あなたも落語家になれる―現代落語論其2

著者 :
  • 三一書房
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本棚登録 : 107
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784380852299

作品紹介・あらすじ

「落語とは、一口にいって人間の業の肯定を前提とする一人芸である」とは、本書の「序」で師匠が語ったことば。
名著『現代落語論』出版後、落語協会を辞め立川流創設へ、という中で書かれた『現代落語論其二』、新装版。

感想・レビュー・書評

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  • 昔は良かった感を出してきてるがその中に滑稽さを含ませていてとても面白い。

    歳をとり談志自身の中での落語論が前著より固まっていることもあってかより具体的で興味深い。

  • 1985年刊、ようやく談志とビートたけしの間に師弟関係が結ばれるかどうかという時期において、「過去のしがらみ」等の一切の制約から自由に漫才を繰り広げる「たけし」の言動が気になって仕方ない古典落語の演じ手の独白は、鬼気迫るものがある。★その頃の自分はというと、先代の円楽が建てた「若竹」(当時の笑点でさかんに話題になったホール型寄席)で談志を初めて見たころであった。あるいはNHKの演芸番組で四天王の共演を毎週楽しみにしていた頃であったろうか。

    (ビートたけしは)「私は談志さんの弟子になろうと思ったが、なんだか恐れ多くて近づけなかった。(弟子になろうと思ったら)人知れず毎日、少なくとも1年間は談志宅の表を掃こうと」…★ビートたけしをして、ここまで言わせる談志。

    いつもの、気になったフレーズと感想(★以下)を幾つか。

    落語という話芸は(…)形やルールが伝統の上に出来上がっており、客はその形やルールを理解してくれている(…)自分が演じる人物の気持ちになって、感情移入をしてやっているわけではない(…)役になりきっていないことの楽しさが落語の魅力で…★確かにひとつ上の階から見ている感覚はある!

    (…)落語会中興の祖といわれた三遊亭円朝である。その頃延長はすでにシェイクスピアを翻訳し、それを脚色して演じていたのだから★浅学にしてシェイクスピアのことは知らなかった!
    もっと残酷な言い方をすれば、(著名な評論家達も)テレビが今日ほどドキュメント化していなかった時代だったから、その権威を持っていた★そのテレビがパワーを失った現代では、E.ポーの「失われた手紙」よろしく更なる視点の相対化が行われるわけだ。
    ★饅頭怖い…に対する現代(執筆当時)女性の感覚は、あんな甘いものを全部平らげたらデブになるから、その時点で食ったもんの負け! 食われた側の口惜しさが理解されない?!
    (東京で寄席に通う人口が2千人ほどに落ち込んだと言われる時代に於いて)「なんでこんなつまらないものをやってるんだ?」と見事に裸の王様になるような聞き手が欲しい。★執筆から40年近く経って「落語ブーム」と言われる昨今、自分のスタンスを見つめ直させられる。一方で、小難しい考察はさておいて、自分なりの楽しみ方をすれば/できれば良いというのも、文化・芸能の楽しみ方である。
    一度、ぜひ私の「芝浜」を聴いて判断してほしい★後年、何度か聞き、いわゆる伝説の会は有楽町のフィルムコンサート的な回で追体験した。ここでは、あえて感想は述べないでおこう。
    「談志よ、もう『芝浜』の柄じゃねえヨ。歳が違うよ」(…)たしかに『芝浜』の主人公は二十四歳だろう。私は四十九歳★あの談志がこんなことで悩んでいたなんて‼️

    「#あなたも落語家になれる」(三一書房、立川談志著)
    Day201


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  • 立川談志40代後半の落語論
    立川流創世記、志の輔以外の弟子はダメだって書いている。

  • 落語は人間の業を肯定する一人芝居、というキャッチに惹かれて読んだ。落語の受け入れられ方が昔から今までどう変わったのか、今の落語家は何をするべきか。元が1985年の本なのでその「今」も昔なのだけど、当てはまることはたくさんあると感じた。「人間の業って何だろう」と思っていたので、定義をすっきり説明してもらえてよかった。

  • 落語の人間の業の肯定
    笑いのありとあらゆる人生のなかの失敗と恥ずかしさのパターン
    結構なるフレーズ
    人情の機微

  • 立川流を創設したばかりの頃の立川談志が三年の時をかけて綴った読み応えたっぷり研究書レベルの一冊。「落語は人間の業の肯定である」という有名な文句から始まり、現代の落語家たちはどうすべきか、現代を語るにはどうするか、現代の寄席の問題点などをまっすぐに書き、そして落語協会分裂と立川流創設について談志サイドから語られています。途中ムムッとしたりもするけれど、そういう考えもあるなあと思ったり、また時には談志かわいい…とかも思ったり。ふふふふきんしん。

    読み終わったけど、全部の内容が理解できたかと言うとそんなわけなくて、ここにどう書こうかかなり悩んでいる。なんだか私も談志が嫌うような落語家のような生き方をしているなあと思ったりして鬱になったり。うー。
    とにかく売れるように何でもしろ、ということを「雑エンターテイメント」と書かれていますが、関東も昔の上方のようにある程度ピンチに陥って何でもしないと駄目なんじゃないかなあ、と考えてみたり。確かに寄席があるからそこで落語が出来るけど、そのことが堕落に繋がっている気はしないでもない。しかし、それは私が頑張って80年代当時のように考えた上でのことです。
    そう、これ“現代”と銘打ってありますが、これ、もう25年も前の本なので、正直(最近落語に入った)私からしたらやっぱり古い。と言わざるを得ない。一応、談志の書いた本としては著名だから読んでおかないと、と思ったけど、最近の談志の著書を読まないといけないなと思ったり。これだったら、米朝さんの「落語と私」の方がずっと普遍的に書かれているので、やっぱそっちをお勧めしてしまう。最近の談志の本で、なんかお勧めないかしら…

    あ、25年も前なので、志の輔さんがまだ二つ目だったり、前座の名前で談春がいたりと、こないだ読んだ「赤めだか」になんかリンクするなあと一人で勝手にニヤニヤしてました。

  • 新興宗教談志狂

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著者プロフィール

落語家、落語立川流創設者。1936年、東京に生まれる。本名、松岡克由。16歳で五代目柳家小さんに入門、前座名「小よし」を経て、18歳で二つ目となり「小ゑん」。27歳で真打ちに昇進し、「五代目立川談志」を襲名する。1971年、参議院議員選挙に出馬し、全国区で当選、1977年まで国会議員をつとめる。1983年、真打ち制度などをめぐって落語協会と対立し、脱会。落語立川流を創設し、家元となる。2011年11月逝去(享年75)。

著書には『現代落語論』(三一新書)、『談志百選』『談志人生全集』全3巻、『立川談志遺言大全集』全14巻(以上、講談社)、『談志絶倒 昭和落語家伝』(大和書房)、『談志 最後の落語論』『談志 最後の根多帳』『立川談志自伝 狂気ありて』(以上、ちくま文庫)、『談志が遺した落語論』『江戸の風』(以上、dZERO)などがある。

「2021年 『談志の日記1953 17歳の青春』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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