人間の煩悩 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984288

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤愛子さん、93歳なんですね!
    この本にあるのは今までに書かれたものから抜粋したもの。
    その中から私が4つ抜粋してみます。

    「私は剛情な人間だが、尊敬する人の言葉は必ず信じてすぐに実行する素直さがある。
    欠点の多い私の、これだけは唯一のよいところといえるだろう。」

    私もなんです!親しみを感じました。

    「みんな、自分の物差しでものごとを測る。
    物差しを沢山持っている人は、沢山の物差しで測る。
    だが沢山持っているために、却って真実から遠ざかることもある。
    私自身、四十代の物差し、五十代の物差し、六十代、七十代の物差しで自分を語ってきた。
    だがどの解釈が一番正しいかはいえない。
    今私にいえることはそれらの解釈はみな(人の解釈も含め)佐藤愛子の「部分」だということだ。
    ではそれらの部分をひっくるめたものが全体像かというと必ずしもそうでもない。
    それ以外にもまだいろいろある。弱かったり強かったり。
    言葉でいえるほど人間は単純なものではないのである。」

    さすが長く生きてこられただけのことはある、と恐れ入りました。

    「何のかのといっても、やはり人間は善意には目がくらんでしまうのだ。
    我々は善意にこそ用心しなければならないものなのに。」

    肝に銘じたいお言葉です。

    「私には、まずいものをおいしいといいつつ食べる食事会は楽しくないのである。
    が、そうかといって、まずいものでもおいしいといって食べるのがおつき合いだと思っている人たちもいることは確かなので、要するにこれは気質の問題なのである。
    変人は変人と、常識人は常識人と、それぞれ気質に合ったつき合いが楽しい。
    だが、そうはいっても変人が常識人とつき合わねばならない場合があるのが世の中である。
    そのつき合いは楽しくはないだろうが、これも人生の修行になると考えることだ。
    そう思えば、逃げることもないのである。」

    ずいぶん修行されてきたのでしょうね。
    これからも元気でご活躍ください。

  • 度々「すみませんでした」と
    謝りながらも最後まで
    楽しく読ませていただきました。

    そして愛子さんの文章の
    芯のあるユーモアで
    元気も出ました♪

    長生してくださって
    あざーす!

  • 今までの佐藤愛子さんの小説、エッセイの中から項目に添った文を抜粋した本になっています。

    抜粋した本のタイトルが書かれていて、それを見ると今まで読んだ本ばかりでしたが、見事にどの話も忘れていました。
    だけど、多分、その時読んで思ったのは共感できるな、とか好感がもてるものだったように思います。
    今回この本を読み終わって感じたのもその通りでした。

    そして、佐藤愛子さんは私の先を歩いている方だと思いました。
    もちろん、人生の先輩なのだからその通り、当たり前のことですが、ただ年上の人で色んな事を書かれていても腑に落ちない・・・というものがほとんど。
    だけど、この本に書かれていることは共感できるものも、私の考えとは違うな・・・というものも何となく腑に落ちてしまう。
    これはこの本に書かれている言葉によると、私の「波動」が佐藤愛子さんの「波動」に共鳴できるからじゃないかと思います。

    例えば、「何故人を殺してはいけないのか」という質問に対して。
    以前、そんな質問をされた事がありますが、それに対する答えが私がその時答えたものと全く同じで「わぁ!」となりました。

    こういう本は読んだ時の心理状況とか、年代によって響くものが変ってきますが、私が今回印象に残った話は死後の話について。
    以前はこういうのは眉唾ものだと思ってうさんくさい・・・と読み飛ばしていたものが、へそくりの行方が気になるというそんなささいな事でも成仏できない霊がいる、霊という存在について、死後人はどうなるのか、という話が印象的でした。
    そういうのがある、ないに関わらず、執着やら思いを残したくないものだ、そういう生き方をしたいと思いました。
    また、「神に願い事をしてはならない」という言葉も興味深かった。
    神様というのはそこに存在しているだけ。だから感謝の念を送るだけでよいのだと。
    その感謝こそが先に書いた「波動」を上げることなのだ、とあり、「ああ、そうだな・・・」と素直に思いました。

  • 何がめでたい、が流行った時に読みそびれたので、それより新しい本書を図書館で順番待ちしていました。

    中身を確認せずに予約していた私が悪いのですが、この本は書下ろしではなく、著作の断片の寄せ集めで・・・要するに流行に乗った便乗本でした。
    別に便乗本でも面白いならよいのだけど、90歳を超えた現在の考えが語られているのではなく、40年も50年も前のことから最近思ったことまでいっしょくたに編集されており、抜粋も唐突で、これで著者はよくOK出したなあ、なんて考えてしまいました。
    しかも、その出版年の記載もないから、それはいつの出来事なのか、何歳の時に感じたことなのかが分からず、当時の世相などを想像することも出来なくて、更に読みづらく感じました。
    お年を召してからの発言なのか、離婚前の話なのか、バブル期のことなのか、等々何もわからず読ませるって・・・これでいいの?

