アルチュセール (センチュリーブックス 人と思想 56)

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著者 : 今村仁司
  • 清水書院 (2000年発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784389410568

アルチュセール (センチュリーブックス 人と思想 56)の感想・レビュー・書評

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  • アルチュセールの仕事を分かりやすく解説している。

    著者は、バシュラールとカンギレムの科学認識論がアルチュセールに与えた影響を、ていねいに解説している。バシュラールは、科学者の認識活動において「認識論的障害物」が乗り越えられてゆくことを重視し、これを「認識論的切断」と呼んだ。ただしこの「切断」は、科学的知識が一定の完成を見た後ではじめて明らかになる性格のものである。このように主張することで、バシュラールは科学の対象が歴史的な性格をもっているという立場に立った。

    アルチュセールはこうしたバシュラールの科学哲学に依拠しつつ、マルクスの哲学を読み替える試みをおこなった。当時のマルクスをめぐる研究状況は、『資本論』の経済学に重点を置く「科学主義」と、初期マルクスに重点を置く「人間主義」とが対立しているという構図で示すことができる。だがアルチュセールは、科学主義も人間主義も、マルクスにおける「認識論的切断」を見ていないと批判する。彼は、マルクスがヘーゲル弁証法の根本的な転換によって、歴史と社会についての科学的認識を創始した点がもっとも重要だと考える。

    ヘーゲルの弁証法は、「正・反・合」という図式で表わされる。『精神現象学』や『歴史哲学』などで具体的な歴史・社会を論じる場合でも、現実を貫いている論理そのものはシンプルな三項図式で表わされるはずだと考えられている。この観念論的な三項図式を転倒して、経済を下部に置いたのがマルクスの功績だと、従来のマルクス主義は主張する。だがアルチュセールは、そうした経済還元主義は「理念中心主義」という点でヘーゲルの観念論と変わらないと批判し、さまざまなレヴェルでの矛盾の「重層的決定」としてマルクスを理解しようとする。『資本論』のもっとも重要な功績は、従来の経済学が前提していた対象の量的同質性という「理念中心主義」を批判し、そうした前提を置くことが可能な資本主義の歴史的形成を重層的な構造的因果関係によって解明するという、新しい科学的認識を創始した点に求められる。

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