インドの「二元論哲学」を読む―イーシュヴァラクリシュナ『サーンキヤ・カーリカー』 (シリーズ・インド哲学への招待)

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  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393133736

作品紹介・あらすじ

デカルトとは全く異なる独自の二元論を展開し、漱石もあこがれたと言われるサーンキヤ哲学。その奥義に迫る、シリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「インド哲学への招待」シリーズ。本書は夏目漱石に影響を与え、『草枕』を生んだことで有名な(?)サーンキヤ哲学の入門書である。
    サーンキヤ学派の根本教典『サーンキヤ・カーリカー』の全訳に、ガウタパーダによる注釈と筆者による解説を加えている。細かいセクションごとに註や解説があるので、まるで教室で学ぶようにじっくりと読むことができる。
    二元論哲学といっても、デカルト的な物心二元論とは全く異なる。サーンキヤ学派が説くのは、純粋精神である「自己」と、世界を構成する諸々の物質や感覚、意識などを生成する「原質」との二元論である。理性による思惟も、後者の非精神原理である「原質」の働きとされているのがデカルトとの大きな違いだ。真の「自己」と自我意識とが別の存在であることを知ったとき、「原質」は活動をやめ、解脱できるとされる。
    現世的な自我の否定というのは多くのインド思想に共通しているなあと思う。仏教とも哲学的論争の中で影響を与えあっているので、比較しながら読むと理解が深まるだろう。

  • これから読むのだ。

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著者プロフィール

1948年生まれ。東京大学で博士(文学)号を取得。
現在、國學院大學名誉教授。
著作に、『インド哲学七つの難問』(講談社選書メチエ)、『仏教誕生』(講談社学術文庫)、『仏教かく始まりき パーリ仏典『大品』を読む』『インド哲学の教室』(春秋社)、『わかる仏教史』『ブッダが考えたこと』(角川ソフィア文庫)、『勝宗十句義論』(臨川書店)、『新訳 ミリンダ王の問い』『インド哲学教室1 インドの死生哲学』『[全訳]念処経』(花伝社)など。

「2023年 『インド哲学教室2 インドの唯名論・実在論哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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