- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784378041230
感想・レビュー・書評
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ブラウンをベースにしたラウル・コローンの絵がとても柔らかく幻想的。
技法はよくわからないが、パステル画(たぶん)の上から細かなラインが入っていて、
独特のクラシックな味わいを醸し出している。
そしてこれは、実話なのだ。
お話の主人公のトマス・リベラは(最後に写真入りで登場するが)1935年テキサス生まれ。
両親は移民系労働者だったという。
日本人にはあまりなじみがないが、野菜や果物の収穫時期に合わせて
アメリカ国内を移動しながら農家の仕事を手伝うらしい。
貧しさとその境遇ゆえに満足に学校にも通えないトマス。
ただ彼には幸運な点があった。
両親が教育熱心だったということと、お話好きなおじいさんの存在があったということ、
そして、優しい図書館員さんに出会ったこと。
この図書館のお姉さんとの出会いが、このお話のメインだ。
もっとたくさんの話を知りたいなら図書館に行くといいと、おじいさんに言われても、
なかなかその扉を開ける勇気が出ない。
図書館の周りを何周も歩いて、息が苦しくなるトマス。
ここの場面が、遠い日の自分のようで切ない。
これまで見知ってきた世界とはあまりにかけ離れていて怖くなるのだ。
でも、チャンスは向うからやってきた。お姉さんが声をかけてくれたのだ。
トマスにとって、知的好奇心が満たされる至福の時間が、ここから始まる。
本の中では次の収穫時期に向けて旅立つところで終わるが、成長後トマスは
カリフォルニア大学リバーサイド校の学長にまでなる。
知への憧れと探求心を忘れなかったトマス。
そのモチベーションはいつも、心優しい図書館のお姉さんにあったことは間違いない。
一度目に読んだときはさほどの感動はなかったのに、再読するたびに
当たり前のように本を読める感動がふつふつと湧き上がる。
すべての子どもが、トマスのような幸運にあずかれますように。
約8分。中学年以上、かな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
12【4/25】近図。(男の子、図書館、司書)
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こんな図書館の‘おねえさん’になれたらいいですね。