インドの「二元論哲学」を読む―イーシュヴァラクリシュナ『サーンキヤ・カーリカー』 (シリーズ・インド哲学への招待)
- 春秋社 (2008年4月1日発売)
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感想 : 2件
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- Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393133736
作品紹介・あらすじ
デカルトとは全く異なる独自の二元論を展開し、漱石もあこがれたと言われるサーンキヤ哲学。その奥義に迫る、シリーズ第三弾。
感想・レビュー・書評
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「インド哲学への招待」シリーズ。本書は夏目漱石に影響を与え、『草枕』を生んだことで有名な(?)サーンキヤ哲学の入門書である。
サーンキヤ学派の根本教典『サーンキヤ・カーリカー』の全訳に、ガウタパーダによる注釈と筆者による解説を加えている。細かいセクションごとに註や解説があるので、まるで教室で学ぶようにじっくりと読むことができる。
二元論哲学といっても、デカルト的な物心二元論とは全く異なる。サーンキヤ学派が説くのは、純粋精神である「自己」と、世界を構成する諸々の物質や感覚、意識などを生成する「原質」との二元論である。理性による思惟も、後者の非精神原理である「原質」の働きとされているのがデカルトとの大きな違いだ。真の「自己」と自我意識とが別の存在であることを知ったとき、「原質」は活動をやめ、解脱できるとされる。
現世的な自我の否定というのは多くのインド思想に共通しているなあと思う。仏教とも哲学的論争の中で影響を与えあっているので、比較しながら読むと理解が深まるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これから読むのだ。
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