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- Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
- / ISBN・EAN: 9784384043501
感想・レビュー・書評
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ソ連に強制連行された、ルーマニア人が主人公。
経験者への調査をもとにしている。
悲劇的ではなく、暗さのなかで淡々とラーゲリ(収容所)の日常が語られていく。
独特な表現に、妙に惹きつけられる。
名付けられた小物たち、繰り返される言葉遊びには変に愛着も感じてきてしまう。
灰色のイメージを残す世界のなかで、それこそ、すべてが「芸術的」だ。
原書で読んでみたくなる。
最後の章、最後の数ページ、「宝物について」で、リズム感が変わった。何かが静かに押し寄せて来る気がした。
またここをいつか読みかえさなくては、と思うような、不思議な感覚を残すラストだった。
歴史の一片としても、文学としても、深い作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示