたけれど、ヒューミントやシギント、イミント、マシントetc…色々な諜報手段の説明が出てきて思いのほか面白かった。

    防衛省と外務省を「インテリジェンス組織」として捉え、その旧体制的な縄張り問題を批判的に述べています。

    開国前のインテリジェンス途上国から、インテリジェンス先進国としての近現代、そして戦後再び弱インテリジェンス国へ。

    Big Data→Intelligence→Strategy。このサイクルの質と量と速さが要。。。

  • ○元自衛官、防衛省(庁)職員によるインテリジェンスに関する著作。
    ○防衛省の勤務経験と外務省の出向経験を踏まえ、それぞれが取り扱う「情報」「インテリジェンス」の異なりを対比的に説明。
    ○著者の経歴上やむを得ないが、外務省に否定的な論調。
    ○事例等が単調で面白味に欠ける。

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防衛省と外務省 歪んだ二つのインテリジェンス組織 (幻冬舎新書)の作品紹介

本来、情報の世界では、軍事と外交は別個の役割を担う。言うまでもなく外交情報は外務省の管轄だ。しかし日本では軍事情報もアメリカからまず外務省に入る場合が多い。そして外務省はそのすべてを防衛省に伝えるわけではない。縄張り意識と省益主義のなせる業だ。東アジアの緊張が高まる中、このままでは、緊急の危機に対応できない。今こそ、つまらぬ意地とプライドを捨て、両分野のインテリジェンス組織を正しく構築しなおすことが急務だ。二つの情報機関を熟知する著者の緊急提言。

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