ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体 (幻冬舎新書)

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984073

作品紹介・あらすじ

開成、筑波大学附属駒場、灘、麻布など進学校の中学受験塾として圧倒的なシェアを誇る「サピックス小学部」。そして、それら名門校の合格者だけが入塾を許される、秘密結社のような塾「鉄緑会」。なんと東大理3の合格者の6割以上が鉄緑会出身だという。いまや、この2つの塾が日本の"頭脳"を育てていると言っても過言ではない。本書では、出身者の体験談や元講師の証言をもとに、サピックスひとり勝ちの理由と、鉄緑会の秘密を徹底的に解剖。学歴社会ならぬ「塾歴社会」がもたらす光と闇を詳らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • ルポ東大女子を読んで、それ以前の流れを知りたくなり読んでみた。
    日本の東京または大阪近辺に住む、極々僅かな富裕層のご子息ご息女方の受験話です。はい。
    これらの極々一部のエリート達が日本の中枢を担っているのだろうが、最短距離で駆け上がることの弊害、回り道する事で見える景色なども書きながら、ただそこで終わっているのが残念な気がする。もう少し踏み込んで、その先の未来像などにも言及して欲しかった。
    著者自身が麻布→東京外語大なので、そのエリア外への接点も興味もないのかもしれないけれど。
    2019.2.14

  • 針間貴己さんのお父さん(克己さん)がある日買ってきたという本。

    サピックスや鉄緑会がやはり東京の受験の鉄板ということに驚き

    とてもリアルな塾事情が書かれている

    ・要領がよく、東大医学部も涼しい顔をして合格してしまうような生徒でないと鉄緑会を使いこなせない。

    ・宿題が6〜7時間もかかってしまい、「型」を使うのではなく、「型」を覚えるのに必死になってしまう

    ・鉄緑会を利用しなくても東大医学部に進む子もいる
    ・それほど学力なく、部活をがんばりたくて、塾に時間を取られたくない生徒は平岡塾やSEGに通っていたようにおもう。最近はグノーブルも

    ・筑駒学生:学校は楽しかった。実験もできるし。鉄緑会は数学の受験実践では最適

    ・鉄緑会は直近で受験経験のある東大生が教えてくれる

    ・成増塾:高校2年制の部活引退から詰め込むスタイル。門脇 渉先生

    ・鉄緑生は馴れ馴れしい印象。

    ・東大は塾繰り人間よりもラグビーを頑張ってきて、1年浪人した人のほうがほしいはず。

    ・自分にあった塾や学習スタイルを
    ・一番を目指して理Ⅲに入ったが、医者になる気持ちはなかったり、その先の目的を見失っては本末転倒

    ・山崎葵さんは鉄緑会入塾下が受験に失敗、駿台にいって私大医学部も仮面浪人で千葉大医学部(バランスの良い人間が多かった)
    姉は東大卒も尼さん

    ・開成生、鉄緑会の1教科あたり2〜3時間で宿題終える。塾はペースメーカー。部活も両立。

    ・築駒は自由な校風。鉄緑会の内職も
    ・桜蔭は鉄緑式回答は減点

    ・小学生はくもんをしていて、鉄緑通いながら東進の東大特進に数千円で通って無料で自習室

    ・デッサンやかけっこが苦手でもそれほど追求されないが、勉強は努力不足と言われる。勉強することとできることは違う、ほどほどはできなくてもいいからすることが大切だと著者は思う。

    どの塾を選ぶかはその子次第。

  •  「サピックス→鉄緑→東大」という「王道のエリート教育」の姿を、塾関係者、学校関係者、生徒自身、生徒の保護者という4者の声を集めて描き出し、どんな生徒がこの王道路線を歩むにふさわしいのか、私学教育の役割は何なのかについて考える本。
     結論は明快で、要するに出来る子もいれば出来ない子もいるので、出来る子でない限りはこの「王道」を歩むことでかえって潰されてしまうということ、そして潰される子どもの背後には、おそらく弱い、あるいは不勉強な(ブランドにしがみつく)親がいるだろうという事実がある、という話だった。
     東京の私学に子どもを通わす、通わそうとする人は読んでも損はない?かも。自分がそうでなくても、周りのお友達の親はこんな感じ、ということを知る意味でも。でもやっぱり親の冷静さ(良い意味での。クールすぎるということではなく。)や懐の大きさが子どもを救うのだと思った。冷静になる材料として、この本はおすすめ。
     それにしても、鉄緑生が謙虚な理由、というのは納得した。そういう環境がそうさせてしまうのか、と思った。
     著者の、全方位への気の遣いようを感じながら読む本だった。おれは関西だったからなあ、関西の「王道」について書いた本もあるのだろうか。(21/03/23)

