俳句・短歌・川柳と共に味わう 猫の国語辞典

制作 : 佛渕 健悟  小暮 正子 
  • 三省堂
3.50
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本棚登録 : 53
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784385360676

作品紹介・あらすじ

猫の句二四〇〇と、猫に関する言葉を集めた、猫ばっかりの「国語辞典」。言葉で愛された猫たちの大集合。「洗い猫」の項目には「猫洗ふざぶざぶ川や春の雨 一茶」。猫を愛した作家たちの目線を通して猫を楽しむ本。

感想・レビュー・書評

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  • 啼【な】くをふと猫かとおもひしにわが児【こ】なりきをかしくやがて悲しくなりぬ
     土岐哀果

     書店の新刊コーナーで、ひときわ目立つオレンジ色の「俳句・短歌・川柳と共に味わう猫の国語辞典」。何しろ表紙の、目を細めた猫のたたずまいに風情がある。詩人・作家室生犀星の愛猫「ジイノちゃん」だそうだ。
    「洗い猫」「恋負け猫」「こたつ猫」など800の見出しがあり、それらにまつわる2400以上もの歌句が引用されている。俳句と川柳が中心だが、短歌も、北原白秋や与謝野晶子から、現代の中城ふみ子まで、目配りがよい。

     掲出歌の作者は、国文学者土岐善麿の筆名。明治末期に、「生活派」と呼ばれる短歌の一潮流を築いていた。家庭での作だろう、猫のなき声かと思っていた声が、実は「わが児」のものだった、という漫画的な場面。小さいものを愛おしく思う気持ちに偽りはないが、わが子と子猫とを同次元にみなしてしまったことへの後ろめたさが、下の句からしんみり伝わってくる。

     さて、この辞典は江戸時代の川柳も読みどころの一つである。猫がさまざまに擬人化され、豊かな表情を見せている。

      春の雨あるじは猫でおはす也【なり】

      出て三日【みっか】人ならいかに猫のこひ

     現代の川柳も、負けてはいない。

      パン食べる猫が出て来た民主主義

     猫は肉食だが、「民主主義」の戦後には「パン食べる猫」もお目見え? 新時代を迎えたことへの期待だろう。

     猫好きの人もそうではない人も、それぞれに味わえるユニークな国語辞典。
    (2017年1月22日掲載)

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00266091

  • 特に猫好きではないのだけれど、すごく楽しんでしまった一冊。
    猫の句が詠みたくなりました。使ってみたい言葉も見つけたけど…通じるかな。

  • 三省堂から出ましたw「猫の国語辞典」(2016.12)、猫の句約2400句と猫に関する語を集めた辞典です。はい、専門的です(^-^) ①テーブルへ乗せれば猫の可愛い目 ②どたばたを見ればかつおと猫と下女 ③閉めた戸をも一度開ける猫の声 ④真夜中に起きると猫がついてくる ⑤のどかさや娘が眠る猫が鳴く ⑥猫の子が腋の下にて熟睡す ⑦ひざの猫ひざへ渡していとまごい ⑧干してある蒲団に猫の昼寝かな

  • とにかく猫猫猫です。暇にまかせて好きなところから気まぐれにチマチマ読むのがよろしいかと。

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