女脳文学特講―芙美子・翠・晶子・らいてう・野枝・弥生子・みすゞ

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著者 : 山下聖美
  • 三省堂 (2011年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784385365657

女脳文学特講―芙美子・翠・晶子・らいてう・野枝・弥生子・みすゞの感想・レビュー・書評

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  • ショッキングピンクの表紙が、勿体無いと思うくらい、落ち着いた内容。
    7人の文学に関わる女性たちが、どう生きたのかを分析した本。

    私はちょうど、フェミニストたちがどんな時代を生き、どんなことを考え、どんな活動をしたのかを知りたかったので、
    面白く読ませていただいた。

  • 【森の中の図書館大賞 ノミネート作】

    与謝野晶子目当てで読んだのですが、他の人達も圧倒されるような生き様でした。これが女脳パワーか!

  • 評論なのでネタバレもないような気もするんだけど、一応内容に触れるので…。なかなか文体のテンションが高かったです。

    一番おもしろかったのは与謝野晶子の解釈です。政治学の中川八洋さんが「与謝野晶子に学ぶ―幸福になる女性とジェンダーの拒絶」で、与謝野晶子は稀代の思想家(確か)とかなり高く評価されていたので気になっていたんですが、やはりなかなかの女性だったみたいですね(ちなみに中川さんの本はレビューだけみてまだ未読です)

    以前、映画「華の乱」をみたとき、なんで晶子は鉄幹と別れないんだろうなあと思っていたんですが(晶子は自活できるぐらい売れっ子で、別れた方が執筆に専念できるだろうし、なにより落ち目の鉄幹からの嫉妬はお互いに苦しいだけではと)、なるほど。晶子は自分を見いだしてくれた鉄幹を、ずっと慕って支えていたんですね。

    これは「愛」とも「義理堅さ」ともいえますが、後述される野上弥生子の章で、山下さんは弥生子のスタンスを自分を実現するためには「自分の出身を大事にしなさい」とした人だとしています。

    弥生子は、背伸びしたり卑屈になるのではなく、文字通り自分の出自や階級を大切にした方がよいと考えていた人みたいですが、晶子は自分を見いだした「鉄幹」という出身を大事にした人だったと思います。やはり自分の「拠り所」や戻れる「基地」があることは、何かを成す上での支えで、「間違わない」ために必要なんだなと思いました。

    こういうことを肌で知っていた晶子はかなり「賢い」人だったんだと思います。「賢さ」って、頭の回転の速さや思考の切れだけを指すのではなくて、晶子の「母性」の在り方も「賢さ」に根ざしていたのではないでしょうか。

    晶子のすべてを包む様は「母性」ということもできますが、ただ貪欲に飲み込む「母性」ではなく、まるっと包み込んだ方がみんな仲良くやれて、色々うまくいくということを折り込んだ「賢さ」、あるいは「知恵」だったんではないかと思います。

    *****

    次に面白かったのは伊藤野枝。以前、伊藤野枝が結婚や恋愛について書いた評論を読んだんですが(タイトル忘れてしまった)、これがたいへんおもしろかったので気になっていた人でした。無政府主義者という顔に騙されるなかれ、この人かなり魅力的です。なんていうか、可愛い。

    野枝が弟子になるのが上手い女性だったというものなるほどと思いました。女性の地位向上とか(野枝は二代目「青鞜」の編集長)使命感に燃えて、そのパートナーとして大杉栄と生きたのかと思っていたんですが、さにあらず。山下さん解釈では、恋をして男を愛するほどにその男に染まって男を支えるという野枝の横顔が見えてきました。

    いつも恋に一生懸命で、必死になって愛する野枝の生き様は、恋をしたことがある人なら共感できるところがあるはず。山下さんがおっしゃるように、もっと生きていたら(28歳で暗殺)さらに面白い評論を書いて、もっと評価されただろうになあ。

    この本で紹介された女性たちはそれぞれの立ち位置にいますが、文字通り命を賭けて生きるこの時代の女性たちの必死な生き様は、かなり胸を打たれるものがあります。

    *****
    追記

    現代は「命至上主義」で、「自分」を越えたものに想いを懸けることを敬遠する風潮にありますが、人の思いに届くのは「自分」以上に大切なものに「自分」を賭けた人の生き様だと思います。

    それが女性だと、自分がこの人だと定めた男性である場合が多いのかな。それは決して「隷属」とか「献身」ではなくて、自らの意思で一人のために生きると決めた生き方で、そう決めた時点で自己を生きているんだと思うんです。この本では取り上げられていませんが、新島八重なんかもそんな生き方をした女性だと思います。

  • 芙美子・翠・晶子・らいてう・野枝・弥生子・みすゞ の6人の女性作家の人生と文学について。
    そんなに量が多くないので、ダイジェスト版として最適かと思う。
    教科書だけではなかなかわからないプライベートなエピソードも結構書かれていて、有名作家達のイメージがちょっと変わった。

    しかし、作者の気持ちが盛り上がってくると、半分妄想みたいなことを差し挟んだりして文章が読み辛くなってきたので☆減。

    あと「女脳」ってのが結局何なのか私にはよくわからなかった。。

  • タイトルと装丁から、トンデモ系の本かと期待していたのですが…内容自体は至ってある意味普通。
    女性作家について知識が少ない状態で接し、入門書として扱うのであれば、ね。

    そことは違う視点で、著者のセンスは一見の価値はあると思います。
    「女脳」なるものを引っ張り出してきたからには、脳科学を不思議な解釈をして応用しているのかと思いきや、そういうレベルにも達していません。

    ジェンダーに関しても、基本的な部分で何か違う解釈をしているように見受けられます。
    セクシュアルマイノリティに対する考え方も、ちょっとずれているように受け取れます。
    ただしこれからは、世間一般としての理解の仕方としては問題はないレベルかも知れません。学者としてはどうなのだろうかという疑問が出てくるだけです。

    現在の理論で読み解くだけではなく、現在の感性を当てはめて解説したりしますが、これってさじ加減を間違えると困ると思います。

    著者の語り口からは、建前として男女平等を口しながらも、感覚的には「男は男らしく、女は女らしくあるべき」としている一般的な人々と、基本的には同じ姿勢でいると感じられました。

    ある意味「普通」な文学者入門編ですが、「普通」なだけに引っかかりを多く感じてしまいました。

  • 明治〜大正時代に活躍した7人の女性作家を取り上げている。
    晶子の源氏物語の原稿は震災で消失し、その十年後に再度書き始めたとか、一度らいてうが良いとこのお嬢さんだったとか(美人だし)、みすゞの結婚生活と最期とか、作家の人生を知るのって面白い。ドラマチック。
    彼女らの作品をほとんど読んでいないというのがアレなんですが。(金子みすゞと教科書に載っていた与謝野晶子ぐらいしか知らない…)

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