    出版社は・・・またもや幻冬舎、でした。

  • メルカリ売却

  • 死後の世界がとても興味深く拝見しました。

  • ごく大雑把に、結婚の罪の方をいうなら、まず自由がないことだろう。独身者はすべての時間を自分のものとして使うことが出来る。だがその自由の代わりに、孤独がある。孤独の中には自由という蜜があるが、同時に緊張(意識するしないにかかわらず)を伴っている。独りぼっちはうっかり病気になれないのである。メリット・デメリットは表裏一体をなしている。
    連れ合いに死なれたら女はみんな若くなる。ところが連れ合いを失った男はみな老け込んでいる。
    不運より脱出する運命の法則
    ・今日一日、親切にしようと思う。
    ・今日一日、明るく朗らかにしようと思う
    ・今日一日、謙虚にしようと思う。
    ・今日一日、素直になろうと思う。
    ・今日一日、感謝をしようと思う。
    これを毎日見で実践する。
    人間の大脳は右脳と左脳に分けられていて、左脳は物質の世界、右脳は精神の世界に対応する能力がある。現代人の右脳はよく働かなくなっていて、左脳人間ばかり増えている。物質の世界の価値観で育ち、理論や権利意識ばかり肥大する教育を受けてきた結果である。右脳(精神の世界に対応する能力)に5か条をインプットする必要がある。
    老人の価値は若者よりも沢山の人生を生きていること、失敗した人生も成功した人生も頑固な人生も、怠け者の人生もそれなりに人生の喜怒哀楽を乗り越えてきた実績を抱えている。
    人はいつか病み衰え死ぬ。どんな健康法を実践したところで、くるものはくる。健康法を実践したから長命と言う事はない、長命な人は自然に逆らわずに生きたために長命なのにちがいない。健康法のおかげで癌を防いだとか、癌の苦痛が全く無いのは健康法のおかげです、ということがあるのならともかく、何をしていても癌になる人はなる。なる時はなる。死ぬ時がくれば人は死ぬ

  • 「人間とは ?」・「人生とは ?」そして「あの世とは ?」など6つのテーマを論じながら、結局は「悩みの量こそが人間の深さ」と説くのは、大正時代に大阪で生まれた小説家で、日本の戦後ヒット曲第1号『リンゴの唄』の作詞でも知られる詩人のサトウハチローを異母兄に持つ佐藤愛子さん(95歳)。最初の夫はモルヒネ依存症となり死別、次の夫は事業が倒産して借金を肩代わりの末に離婚と、「目の前を生きるだけで精一杯」だった 波瀾万丈の日々を振り返る。 本書は過去に出版された小説・エッセーなど50冊にも上る作品の中から、ご本人お気に入りの珠玉の言葉・文章を抜粋して一冊にまとめたもので、煩悩から抜け出して元気よく生きるためのエッセンスが詰まっている。

  • 書下ろしではなく今まで書いてきたエッセイを集めた本なんですね。

    佐藤愛子さんの文章を読んだのは初めてですが歯切れのよい文章で読んできて気持ちが良いです。

    「ある時はあるように生活し、ない時はないように生活する…」という言葉は心にグッと響きました。

  • 読んでいて気持ちがいいくらいサバサバしている。

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著者プロフィール

大正12年、大阪生まれ。甲南高等女学校卒業。昭和44年、『戦いすんで日が暮れて』で第六十一回直木賞を受賞。昭和54年、『幸福の絵』で第十八回女流文学賞を受賞。平成12年、『血脈』の完成により第四十八回菊池寛賞、平成27年、『晩鐘』で第二十五回紫式部文学賞を受賞。平成29年4月、旭日小綬章を授章。近著に、『こんな老い方もある』『こんな生き方もある』(角川新書)、『破れかぶれの幸福』(青志社)、『犬たちへの詫び状』(PHP研究所)、『九十歳。何がめでたい』(小学館)などがある。

「2018年 『新版 加納大尉夫人 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤愛子の作品

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