さすらいの旅: 続・生きのびるために

  • さ・え・ら書房
4.29
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784378007823

感想・レビュー・書評

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  • 前作「生き延びるために」の続編。

    前作は、姉のヌーリアがまだ自由の残る町マザリシャリフに嫁入りすることが突然決まり、パヴァーナを残して母、妹、弟が付き添いで旅立ってしまった後、刑務所から奇跡的に父が戻ってくる。同じ頃パヴァーナは、マザリシャリフから逃げて来たという少女を助けて、その話に驚愕する。そして体の不自由な父と、家族を探す旅に出る…というところで終わった。

    続編は、その父が亡くなり墓を掘って埋葬しているところから始まる。
    どう考えても、希望的な始まりではない。
    パヴァーナは一人ぼっちになってしまった。母や姉たちの無事も定かでない。
    折れそうになる心を奮い立たせ、父の残した荷物を背負い、一人で家族を探す旅を続ける…。
    何日もほとんど食べられない状態でも、どうにか村を見つけて命を繋ぎ、危機的状況に陥っても、同じような境遇で生きる子どもたちに助けられる。
    途中、戦闘で無人になった村で泣いていた赤ん坊を拾い、また、休もうとした洞窟で片足のボロを纏った少年と出会う。
    地雷源がある谷では、まるでクモのように地雷にかかるヤギや行商人の荷物を拾って生きる幼い少女と出会い、生気を失ったその祖母と5人で暫く家族のように暮らす。しかし、そこにも爆弾が落とされて祖母は亡くなり、4人で旅を続ける決心をする…。


    本当に過酷としか言いようがない。
    フィクションであっても、多くの事実を繋ぎ合わせた物語だ。紛争地帯では、実際にこういった経験をしている子どもたちであふれているのだと思う。

    新型コロナの蔓延で、難民キャンプやスラムに暮らす人々の困窮はどんなに酷いものかと思っていたが、先日新聞で、アフリカなど貧しい地域では、常に感染症がそこにあり、コロナが殊更恐ろしいという感覚はない。彼らによれば新型コロナ感染症は先進国の病気という認識だ…というような記事を読み、全く自分の無知からくる浅はかさに恥ずかしくなった。2020.6.12

  • 母ときょうだいを探すために旅に出たパヴァーナと父。しかし父はその途中で斃れてしまう。
    ひとりで旅を続ける彼女が出会ったのは赤ん坊と少年と少女。
    安心して暮らせる場所を探して、子どもたちは歩き続ける。
    水を飲めお腹いっぱいご飯を食べ、体を清潔に保ち、安心して眠る。それが如何に難しいことなのか。
    彼女たちがたどり着いたその先にあるものは。
    2003年の出版なので、あとがきの作者の言葉には穏やかな暮らしを取り戻し始めた現地の人の様子がある。
    それも今は再び失われた。またこのような人々が増えてくるのだろうか。

  • 前作のラストで、行方不明だった父が帰ってきて、不安と希望とともに家族を探す旅に出たのに、次回作は父の葬儀からはじまるなんて、そんなことってある?
    でも、それが戦乱のなかにある人々の現実だというのもわかる。

    子どもたちだけで旅をして、たった一人しか死なないのは奇跡的すぎるけど、児童書で主要登場人物の子どもたちが死にまくるのも読んでられないしね。

  • 子どもたちが必死に生きようとするのが感動です。

  • 短文感想
    少女らは水を探し、寝床を探し、でも本当にほしいものは人間らしさなのか。生きのびるために奪いあい、おとなは空腹に苛立つ。人にやさしくすることがひどく難しい世界だ。具体的な解決策でなくても、私はまずやさしさからはじめたい▼マザー・テレサの言葉。「日本人はインドのことよりも、日本のなかで貧しい人々への配慮を優先して考えるべきです」日本にはタリバンのような恐怖による支配はない。それなのに自殺者が絶えない国だ。まずこの国から、そして世界へ、尊い命のため尽くせる人になりたい。

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著者プロフィール

デボラ・エリス/作
カナダ・オンタリオ州在住。作家、平和活動家として世界中を旅行し、戦争、貧困、病気、差別などによって困難を強いられている子供たちを取材している。戦乱のアフガニスタンを生きぬく少女を描いた『生きのびるために』『さすらいの旅』『希望の学校』(いずれもさ・え・ら書房)は、世界17か国で出版されている。その他の作品に『きみ、ひとりじゃない』(さ・え・ら書房)など。

「2017年 『九時の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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