作品紹介・あらすじ
ウィトゲンシュタインの言語ゲームと龍樹の空思想を軸に、無明=実在論を反実在論に転ずれば、仏教思想は相貌を一変し、和辻哲郎の説く「縁起‐内‐存在」の倫理の哲学史的意義も鮮明になる。本書の透徹した言葉を熟読玩味するときひらかれる新しい世界像にあなたは驚くに違いない。
感想・レビュー・書評
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ウィトゲンシュタインの言語ゲームから『物事の状況依存性=反実在論』を,和辻哲郎の倫理学から『倫理は人間共同体の根底であり,それは相互依存する人の間における信頼関係であること』をそれぞれ導き出し,そのいずれもが大乗仏教のいう「空」(縁起の世界)に繋がることを示す。
そして,十二縁起に触れ,八正道によって「一重の原理」に従って生きる道,つまり,無明を滅して苦を滅する生き方を教える(啓蒙する)のが仏教であるという。
道元やニーチェにも言及がある。
著者プロフィール
黒崎宏(くろさき・ひろし)
1928年生まれ。哲学者。東京大学大学院哲学研究科博士課程単位取得満期退学。成城大学名誉教授。著書に『ウィトゲンシュタインの生涯と哲学』、『言語ゲーム一元論』、『「絶対矛盾的自己同一」とは何か』など多数。
「2022年 『ウィトゲンシュタインのパラドックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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