    • mamofgrandpa5さん
      いつも参考にさせていただいています。本当にありがとうございました。
      いつも参考にさせていただいています。本当にありがとうございました。
      2021/03/27
  • ここ日本ではサピックス⇨鉄緑会という型にはめられた秀才集団を大量生産しているという現実に驚愕を覚えた。本当に医者になりたいのではなく、偏差値が高いから、No.1だからと理IIIに進む秀才達。彼らの生き方もあまりにも型にはめられすぎている。

    世界ランキングで東大は上位に入れず、ノーベル賞受賞も少ない。今後は我が子を王道に進ませたいのなら東大ではなく、海外の大学を視野に入れるべきではないだろうか?実際御三家在学中のエリート達は東大ではなく、海外の大学を目指す学生が増えているようである。
    日本の大学入試改革を待っていたら遅い。
    伸びしろのある秀才を育てていく道を探っていきたい。

  • 有名私立に通学していても塾に行く必要があるなんて。鉄緑会のことを初めて知った本。勉強のやり方がわかっていて量をこなせる人ならいいのかな。回り道してるエピソードとかは親がどうにかしてあげたら良かったのにとも思えた。勉強だけじゃダメだぞ、とかいうけど勉強は大事だから難しい。

  • 塾歴が問われるのだとしたら、異常だとしか思えない。
    競争して消耗して幸せになれるのだろうか。

  • 読み終わっても、モヤモヤした気持ちが続いている。
    このモヤモヤはなんだろう?
    感想を書きながら、気持ちを整理してみたい。

    2016年に発行された本だが、2023年の今もSAPIX、鉄緑会の独走状態は変わらないので、状況は変わっていないのだろう。
    著者の他の本で、「偏差値の高い大学に行かせたいだけなのであれば、中学受験せず、学校に行かずに塾だけ通ったほうがいい」とあった。
    ならば、学校で鉄緑会の宿題を授業中にしてまで、学校に行く意義は何なのか?
    P121で、『学校は国籍で、鉄緑会は結果にコミットしてくれるトレーナー』と書いてあり、結局は、学校は人脈づくりのためなのか?、それとも筑駒や開成から東大へという箔付けのためなのか?。
    もちろん、それらを否定するものでもないし、社会に出てから、仕事をする上で、人脈は欠かせないものであろう。
    結局のところ、使う人によって、薬にも毒にもなる、薬になる子(処理能力が高く、地頭の良い子)には、強力な武器となるし、毒にしかならない人が無理して使うと、悲惨な結果を産むことになるというのがこの本で書いてあることの闇なのだろう。
    そもそも、中学受験の目的が、「高校受験をせずに、部活や様々な経験をして、のびのびと過ごしてほしい」のか、「トップレベルの学校に行って、トップ層のなかで切磋琢磨して更に上を目指して欲しい」のかでも、親のスタンスがだいぶ異なるような気もするが。

    私立中高一貫校では、学校によって、校内で補習もしてくれるので、塾なしで大学受験に対応できるというところもある。ただでさえ、学費がかかるのに、プラス塾代までかかるのは、家計的にも大変なので、我が家には大変魅力的に思えるのだが、お子さんを東大に合格させた友人に話を聞くと、「大学受験勉強は塾に任せたほうがいい。そこはプロにまかせるべき。」とのこと。
    やはり、塾が持っているスキルや情報は、捨てがたいらしい。

    これは、自分の教育信念をしっかり持っていないと、この情報過多の時代ブレブレになって振り回されそうだなと強く意識した。
    SAPIXや鉄緑会は、我が家には縁のない世界の話と思って読んだが、そういう気づきがあった本としては有益だったと思う。

  • タイトルの2塾について読みたくて。著者の持論の「平等」には、ちょっと疑問符。

  • ふむ

  • SAPIX、鉄緑会。どちらも知らない世界で、面白く読んだ。

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著者プロフィール

おおたとしまさ:教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートで雑誌編集に携わり、2005年に独立後、数々の育児・教育誌のデスク・監修・企画・編集を務め、現在は教育に関する書籍執筆および新聞・雑誌・webメディアへの寄稿を行う。テレビ・ラジオなどへの出演や講演も多数。心理カウンセラーとしての活動経験、中高の教員免許、私立小学校での教員経験もある。著書は『ルポ名門校』(ちくま新書)、『勇者たちの中学受験』(大和書房)、『不登校でも学べる』(集英社新書)など80冊以上。オフィシャルサイト:http://toshimasaota.jp


「2024年 『学校に染まるな!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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